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那覇 Love & Natural
前説
どうもこんばんは。みんな、元気でやってますか?
風邪ひかないようにしていきましょう。
さて、今日から僕の初旅エッセイ『光の中を旅してた』全7章20編202話の旅の話を一話ずつ丁寧にお伝えしていきます。
この話は2016年に僕がブルガリアのヴェリコ・タルノヴォという山に囲まれた街を旅していた時から書き始めました。
いつか自分でも旅の話を本にしたかった、でもやり方がわからなかった。
そんな時、本を書いている旅人と出会ったんです。
-序章 日本編-は、その夜から書き始めた僕の日記を、去年のコロナ禍で仕事が減って出来た時間で編集を何度もして化粧をしてまとめました。
なかなか旅に出にくい状況ですが、楽しんで頂けたら幸いです。
僕は、やっぱり日本が好きです。
それでは一緒に日本の旅に行きましょう。
沖縄の那覇へ向かう所から物語は始まっていきます。
那覇 Love & Natural
もう4年も前のことだから、詳しいことは忘れてしまったけど……。
そんなことを言ったら、昨日のことだって曖昧なこともある。
日記を頼りに振り返りながら書いていこうと思う。
沖縄に初めて行ったのは、2012年の3月4日。この日付は覚えている。
それまで一人暮らしをしていた千葉のみどり台の部屋を引き払っていた僕は、その日実家にいた。
格安航空券のチケットと、25Lの小さなバッグパックをパンパンにして、友達の運転する車に乗った。高校の頃から対バンしていて、この頃よく一緒に飯を食いにいっていた仲の、ナカタクの車。
あの頃俺たちは千葉駅の近くに住んでいた。
お互いのバンドは活動休止状態。
ナカタクと撮った写真の中に写っているこの頃の俺は、ださかったなぁ。
あの時、車の中で何話したんだろな。「覚えているかよ、なぁ」
飛行機の中、移動中に考えることといったら、友達と過ごした思い出をなぞることくらい。
「ジーパンにひげつけてぇな」これがこの時の表向きの旅の目的としていたこと。
本当は「活動休止後のバンドマンの人生」ってどういう風になっていくのかに興味があった。自分の体を実験台にして、好きなことを追っていくとどうなるのか知りたかった。
沖縄の空港に着いてからは、今でも使っているキャノンの白黒のボディのデジカメで写真を撮りまくった。
これを繋げていつかまた思い出を分け合おう。
沖縄には電車は走ってない。僕はモノレールに乗り、那覇市の中心、国際通りに向かった。バッグパックをお腹の前に抱えて、僕は初めての土地と目の前に映る新しい光景に胸を躍らせていた。
国際通りの入り口では、シーサーが旅人を迎えてくれる。
青空が澄み渡っていた。お土産屋さんや、露天商を縫う様にして歩いて、今夜の宿にチェックインしに向かう。
なんとかたどり着いた僕は、そこで初めて、「バックパッカーズホステル」というものを知った。泊まる部屋はドミトリーと呼ばれる相部屋で、自分のスペースといえば、簡易ベッドとその周辺をバランスよく使うことで保たれる。
全く知らない人達と相部屋になるなんて経験はしたことがなかった。
僕も人見知りだったけど、これは仕事じゃないんだし、気楽にいくことにした。
通された部屋はたしか8人部屋だった。
きっとこの人達はみんな旅人なんだと思った。
そして早速、一人の若者と話すことになる。
なんと、しんのすけ君は千葉で路上占いをしていたらしい。こういう出会いが旅をするとよくある。と、今では思う。
ぎこちなくも会話を進め、僕等は一緒に沖縄そばを食べに出かけることになった。
小さな風通しの良い店に入って味が薄いような色合いのスープを飲んだ。
古びた商店街の裏通りの坂を上ったり、降りたりしながら歩いた。
アーケードの下では、「頑張ろう東北」の旗を掲げた一行がパレードのようにして歩き、そこら中にエールを送っていた。
今こうして振り返ってみると胸が熱くなる。日本は本当に地震の多い国だ。
あの人の涙は流れて、いま泡盛を薄める。
コップの中の氷がはじけて、「カラン」っと音を立てて回る。
旅に出た初日から、宿の人達に誘われて居酒屋に連れていってもらったんだ。泡盛が500mlで、500円くらいだった気がする。
濃い話をしていたなぁ。みんなゆるく「人生の夏休み」をここで過ごしているんだ。
小雨が降った日は空っぽの映画館で『ゴーストライター』を観ていた。
きっと全部書ける。でも書ききれない。
沖縄には一週間いた。そこから先のことは決めてなかった。
仕事もやめていたし、バンドも活休していた。
なんにもない。なんだって、どこにだって行けた。
一人旅もしたことがなければ、旅のやり方もわからなかった僕の目的地は、いつも出会った人との会話の中から産まれてきていたようにも思う。
あの時失くしたI-pod nano、音楽聞きながら旅したかったのになぁ。
ひめゆりの塔の亡くなった人達の顔写真が並べられた部屋のことを考えながら平和祈念公園を歩いていたら、花を売りにきた小柄なお婆さんの潤んだ真っ黒な目の中に吸い込まれそうになった。
真っ青な海を眺めて何を想えばいい、僕は左手に花を握っていた。
首里城で小鳥を見た後、自転車でいった港で食べたゴーヤはとてもまずかった。
沖縄民謡を、宿で出会ったお姉さんと一緒に聞きながら、オリオンビールを飲んだ。お姉さんは最近離婚したみたいで、「沖縄には休暇で来ているの」と、言っていた。
港から鹿児島まで行くフェリーが出ているらしい。
編集後記
はい。どうもありがとうございます。
こんな感じで、Kindle版とは違って写真も入れていきながらお伝えできれば良いなと、思ってます。(Kindle版は文字&本文だけの良さがある)
日本編は、割と短めの話が多いんですが、海外編でめっちゃ長い回もあったりするので、写真をたくさん入れる回もあると思います。
noteだと、改行をした方が断然読みやすいですね。
行間が詰まっているよりも風情があって良いかもしれない。
これでまたKindle版をアップデートしていって、完全版を作りたいんです。
バンドで、新しい曲をライブでやってった方が曲が成長するって言うあれです!!
それでね、これを今だったらInstagram、stand.fm and Twitterと連動して種撒いて行きます。
数よりも、濃さを追って行く方向でやっていきます。
次回は、鹿児島までのフェリーに乗って奄美大島で途中下船する話。
どうぞよろしくお願いします。
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