Mt Isa 煙突は静かに煙を吐き続けてる
どうもこんばんは。みなさんの町にはえんとつはありますか?
あ。今、雨が降り出した。干してた布団を部屋に入れた後、本当に直ぐ。
風が変わった、と思ったら降り出した。
台風の影響かもしれない。静かに過ごすことにしよう。
あ、そうだ。今日は山の日だってさ。
(えんとつあるのか聞きっぱなし。いいね。このまま行ってみよう。)
山の日と言っても、僕には中々ピンと来ないんですよね。
山がある所に住んでないからかなぁ。少し調べてみる。
「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としている。
山があると登りたくなる。山、ありがとう。
え! 2021年の山の日、東京オリンピックの延期に合わせて、8月11日から、8月8日に移動になったんですって!! 閉会式してた日か。
そうすると今日は、山の日でない。じゃあ何の日なんだろう。
8月11日は、国民の祝日となっている山の日、ガンバレの日(ベルリンオリンピックで前畑秀子優勝)、芭蕉が『更科紀行』の旅に出発した日、八王子駅開業の日、初代・三遊亭圓朝の忌日で圓朝忌(『谷中圓朝まつり』開催)、岐阜県高山市で『飛騨高山陣屋前夜市』の日です。
※ ニッポン旅マガジンさんの記事を引用させていただきました。
ありがとうございます。
さて、旅の青年はオーストラリア大陸の内部に入ってきております。
マウントアイザと言う煙突が突き刺さる町の話を今回はシェアさせてください。場所は大体この辺りです。ぺた。
陸路でのバス移動は、半端じゃなく疲れました。
ヒッチハイクが捕まらなくて良かったのかもしれないね。
もっと奥の方に行くと道の脇に人の顔写真とかあったから……。
今、生きていることに感謝しないと。
今日も呼吸に集中してる。
なんか後半あつくなってます。
よろしくお願いします!!
Mt Isa 煙突は静かに煙を吐き続けてる
真っ暗闇の中ヘッドライトだけが道路を照らしてる。
僕は眠たかったから、またバスの中で眠った。
太陽が昇って朝が来た。いつもと変わらない朝だ、けど僕はバスの中にいる。
昼間にランチ休憩で停まった町。何もない、あるのは乾いた風と田舎の風景だけ。西部劇の舞台になりそうなくらい乾燥してる。サボテンはないけど、羊の置物ならある。
やたらと広い道路。町を少し歩いて写真を撮ってみたけど、特に何かあったってわけじゃないんだ。早くマウントアイザに着きたい。
無人のガソリンスタンドで給油。やたらとでかいタンクローリーは今日も活躍してる。窓の外もバスの中も同じように変わらない。まず、バスに人が全然乗ってない。
何もないだだっ広い道で工事をしている場所を通った時、少しテンションが上がった。道路を造ろうとしてた、一体何の為に。
何だかんだで日が暮れる前にマウントアイザに着いた。たぶんまた12時間くらいバスに乗ってた。もう音楽も何もかも聞き飽きた。
バッパーを見つけたので宿が空いてるか聞きに行く。一泊じゃ、あっと言う間すぎるから、二日泊まることにした。何もなかったのだけれど、このバッパーにも、町にも。一泊30AUSドルは取りすぎだ。これじゃシドニーと同じじゃないか。ここでの一泊は12AUSドル、せめてこのくらいにしといて欲しかった。旅をするとお金が出ていくのが早すぎる。
マウントアイザのウールワースに行って、二日分くらいの食料を買った。ちゃんと自炊もしてた。簡単なのだけだけど、この頃は、サンドウィッチを作って食べてた。トマトも切ってね。
夜はどうしたっけ、どこかに行かなかったっけ、バッパーに帰ってゆっくりしてたんだっけ。そうだマイニング仕事に来てるって言うアイリッシュガイと少し話してたんだ。
翌日は次の町へのバスのチケットも買って、これも超高かったけど、ようやくアリススプリングスが見えてきた。それから町の観光施設を見て、歩きに行ったんだ。
マウントアイザは「マイニング」って言って採鉱によって栄えてるらしい。町のシンボルのように大きな煙突が建ってんだ。そこまで歩いたよ。
そうだなぁ。それと、この町の歴史ももっとゆっくり見たかったなぁ。旅行で来てねぇからなぁ、旅人は風だからさ、すぐにどっかにいっちゃうんだ。
一通り歩いた後、町を見渡すことが出来る小高い丘まで登って感じた夕暮れ。各都市のある方向を指してるモニュメントに、その街までの距離が書いてある。
「メルボルンまで2008キロ」、「東京まで6270キロ」離れたところに居るんだね。
夕日が真っ赤になって落ちていく煙突の向こう。黄金の輝きと共に世界を、僕を染める。
生ぬるい風が吹いてく。ふっと横を見ると、同じバッパーで泊まってる金髪の背の高い子が真剣に写真を撮ってた。
刻一刻とマウントアイザの町はその表情を変えていく。
僕は手すりをつかんで身を乗り出して目を見開いてる。眩しく、遠くまで。
白い雲はグレーに、橙色した太陽は茶色い大地の向こう、シルエットになった黒い煙突。煙はぼやけた白と黒。それが雲になる。
世界は様々な色と共に僕を包んでた。
こんなに美しい時間は神様が僕にくれた一生の宝物だったりする。
もう都市を指したモニュメントには光は届いてない。じきに何も見えなくなるだろうな。僕はカメラのシャッターを切り続けた。
雲の美しさよ。太陽が地球の裏っかわに落ちてしまったっていうのに、まだ光を浴びている空に浮かんでいる雲の儚さったらいい感じに切なくてさぁ沁みるよ。
煙突は静かに煙を吐き続けてる。煙突のある町、なんかいいよね。
煙突の下では、きっと働いている人がいるよね。頬に煤なんかつけてさ、そいつを厚手のグローブつけた腕で拭うんだ。額からはもちろん汗が滴ってる。
遠くの空も薄暗くなってくる頃、僕等の頭上はすっかり夜で、町にも明かりがつき始めた。綺麗な白い光の群れ。群青色の空にブラックを増してきた雲が覆いかぶさってくる、上空は地上より強い風が吹いているのかもしれない。
もう僕にはこの世界で何が確かなものかわからないよ。僕が望んでるもの、その中に僕はいて、ここに立ってる。
「自分以外の人の良しあしで自分の人生を棒に振ってる場合じゃない」、何を言ってんだ俺は。
たまに思うことがあるんだ、日本でずっと働き続けてたら今より幸せだったかってこと、あほみたいに。どうなんだよ。はっきり言えることは、俺が今まで体で感じてきたこの世界の美しさってのは日本に居ただけじゃ体感は出来なかった。
海外での経験は海外に行かないと出来ないもんな。でもな、思うんだ。そればっかりでもない、日本に居たらいたでもっと何か別の感動ってのはあったと思うんだ。だからこうだ。そいつ次第だってことだ。そいつが今一番したいことを一番したいようにしたらいい。うじうじしている場合じゃねぇ。確かなもんなんて誰もないんじゃないか。
若くても、年取っててもどっかでみんな何かで繋がってる。上とか下じゃなく、まあるい。そんなイメージがある。立体的な。なんか、そんな感じなんだ。
「人生は一度きりだ。やってやれ!」って言ってくれ!
町の明かりは白だけじゃない。オレンジ、黄色、青。緑、紫、桃色。うっとりしちゃう丘の上。
町の向こうにそびえたつ煙突がかっこよくて、それが三本もある。
マウントアイザ、一度来たかった町。
はっきりとした夜が町全体を覆うと、煙突は見えにくくなった。
暗すぎる煙突には光がない。
時間が来た。この町ともおさらばする。
僕は確かにそこにいて、そいつはもう「永遠」のものとなった。
いつかどこかでふとした時に頭の中で巡って、僕に「はっ」と何か大切なものを気づかせてくれる思い出と共に眠ろう。
編集後記
あつくなってんじゃないかい。
たまにはこういう回もあってもいいよね。
ゆるい回もいいし、なんか感傷的な気分になっている回もあってもいいんだ。
みんなそれぞれ言葉があるから、なんとなく共感して頂けたら嬉しいです。
限られた時間の中で僕等書いてる。
風に吹かれればいい。
答えは風の中にあるってよ。
こう思い返すと、音楽に救われていたこいつはただただ正直に生きてただけなんじゃないかな。
って、思えてくるんですが、そんなに現実は甘くない。
気が付いたらもう、2021年だ!!
次回はアリススプリングスのお話です。
エアーズロックへ向かう玄関口的な街なんですけど、全然近くない。
車で何時間も荒野を走ってました。
すごい経験だ……。今の僕にはできない。
君ならできる。やろうとする奴には出来るよね。
でも無理にはしないでね。
それぞれですから。
選べるってありがたい事です。
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