日本と世界のビジネスシーンのデザインの解釈の違い
とてもいい本に出会えました。
言いたかったことこれ!って思わせてくれる本です。
この本の冒頭ではNYを拠点として日本を含む世界を相手に働く著者がデザインの解釈の仕方が日本と世界で違うということを書いてます。
この本の主題はブランディングの重要性とそのやり方みたいなところなのですが、冒頭のその日本のデザインやブランディングの解釈の仕方の話がとても面白かったので、この記事では日本のデザインの立ち位置みたいなところにピックアップして紹介しようと思います。
デザインをするのにはブランディングが前提となってくるというのが基本の考えなので、この記事が面白いと感じた人はぜひ手に取ってブランディングについて学んでもらえると嬉しいです。
そもそもなぜ必要か?
ブランディングとデザインがなぜ必要なのか。
そもそもブランディングとは何か。
ブランドという単語はみなさんわかると思います。
ブランドは買い物をする時、とても気にするところですよね。「ブランド物の〜〜〜がほしい」となるのは、あなたがそのブランドが好きだから。もっというとブランドのファンだから。
たくさんの物が溢れている現代で大量生産で安く物が買えるのは事実ですが、なぜそのブランドがついたものが欲しいのでしょうか。
それはあなたがブランドの持つ世界観、ビジョンに共感をしているから。
売る側の目線になって考えてみると、ただ物を作って売るだけではなかなか売れません。
ファンを作って売らないと現代では他の安い商品に負けてしまいます。
そのブランドらしさをしっかりと言語化していく、コアバリューを明確にしていくのがブランディングです。
そして、それを元に物として形にしてくのがデザインの役割です。
ブランディングをしてからデザインに取り掛かるということが大切になってきます。これが曖昧になっている日本の企業はとても多いそう...。
デザインへの解釈の違い
さて、冒頭で記載したデザインの解釈ですが、著者が日本に支店を作った時に感じたことみたいです。
どうもブランディングというものが正しく理解さえていない。
そしてデザインは...
日本でのデザインの会社は問題解決ではなく、かっこいいものを作るものと解釈されているところがとても多い。
確かにデザインの現場で働いているとこんな傾向にあるかもと僕も無意識的に感じていました。
またこれは日本のビジネスの構造から生まれている発想かもしれないと著者は指摘しています。
クライアントが広告代理店に依頼してクリエイティブを作っているので、広告代理店がブランディングを行い、デザイナーが成果物(クリエイティブ)を作るようにクライアント側から見えています。
この構造だとクライアントがデザイナーは見た目だけをかっこよくする人だ。デザイン料だけ払えばいい。という考えになります。
ここには問題解決だったり、リサーチにはお金が支払われません。
ニューヨークの美術大学は以下のように教えられるそうです。
デザインするということは...
●クライアントをよく観察し
●課題や問題点や強みを見極め
●オーディエンスや時代、市場を考慮し
●問題解決することを柔軟にクリエイティブに書き出し
●それを可視化して伝わる形に落とし込んでいく
きっと日本では最後の一行の行為がデザインとみて、デザイン料が支払われているのだろうと思います。その他の項目は広告代理店の仕事とみなされているから、本来のデザインをしているかどうかにかかわらず、クライアントが狭い意味でのデザインしか見えていないのかもしれません。
デザイナーもデザインをする上でブランディングがとても重要となってくるのでブランディングまでデザイナーも介入します。
この解釈を変えるには、やはり教育から。
未来の子どもたちが正しいデザイン観をもち日本の企業をグローバルに戦えるように変えていくこと。
と著者は願っています。もちろん僕もです。
日本は伝えることが不得意?
これ言語や文化によるものです。
この考え方は世界で戦う人にしかわからない発想ですよね。その日本は伝えることが不得意というのは、その言語の特性にあります。
日本語というにはハイコンテクストな言語ということ。
ハイコンテクストとは読み手に依存する文化などの共通認識ありきのコミュニケーションのことです。
確かに日本は察するという文化ですよね...。
伝えるということに少し曖昧な表現になりがちだし、よくあるのが『デザインの力がなくてもうちの商品はいいから勝手に売れる!』という考え方です。
商品の良さを最大限に引き出して、伝えたい商品の魅力を伝えるのがデザインの力なのに、それを使わずして察してくれ!ということですよね。
こういう伝え方で本当にそれを手にするエンドユーザーに伝わるでしょうか。
ビジネスリーダーもデザイナーも救える本
この本を読むことで多くのビジネスリーダーがブランディング・デザインを有効に活用し、現代のビジネスの役に立つと思います。
また日本ではデザイナーの収入は高くなく、残業等もとても多い。なかなかデザイナーが海外と比べて社会から認められていないというのか現状です。
そういった状況を言語化し今後どうしていけばいいのかがとてもわかりやすく書かれています。中身もたくさん図解がされていて読みやすく僕は3日程度で読み終わりました。
下記イラストは『顧客が本当に必要だったもの』のイラストです。
さまざまな受け取り方ができますが、顧客も自身が必要なものの説明は難しいので、しっかりとそこに関わるビジネスリーダーやデザイナーがヒアリングを行い、提案していく。そしてブランディングがさまざまなプロジェクトメンバーの北極星となり、最大限にブランドの魅力を引き出してくれます。
この本はビジネスリーダー向けではありますが、この考え方は現代の社会で働く上では必須の情報だと思うので全ての方に読んでいただきたいな思っています!