考えるのをやめない~2022年2月に読んだ本から
読んだ本を忘れないため、毎月、読んだ本の中から 印象に残った本を 記事にしている。
2月に読んだ本の中から、印象に残った本3冊。
1 りぼんちゃん 村上雅郁
何かを考えるとき、自分の心の中の森に行き、そこでおばあちゃんと会話をする。そんな朱理は6年生。家族にもクラスメイトにも「あかちゃん」と 子ども扱いされるのが不満。でも、転校してきた里緒は違った。話をちゃんと聞いてくれるし、子ども扱いはしない。
里緒の深い悩みを 知ってしまった朱理。それをお姉ちゃんやお母さんに相談しても相手にしてくれない。朱理のとった行動は?そして悩んだ里緒は とうとう・・・・。
事前に内容を全く知らず、題名と表紙絵から、勝手に「かわいい」をイメージして読み始めたこの本。なかなか衝撃的な一冊となった。
何か理不尽なことを知ったり、体験した場合、どうしても「自分には関係ない」と考えるのをやめたり、忘れてしまおうとしがちな私。
でも、朱理は違った。考えて考えて考えて、行動して、訴えて・・・ それが友を救うこととなる。
最後に、朱理の父親が(そして母、姉も)きちんと朱理の悩みに向かい合ってくれてよかった。
2 博士の愛した数式 小川洋子
80分しか記憶がもたない数学者の「博士」は、毎日「初対面」となる家政婦の「私」に「靴のサイズ」や「電話番号」を聞いた。
そして、「頭のてっぺんが平らだから」と「私」の10歳の息子に「ルート」と名付けた。
数学と、タイガース。3人の日々は温かなものになっていく・・。
私は、この本の何に一番 ひかれたのだろう?
「記憶が80分しか続かない」ということの恐ろしさなのか。
素数、友愛数、完全数・・・等、「数学」がたくさん出てくるところか。
「ルート」が とても思いやりの深い子だというところか。
最後まで 一気に読めた理由を うまくまとめられないのだが、「物語全体を流れる あたたかさに ひかれた」ということは外せない。
1年ほど前、大好きな河合隼雄さんのこの本を読んだ。
河合隼雄さんと小川洋子さんの対談集。
その時からずっと「博士の愛した数式」を読みたいなあと思い続けていた。
やっと読み終えた今、もう一度「生きるとは自分の物語をつくること」も読み直したい。
3 あずかりやさん 満点の星 大山淳子
「一日百円で 何でもおあずかりいたします。」あずかりやを営む盲目の桐島透。今日もあずかりやには、いろいろな客が いろいろな物を預けにやってくる。
シリーズ5冊目。
既刊の4冊もよかったけど、この5冊目が一番すとんとお話の中に入り込めた。今まで、雰囲気はよいのだが どこかふわっとしていた世界が、くっきりとした輪郭を持ったという感じ。
特に1話目、あずかりやに強盗に入ろうとした男の話に 心つかまれた。小さい時から 手に金魚の 刺青がある男。不遇な人生を送ってきていて、今にも誰かを殺しそうな状態だったのに、 あずかりやさんでのできごとで変わっていく。
今作は「あずかりやさんに預けてみようキャンペーン!」で採用された「預かり物」が登場しているとのこと。だから預かり物も 預ける人も多いのね。
3月になり、日ざしや風が冬も終わりに近いことを教えてくれる。雪かきもかなり楽になったし、溶けた雪が 排水溝に流れる音も聞こえ出してきた。
わずかに見える土の部分から 緑の植物がひょろっと芽を出していた。普段なら 雑草と思って抜いてしまうのだが、この季節、「大きくなるんだよ」と 優しい気持ちで見守ってしまう私だった。