つれづれな草 ~ 「目黒のさんま」も食べられなくなる!?
日増しに秋らしくなってきました。
秋といえば、「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」ですが、なんといっても「食欲の秋」でしょう!!
この季節、美味しいものが沢山出てきますよね。
梨、栗、柿、葡萄、サツマイモ、ナス、シイタケ等のキノコ類、松茸(← 高級すぎて私には手が出せません(笑))……
色々ありますが、やはり秋を代表する食べ物といえば、「秋」がそのままついている「秋刀魚(さんま)」でしょう。
脂ののった秋刀魚を焼いて、大根おろしを添えて、醤油をちょっと垂らして、熱々のごはんと一緒にパクリ!
口の中に秋刀魚の脂がジュワリと広がって……こうやって書いてるときから、すでに口の中は涎でいっぱいです(笑)
嫌いな人もいますが、秋刀魚のワタ(内臓)もいいですよね。あの苦みが何ともいえません。
とろこで秋刀魚といえば、私の好きな落語の『目黒のさんま』があります。
古典中の古典、有名な落語です。
話の内容は知らなくても、毎年秋にやっている『目黒のさんま祭り』のことを一度は聞いたことがある人はいるでしょう。
ちなみに今年は、9月10日(日)(品川区主催)、9月17日(日)(目黒区主催)に『目黒のさんま祭り』があります。
なんで、2回もあるの?
しかも主催する区が違うの?
という疑問があるかもしれませんが、これは目黒駅が品川区にあり、品川区も目黒なので……と、東京都民でもややこしいので、ググッてみてください。
落語『目黒のさんま』は、皆さんご存知だと思いますのであまり説明しませんが ――
江戸時代、お殿様の食事は、何かあってはいけないとして食事の準備に時間がかかり、さらにお毒見役が味を見てからでしたので、いかに豪華であろうとも、冷めた、味気ないもので、殿様も飽き飽きしていました。
そんな折り、暇な殿様は目黒へと遠乗りにでかけます。
が、思い付きででたため、誰も弁当を持参しておらず、空腹の極み。
そこへ、近くの民家から秋刀魚の焼ける匂いと煙がぷ~んと漂ってきて、「あれをここへ!」となるわけで、焼きたての秋刀魚を食べて、その味のとりこに……。
しかし、所詮は下魚ですので、屋敷で食べることはできず、他の大名屋敷に招かれた折り、「何がご所望か?」と聞かれて、「秋刀魚!」と答えます。
食事係は、慌てて日本橋の魚河岸から秋刀魚を買ってきて、何かあってはいけないと、小骨を取り除き、さらには脂まできって、吸い物にして出したので……
「この秋刀魚、どこで仕入れてきた?」
「日本橋の魚河岸にございます」
「なるほど、それでか。やはり、秋刀魚は目黒に限る!」
と、お後がよろしいようで……
というオチになります。
有名なお話なので、ネタ晴らししましたが、殿様は何も知らないんだな~と庶民は笑い、留飲をさげるのです(殿様が、目黒でさんまが獲れると思っているところが笑いどころです)。
多くの落語家さんが『目黒のさんま』を演じていらっしゃいますが、私は十代目金原亭馬生さんの『目黒のさんま』が一番好きです。
馬生さんの演じる殿様や家臣、庶民が生き生きとしていて、聞いていて本当にあの時代にいるような錯覚にとらわれます。
もう馬生さんの落語を生で見ることはできませんが、ググッてもらうと、映像が出てくるかもしれません(著作権違反……かもしれませんが(笑))。
ちなみに、馬生さんの『親子酒』や『笠碁』も面白いですよ。
話は戻って、秋の味覚、庶民の味方「秋刀魚」ですが、いまのところ今年の漁獲量は例年よりも低いとか。
7月、8月は秋刀魚も旬ではないので、スーパーでも500円とか。
庶民の味方じゃなかったの!?
と、怒鳴りたくなりますが、秋刀魚のメインは9月、10月ですので、少しは値段も落ち着くと思います。
ですが、毎年漁獲量は減っているようで、そのうち秋刀魚も、お殿様でも手の届かない値段になったりして……
などと思いながら、今日の夕食は秋刀魚にしようと、朝からすでに晩飯のお話でした(笑)
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