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必ず抑えるべき脊椎の運動機能

脊椎は、私たちの体を支え、日常生活での様々な動きを可能にする重要な構造です。屈曲・伸展、側屈、回旋といった6自由度の動きが可能であり、それぞれの動きが異なる部位に特徴的に現れます。この記事では、脊椎の運動機能についての詳細を解説し、効果的な治療や予防に役立てるための情報を提供します。

脊椎の運動機能とは?

脊椎は首から腰まで、頚椎、胸椎、腰椎に分かれており、それぞれの部位によって可動域に特徴があります。

1. 屈曲・伸展

屈曲(前屈)と伸展(後屈)は、特に頚椎と腰椎で大きな可動域が見られます。頚椎では、C5/6およびC6/7といった下位の頚椎で、腰椎ではL4/5とL5/S1が最も動きやすく、これらの部位での椎間板ヘルニアや分離症が多いことが知られています。これらの疾患と運動機能の関連性が示唆されており、理学療法士としては、この情報を基に予防や介入を行うことが重要です。

屈曲・伸展は主に頸椎(C5/6およびC6/7)と腰椎(L4/5およびL6/7)で起こる!

2. 側屈

側屈においては、特に特異的に可動域が広い部位は見られませんが、胸椎と腰椎が協力して体の側屈をサポートしています。動きの可動域を維持し、柔軟性を高めることで、日常の動作における負担を軽減できます。

得意的な可動域が広い部分はなし!

3. 回旋

回旋では、C1/2(環軸関節)が頚椎回旋可動域の約50%を占め、胸椎、腰椎へと進むにつれて可動域は小さくなります。この理由は、椎間関節の形状にあります。頚椎では椎間関節が水平面に対して45°、胸椎では60°、腰椎では90°の傾斜を持つため、特に腰椎で回旋の可動域が制限されることがわかっています。

回旋は頸椎、胸椎、腰椎と進むにつれ可動性は小さくなる!

水平面に対する椎間関節の角度

頸椎:45°
胸椎:60°
腰椎:90°


下記記事の「脊柱の可動性」の部分の表がわかりやすいので参考までに!
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腰椎疾患と運動機能の関係

体幹を回旋させる際、腰椎では「カップリングモーション」という副次的な動きが発生します。L1/2からL4/5では回旋に伴って反対方向への側屈が生じ、L5/S1では同方向への側屈が生じます。この動作パターンは、椎間関節性の腰痛を引き起こす可能性があり、特に腰椎の可動域が制限されると、腰痛が増大します。

体幹回旋時における肩甲帯・骨盤の役割

体幹を回旋させる際には、脊椎だけでなく肩甲骨や骨盤の動きも重要です。肩甲骨の水平面での回旋可動域は片側約15°、大腿骨に対する骨盤の回旋可動域も内外旋ともに約15°と言われています。この可動域が制限されると、腰椎の回旋代償が起こり、椎間関節性の腰痛が発症しやすくなります。

体幹の回旋には肩甲骨、骨盤、股関節の回旋(内外旋)の可動域も重要!

理学療法士としてのアプローチ

理学療法士としては、脊椎だけでなく肩甲骨や骨盤の可動性にも注意を払うことが重要です。特に腰椎への負担を軽減するためには、胸椎や肩甲骨、骨盤の可動域を向上させ、腰椎への過剰なストレスを避けることが必要です。また、クライアントの個々の動作パターンに応じて、適切なエクササイズを提案し、日常生活における負担を軽減する指導を行うことが重要。

参考文献

1. ′Vhite AA、 Panjabi MM i CliniCal b10rT)echanics of the splne,2nd ed.Lippincott,p98-107.1990.
2. Ochia RS et al: "Three-dimensional in vivo measurement of lumbar spine segmental motion," Spine (Phila Pa 1976), 31(18): 2073-2078, 2006.
3. Fujii R. et al: "Kinematics of the lumbar spine in trunk rotation: in vivo three-dimensional analysis using magnetic resonance imaging," Eur Spine J, 16(11): 1867-1874, 2007.
4. Neumann DA: "筋骨格系のキネシオロジー," 医歯薬出版, 2005.

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