物語に消費させない|『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』
※ネタバレあり
※性暴力の描写があります。フラッシュバックにご注意ください。
ずっとNetflixのおすすめに出てくるし、主演のアネット・ベニングとジョディ・フォスターがめちゃくちゃ格好いい予感がするので見た。
あらすじ↓
やっぱり主演の2人が格好よくて
シミもシワもたるんだ皮膚も筋肉も、人の当たり前の変化として隠すことなく堂々と居て
年齢に抗って美しく見せようとしない姿勢がむしろ美しかった。
あと、ナイアド(アネット・ベニング)もボニー(ジョディ・フォスター)も、「女性キャラクター」としてなんの役割も背負わされていないのがよかった。ボニーはコーチとして、プライベートから心身ともに全面的にナイアドをケアする役割に回っているけど、それは彼女が「女性だから」ではない。彼女の特性に合っていたのと、ナイアドを支えて一緒に快挙を成し遂げることが彼女自身の自己実現になると本人が納得したからだ、というのが十分に伝わる。
とにかく、女性だとか高齢だとかレズビアンだとかより何より彼女たちの人間が先に立っている描かれ方で、それが魅力的。わかりやすく求められるような「かわいいおばあちゃん像」なんてものとは全然違う。
それと、物語に余計なロマンスがねじ込まれないのも見ていて気持ちが良かった。
実際のダイアナ・ナイアドはレズビアンであることをオープンにしていて、だから映画でもそれは明示されているけど、それを変に際立たせて「マイノリティであるが故に苦難するロマンス」みたいなのをねじ込むわけでもなく、普通だし、別に今は恋人いないし、いなくてどうってこともない、っていう。彼女たちが普通に居ることを普通に見せている。こういう作品あまりなかった気がする。
ナイアドが幼い頃に受けた性暴力のフラッシュバックの描写が頻繁にあるけど、彼女のこの経験が、例えば「彼女はトラウマがあるからこそ強くなった」とか「大きな夢を達成するためのバネになっている」とか「だれか他の人を助けるために動く理由だ」とか、そういう作劇に利用されていないのも、誠実だと思った。彼女の消えようのない傷に、ただ事実として寄り添っている感じがした。
やっぱり友情最高。
友情を恋愛などより下等に置く価値観の作品に対しては自分の人生かけて覆していくつもりなので、作品でこう真正面から友情で功を成してくれるとうれしい。それはそもそも実際のナイアドとボニーの関係がそうだから作品もそうなったのでしょう。
日本でもこういう作品たくさん見たいし作っていきたいなーーーおしまい!