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読了後にある爽快感:小説「木挽町のあだ討ち」読書感想

 第169回直木三十五賞・第36回山本周五郎賞、受賞作。

 疑う隙なんぞありはしない、あれは立派な仇討ちでしたよ。
語り草となった大事件、その真相は――。
ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙はたくさんの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者だというひとりの侍が仇討ちの顛末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。新田次郎文学賞など三冠の『商う狼』、直木賞候補作『女人入眼』で今もっとも注目される時代・歴史小説家による、現代人を勇気づける令和の革命的傑作誕生!

出版社の説明文より

 オチはなんとなく知っていた(知りたくなかったのに、youtubeのある番組を見て知ってしまっていた💦)のだけど、最後までとても面白く読めました。というのも、芝居小屋の人々に話を聞いて回っているその人は一体誰なのか?という謎を知りたかったから。
 オチ自体は、物語を読み進めていけば「もしかして、、、」と考えられるような構成になっていて、素敵だなと思った。

 また、芝居小屋の人々がそれぞれ抱えている過去、心に抱えているもの。そのいずれかに、いくつかに、読み手も共鳴するものがあるかもしれない。今も昔も、生きていれば、悔しさ、虚しさ、悲しみ、苦しみなど、何かしらを抱えて生きている。
 読み進めれば進める程(あだ討ちについて聞き回れば、まわるほど)に、登場人物たちのことを近くに感じる。読み終わったとき、よいお話を読んだなと思わせてもらえる素敵なエンタメ作品だった。

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