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映画・ドラマ・小説の感想

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観たり、読んだりした感想を書きます。
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記事一覧

私たちの頭の中で感情と記憶はどうなっている?!:映画「インサイド・ヘッド」レビュー

 「インサイド・ヘッド」、面白かった!  ピクサーのアニメなんですが、感情が擬人化されて脳内を大冒険する映画です!脳内での記憶の扱いや困難を乗り越える際に起こる脳内の混乱が、ドラマになっています。  見始めたときは、この映画、面白いんだろうか、、、大丈夫かなあと見ていて不安になりましたが、杞憂でした。脳内の記憶や感情の働きを描きつつ、しっかり冒険物語になっていて、「え~っ、どうなっちゃうの~?!」と最後まで興味を失うことなく見終わりました。  自分の子供の頃を思い出して、少

全シリーズ、ヒロインが・・・:実写映画「探偵はBARにいる」シリーズ1~3を見た感想

 大泉洋さんが探偵役を演じるハードボイルド作品。松田龍平さん演じる相棒兼運転手とコンビを組んで、依頼人を守ります。原作は小説「ススキノ探偵シリーズ」。  以下、少々ネタばれが含まれますので、ご注意ください。  原作小説を読んだことが無かったので、どういう雰囲気の作品かも知らずに見始めました。  大泉さんが主演なので、全体を通してコメディータッチ。吉本新喜劇が好きな私は、この映画シリーズのそういう側面はとても楽しめました。  特に松田さん演じる高田のひょうひょうとした感じが

読了後にある爽快感:小説「木挽町のあだ討ち」読書感想

 第169回直木三十五賞・第36回山本周五郎賞、受賞作。  オチはなんとなく知っていた(知りたくなかったのに、youtubeのある番組を見て知ってしまっていた💦)のだけど、最後までとても面白く読めました。というのも、芝居小屋の人々に話を聞いて回っているその人は一体誰なのか?という謎を知りたかったから。  オチ自体は、物語を読み進めていけば「もしかして、、、」と考えられるような構成になっていて、素敵だなと思った。  また、芝居小屋の人々がそれぞれ抱えている過去、心に抱えてい

罪×パンデミックな小説「ツミデミック」読書感想

 一穂ミチさんの文章は、とても読みやすい。そして本作においては、「罪」がテーマの1つでつらい描写もあるのだけれど、どこかさらっとしていて、私のページをめくる手が重くなかった。あっという間に、1日で読了した。  第171回直木賞受賞作の短編集。  1話目の「違う羽の鳥」、途中までは最高に好奇心が刺激された。不思議で、ちょっぴり怖くて、予想を覆すストーリー展開。オチだけ、ちょっと肩透かしをくらった気がしましたが、それ以外はミステリ的なお話でとても楽しめました。  5話目の「祝

実写映画「KINGDAM」シリーズ1と2を見た感想

 この映画のシリーズ1と2は「見る人」が「夢を持ってあきらめずにがんばっている人」だと、心を打たれるんじゃないかなあというのが、主な感想です。戦闘シーンも迫力満点ですが、主人公、信が成長してゆく様や、戦場で戦う様々なキャラクターたちの秘めている想いも描かれています。それらに励まされたり、自分と重ねてみたり。胸が熱くなるシーンがいくつもありました。人気の理由が分かった気がします。 https://amzn.to/3WDdBQb  「キングダム」は、原泰久さんによる漫画作品で

「科捜研の女ー劇場版ー」レビュー:みなさんおなじみの、エンタメ性抜群、科学捜査ドラマ

 「科捜研の女ー劇場版ー」を見ました。  2021年の作品です。その頃はコロナウイルスが猛威をふるっていたころでした。だからなのか、犯罪の手口に大腸菌が絡んでいました。  現実世界では人体実験についてそんなことはあり得ないんじゃないかと思えるところもありましたが(笑)、犯行手口や犯人が誰かなどエンタメ作品として楽しく見ました。好奇心が刺激されるので、科学捜査もの、私、スキなんです。  事件解決までの後半は伏線もたくさんで物語が進むスピードも速かったですが、オチも違和感なかっ

「ミステリー「暗号」の作り方」読了:小説執筆アイデアのための刺激に

 「ミステリー「暗号」の作り方」を読みました。  暗号の作り方だけを簡潔に体系立ててまとめています。執筆中の方が暗号の謎を作りたいときにざっと見ると、アイデアを考えるための刺激として役立ちそうです。  ミステリー執筆中の方には作品作りの参考になる内容ですが、ミステリー好きの方には謎解きのヒントになるかもしれません。簡単に見抜けない方が、作品を楽しめるような気もしますが……😅  この本は、kindle unlimited対象作品です。サブスクされている方は、気軽に読めます

還暦を迎えた女性暗殺者たちのミステリー: 「暗殺者たちに口紅を」読書感想

 「暗殺者たちに口紅を」 ディアナ・レイバーン (著), 西谷 かおり (翻訳)を読みました。  読みながら、脳内でハリウッド映画を見ているようでした。特に暗殺というミッションをこなす還暦を迎えた女性4人組の描写の部分はスピード感があり、あっという間に読んでしまいました。若くて、暗殺者としては絶頂期というわけではなく、年齢を重ね、無理をすると身体がきつい彼女たち。けれどこれまでの経験から、狙撃名手がいれば、毒薬を使いこなしたり、武器が好きだったりと、自分たちそれぞれの経験と

「ある行旅死亡人の物語」―孤独死から解き明かされる身元不明の女性の半生と、自分の人生について考える時間

 ノンフィクション、「ある行旅死亡人の物語」を手に取りました。ある孤独死をした身元不明の女性の人生に焦点を当てたこの作品は、彼女が残したわずかな痕跡から、記者たちがどうやって彼女の身元と半生を解き明かしていったのかを描いています。興味をお持ちの方は、ネット上で公開されている原稿もご一読いただけます。  (無料で全文読めました)↓  警察も探偵も、彼女の身元を明らかに出来きませんでした。なぜなら、彼女は住民登録がされておらず、銀行の通帳を作成したときに残るはずの資料も何故かな

一気読みしてしまうミステリー小説「キュレーターの殺人」読了:ワシントン・ポーシリーズ第3弾

 M W クレイヴン (著), 東野 さやか (翻訳)の「キュレータ―の殺人」を読みました。  今作も面白く、500ページほどある作品ですが、あっという間に読んでしまいました。最近、このシリーズを立て続けに読んでいます。他の本も並行して読んでいるのですが、本を読む前にページ数を確認して300ページぐらいだと短いからすぐ読めそうだという感覚になってきました。この作品の面白さと読書体験に、感覚がマヒしてきました😅  今回は物語の中盤で、読者をひきつける謎が一気に方向転換します

「ブラックサマーの殺人」読了:一気読みしてしまうミステリー小説第2弾

 M W クレイヴン (著), 東野 さやか (翻訳)の「ブラックサマーの殺人」を読みました。  こちらは、「ストーンサークルの殺人」が1作目だったワシントン・ポーシリーズ2作目です。  「ストーンサークルの殺人」の読書感想はこちら⇩  今回も面白くて、一気読みでした。  6年前にポーが手掛けた殺人事件。三ツ星レストランのカリスマシェフが、娘を殺したとして有罪判決を受けた。しかし6年後、殺されたと思われていた娘が生きて現れた。シェフに対する冤罪疑惑が持ち上がり、ポーは窮

秋の夜長に読むサスペンス推理小説にオススメ!「ストーンサークルの殺人」”ワシントン・ポー”シリーズ、必読の理由

 「ストーンサークルの殺人」M W クレイヴン (著), 東野 さやか (翻訳)を読みました!めちゃくちゃ面白かった!文庫本としては600ページ近くあるのですが、とにかく昨日1日で500ページぐらいを一気読みしました。そのくらい読みやすく、終始物語に飽きることがありませんでした。秋の夜長に面白い推理小説を読みたいという方には、かなりおすすめです。この作品はシリーズ化されているということで、2~4作目も買って読みたいと思っています。  この物語の面白かったところは、とにかく主

小惑星テロス衝突直前のミステリー: 「此の世の果ての殺人」読書感想

 「此の世の果ての殺人」を読みました。第68回江戸川乱歩賞受賞作です。  私は犯人が誰かということを、割と早めに気付いてしまいました。が、物語がどうやって終わりを迎えるかという過程を楽しませてもらえたというのが正直な感想です。  とはいえ、作者の荒木さんは23歳のときにこの作品で乱歩賞を受賞されました。私が23歳だったころを振り返ると、彼女のような成果を上げるのは難しいと感じます。すごいです。  もうひとつ印象的だったのは、物語の終わり方でした。主人公がこの世の終わりに叶

マトリックス レザレクションズは、公式の壮大な2次創作だった?!

 「マトリックス レザレクションズ」、やっとAmazon prime videoで見ました。  「マトリックス」の3部作は全て見ていたので、とっても楽しんで観ることができました。  「マトリックス」3部作の主要な登場人物たち、あの戦いの後、どうなっちゃったんだろう。そんなことをついつい考えてしまうファンに、公式から答えが出た。そんな内容でした。    私の正直な感想。それは、ネオとトリニティのハッピーエンディングを公式が作っちゃう、壮大な2次創作を見ているみたいな作品だっ