中小企業診断士試験の出口~2次生産事例の解法テクニック~
本日(2022年1月15日土曜日)の日本経済新聞の記事に”40代からの学び直し 専門家が選んだ役立つ資格は”の記事が掲載されていましたが、1位が中小企業診断士の資格。この注目度が高い資格についてnote記事にしてみました。
1.もちろん、想定読者=中小企業診断士試験自体に興味ない方も対象です!
この記事の想定読者ですが、中小企業診断士試験の受験生の方をメインに想定していますが、もちろん中小企業診断士試験の受験を予定していない読者の方も想定しています。というのも、今回取り上げる”2次生産事例”とは、製造業での診断事例を取り上げており、いわば”問題解決の思考プロセス”の練習になるからです。語弊があるかもしれませんが、製造業の現場って、トラブルが無い状態が望ましい姿で、トラブル発生による減点方式ですよね。そこで支援する側として、問題解決の思考プロセスが必要になる訳です。実際、お勤めの企業内のマネジメント研修でも2次生産事例で身に付けた問題解決の思考プロセスは大いに役に立ちます。よって、”中小企業診断士試験自体に興味ないからこの記事も読まない!”ではなく、ちょっとだけ覗いて頂けると何か気付きになるかもしれません・・・。
他方、中小企業診断士試験の受験生の方を対象に”中小企業診断士2次試験_事例Ⅲファイナルシート”を準備致しました。私が受験勉強した当時の過去問題を材料に作成していますが、自分用にブラッシュアップを試験前日まで繰り返し(PDCAを回し)、試験当日、生産事例(事例Ⅲ)用に、この1枚のシートのみを持参する・・・という使い方も一つです。宜しければ、受験勉強の参考にして頂ければ嬉しいです。(このファイナルシートの著作権は稲垣経営研究所にありますが、ご自身の判断で、ご自由にお使い頂いて構いません。)
2.試験勉強の”出口・入口”とは?
タイトルにもあります、”中小企業診断士試験の出口”とは、”受験生最後の日” が見えてきた時の試験準備の状態のことを指します。中小企業診断士試験を受けた事が無い方でも、試験概要として1次試験と2次試験があり、2次試験は論述式で、得体のしれない試験・雲を掴むような試験のイメージがあるかもしれません。このnote記事では、この得体のしれない試験について、試験時間80分の中で何をするかを分単位で具体的・リアルに記載しています。よって試験の出口とは、この試験時間80分の作業内容や工数について、PDCAを回し、自分なりにブラッシュアップする状態のことをイメージしています。
ちなみに試験の入口は、例えば受験予備校のHPを参照に試験情報(例:資格の大原のHPはコチラ)を収集したり、書店で1次試験対策の市販書籍を選んだりする時期かと思います。ひょっとしたら、巷に溢れている中小企業診断士試験関連の情報は、試験勉強の入口の情報が殆どで、出口の情報は殆ど見当たらないのでは・・・とも考えています。そこで次に”出口の情報”である、2次生産事例(事例Ⅲ)の解法テクニックを試験時間80分の時系列に沿って具体的に解説していきます。
※補足(実際の本試験問題について):このnote記事は、実際の本試験問題を参照されなくても読み進めることは十分可能ですが、”本試験問題の現物を確認したい”との声にお応えして添付しました。ファイナルシートに対応した年分を準備しております。なお、受験予備校AASのHPでも、2次試験過去問ダウンロードサービスがあり便利です。
3.試験時間80分のリアル(読む)
最初の10分は読む作業に特化します。本試験問題は”与件文”と”問題文”の2部構成になっており、人によってはどちらから先に読み進めるかは意見が分かれるところです。私の場合、問題文から先に読み進めました。なぜなら、最初に与件文を読んでも、最終的に何が問われるか分からないと、与件文が頭に入らず、しかも与件文は長文なので、読み返すことによる時間ロスがもったいないと考えたからです。問題文を2分で読み、8分で与件文を読みます。
与件文を読む際に、SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の分析)に基づく色分けを行い、与件文に各色のマーカを引きながら読み進めます。中小企業診断士の、”受験”の世界でも”実務”の世界でも、まず最初にSWOT分析をするか否かについて議論が分かれるところですが、”受験”の世界での私の場合、本試験という極度の緊張状態で冷静な判断が出来る自信が無いので、機械的に作業が進められる”型”が必要と考え、受験の時には、”とりあえず先にSWOT分析”をしながら与件文にマークする方法を採っていました。
なお冒頭で述べました通り、製造業の現場って、トラブルが無い状態が望ましい姿で、トラブル発生による減点方式だと考えています。ゆえに、問題の所在を探る視点が重要になってきますが、下図の通り、生産管理の視点を持っておくようにします。この辺は1次試験対策の市販の本でも、インプットは十分可能です。
4.試験時間80分のリアル(考える)
10分の読む作業が終わりましたら、20分の考える作業に入ります。ここでは、与件文・問題文を構造的に捉え、解答に一貫性を持たせるようにします。これが、”問題解決の思考プロセス”のフレームワークになります。
このフレームワークは、中小企業診断士試験に限らず、お勤め先のマネジメント研修等でも見かけたことがあるのではないでしょうか。私はQCサークルのリーダを務めさせて頂いた経験がありますが、QCサークルのリーダー研修でもこの”問題解決の思考プロセス”のフレームワークを徹底的に頭に叩き込まれました。そしてメンバーに徹底的に叩き込みました・・・。このフレームワークは一朝一夕で身に付けるのは難しいので、多くの過去問題(もしくは資格予備校の答練)をあてはめて練習・ブラッシュアップするのも手です。具体的に上で添付した本試験問題(H.19~H.21年分)に当てはめてみますと以下の通りになります。
このフレームワークのイメージを、問題用紙の余白部分や予備用紙にメモを取り、いよいよ解答用紙に記入していくことになります。
5.試験時間80分のリアル(書く・見直す)
読む・考える作業で30分経過しましたが、未だ解答用紙は白紙の状態です。残り50分。書く作業に30分、見直す作業に20分使います。
下図の記載内容は、小論文対策のノウハウ本でもよく見受けますが、特に重要なのは、与件文から”因”を探り、記載する解答文で”果”となるように、因果関係を保つこと、です。とは言っても、また与件文に立ち返るのは時間ロスが想定されます。そこで、”考える”工数で得られたフレームワーク上、どの部分が問われているか明確にすることで、ポイントを大きく外すことは免れます。例えば、「理由を述べよ」との問題文があれば、フレームワーク上、”D.真因”にあたる部分が問われているので、この点を記載すればよい、という事になります。
あと見直し時間が20分とありますが、少し多めに見直し時間を取っています。与件の見落とし等、イレギュラー対応がありますので。
補足:解法テクニックの”型”をいくつ持つ?(おまけ:鬼滅の刃ネタ)
2次生産事例の解法テクニック”試験時間80分のリアル”、如何だったでしょうか?読み手によっては、機械的な印象を受けた方もいらっしゃるかもしれません。”もっと柔軟な対応で良いのでは?”との声も聞こえてきそうです。この点、議論が分かれるところだと思いますが、柔軟な対応=複数の解法テクニック(型)を持つことになり、個人的には大変かと思います。むしろ一つの型に特化して、この一つの型を徹底的に鍛え上げ、あらゆる問題でも致命傷だけは避ける方がアプローチしやすいのではと考えています。
最後に「鬼滅の刃」ネタになりますが、イメージとして10以上の”水の呼吸”の型を使いこなす富岡義勇さんはアプローチしにくいので、”雷の呼吸”の中で1つの型だけを強力に鍛え上げた我妻善逸くんのようなアプローチが良いのではと考えています。宜しければ試して頂き、何らかの気付きになれば嬉しいです。
<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>