問題なのはフードロスじゃなくて、いつまでも変わらない自分たちなのかもしれない。
食の学び舎「フードスコーレ」で、「Foodloss&Waste(FLW)」をテーマにしたプログラムをスタートさせようと思っています。(あー、ついに書いてしまった)
仕事や学校でFLW について何かしたい、だけど何をしてよいのかわからない! という方。食に興味があって FLW についても一度ちゃんと探求してみたい方。そして僕と同じように、最近の FLW に対する世間の取り組みに「なんか本質的じゃないよね」とギモンを持っている方。そんな方たちには、とくにぴったりなプログラムにしたいなと計画中です。
プログラムでは、「FLW はなんで起きるのか?」を改めて見つめ直して「じゃあ、FLWとどう付き合っていく?」を考えていく。つまり、自分にとって「FLWってどうあるべきか」を考えることで、新しい暮らしの選択肢を見つけてみたいのです。
もともと僕は、2016年に「一般社団法人フードサルベージ」を立ち上げ、「サルベージ・パーティ(サルパ)」を通して「そもそもフードロスってなによ?!」と、イベントや講演、学校での授業やメディアでいろいろと発信してきました。
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コロナ禍に入ってサルパを自粛(残念)。一方で、食の学び舎「フードスコーレ」を仲間とスタート(ワクワク)。FLW 以外の環境課題や食そのものへの興味から、自分の中では FLW について探求したり発信していくことは「もういいかな」となっていたんです。
そうなった一番のワケは、FLW が「ファッション化」してしまったから(日本では「食品ロス」という言われ方で)。僕の肌感ですが、2017年から2019年までは「FLW」といえば、食環境の中では流行りのど真ん中でした。当時は講演や企業研修、プロジェクトの相談など依頼や問い合わせがめちゃくちゃ来ました。
(当時流行になっていたと書いたのは、いまは少しずつ注目が薄れてきているため。そんな今だからこそ、周りに流されずにじっくりとこの問題に向き合うベストタイミングだなと)
そうした流れがあったからなのか、じぶんが取り組み始めたころから比べると、「食品ロス」という言葉の認知度は上がってきているようです。
これはこれでいいことなんだろうけど、こうしたときに起こるのは言葉の独り歩き。食品ロスも例外ではなく、食べものを廃棄すること=悪いこと、やってはいけないこと。そんなイメージが世間に根付きましたよね。
いや、これ間違いではないんですよ。食べものを棄てることはできるだけ避けるべきだし、気持ちの良いものでもないです。だからといって、廃棄を無くすことがどんなことにも優先するようなことなのか? というと、そこはギモンが残ります。「わかって棄てる」というのも、僕はあると思います(ここはセンシティブなことで、新しいプログラムでは「棄てる」という人間の行為にも向き合いたいと思います)。
賞味期限が近づいた商品の割引セールとか、SNSをつかった特売の宣伝とか、近ごろは商売として「食品ロス削減のために」と商品の販売促進をしているのをよく見かけます。これって、本末転倒すぎやしないかい?
企業のこうした動きは全面的に悪いわけじゃない。実際、廃棄は減るワケですし。でもRecycling や Reuse だけじゃなくて、本質的には生産や流通を再デザインするようなReduce こそ大事です。
ほかにも FLW のことには、モヤることがたくさんあるんです。企業の取り組みだけじゃなく、僕ら人間の営みとしての問題。みなさんはどうですか?
認知するフェーズから、あり方を考えるフェーズへ
FLW のこと「もういいや」となってからは、一度傍観したくなったんです。そういう意味でも「フードスコーレ」という食の学校を始めたのは、とてもよいタイミングだったなと。大学教授、研究者、クリエイター、生産者、料理人とかいろいろなジャンルのプロフェッショナルと出会って、お話しして食を探求できているのは、本当に学びが多いんです。
フードスコーレをはじめて2年以上が経ったこのタイミングで思ったのは、 FLW に対して世の中が「次のフェーズ」にいよいよ入りそうだなと言うこと。
FLW への本質的な対応策は、いまの「つくりすぎ」を見直すこと。だけど、取引先や消費者のことを考えると、短期的利益を追う企業の中でインパクトを持って取り組むのはむずかしい。
生活者としても、「もったいない」という感情的な想いのみで FLW と向き合うのは楽なんだけど、そうすると「廃棄しちゃいけない」が何よりも優先しかねない。「もったいない」だけで思考を停止させるのではなく、その先に踏み込んでみたい。
むずかしいことだけど、僕らはFLW について、今一度向き合うべきなんだと思います。
FLW はなぜ「ある」のか。
FLW を存在させているのは間違いなく人間です。廃棄物を生むのは、生き物のなかで人間だけ。
食べものを棄てることよりも優先したいことって、いろいろあるんだと思う。棄てるという行為の理由や気持ちについて考えておくと、先に挙げたようなモヤモヤが少しは晴れそうじゃないですか? 「人間ってこういうとき棄てるよね」って。
農水省や環境省が発表する毎年の食品ロス量の推計。この量は毎年減っていて、2020年の推計だと522万トン。この数字だけを見ていても、「誰かがやっているスマホゲームのスコア」のような話で、僕なんかは「ふーん」ってあまり興味が湧かない。
FLW が増えたとか減ったとか、正義か悪かとか、考えればいいのはそういうこと「だけ」じゃない(それを考えることは大事です)。食べものの廃棄はそこに確かに「ある」んです。それが事実なんです。
だから新しいプログラムでは、人の営みによる棄てる、使う、回すといった FLW の上位概念も考えたいなと思っています。
新しいプログラムでは、そのことについてもみんなでじっくりと考えていきましょう。
(あ、一応書いておきますと、食べものを棄てることでの環境負荷はできるだけ減らすべきだと思っています。ただ人間は「棄てる」生き物なので、そのことに一度向き合った方が良さそうだよね、という話です)
テーマは、「FLWのあり方を考える」
このプログラムでは、「これからの FLW のあり方」をテーマに、みんなでリアルに集まって行う勉強会スタイルにしようと絶賛企画中。これを書いている11月末の時点で、企画もいよいよ大詰め。もうすぐみなさんにご案内できる予定なので、もう少しお待ちください。
テーマにおける「問い」を自分で立てて、文献を読んだり、ディスカッション、フィールドワーク、ゲスト講師から聴く話をもとに、プログラムの最後には探求したことを発表してもらおうかなと考えてます。
なので学びの主体はみなさん自身!(そうじゃないと学んでいてもおもしろくないでしょ?)いわゆる学校の授業のように、机に座って先生の言うことをノートに書き写す、というようなスタイルは考えてないです。
だからといって、これまで FLW についてゴリゴリに向き合ってきた人じゃないと「ついていけない!」というのも良くないと思っていて、はじめて学ぶ人もそれなりの負荷で(それなりのねw)学べる工夫は考えていますのでご安心ください。
「フードスコーレ」って?
最後にフードスコーレについて少しご紹介します。フードスコーレは、食にまつわることをテーマにした学びの場です(そのまんまだ)。
2020年4月の開校以来、食にまつわる色々なテーマでプログラムをつくってきました。
プログラムの内容に合わせて、オンラインまたはリアルで実施し、中には生産現場や市場を訪ねて、現場の人に話を聴いたり現地取材もやってきました。1日限りのプログラムもあれば、数か月に渡って行うプログラムもありましたね。
スコーレメイトの中で農作業に興味のある有志で立ち上げた「フードスコーレ農園部」では、野菜やお米を育てたりもしています。
それぞれのプログラムには、その道のプロフェッショナル、研究者をゲスト講師として招いて、色々なことを僕らに教えてくれたり、学びをサポートしてくれています。そうした方たちをフードスコーレでは「案内人」と呼んでいます。食を中心に広がる世界をみんなでたのしく探検する。その水先案内人のようなイメージですね。
さて、ここまで読んでいただきありがとうございます。すこし長くなっちゃいました。FLW には長く向き合ってきたもので、書きたいことが溢れちゃいました。プログラムの中では、僕からみなさんに提供できるものはどんどんお渡ししようと思っています。逆に僕はみなさんから色々なものを受け取るつもりでいます。みんなといっしょに、たのしく学べたらと思っています。
問題なのは FLW じゃなくて、いつまでも変わらない自分たち自身なのかもしれない。
詳細はフードスコーレのウェブサイト、SNSで12月中旬ごろにご案内します。SNSのフォローお願いします!
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