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食品ロスのこと

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食品ロス関連の考察や活動のこと。
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レシピに縛られないブリコラージュな料理

地球温暖化は今、世界が直面する大きな問題のひとつ。温暖化が進むと自然災害の増加や気候変動、生態系に変化が起こり、人の生活にも深刻な影響を与えるリスクが高まる。この温暖化を引き起こす原因のひとつが、温室効果ガスの増加だ。その温室効果ガスには、まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」が大きく関わっている。 食品ロスの中でも、とくに家での食品ロスについて、フランスの社会人類学者であるレヴィ=ストロースが提唱した「ブリコラージュ」という概念と合わせて考えてみる。 レヴィ=ストロー

とくに食や教育関係のお仕事の方へ。食品ロスに対するアクション、一緒に創りませんか? (かなり本気です)

3月8日(金)の「サルパの日」に、一般社団法人フードサルベージ創立8周年記念イベントを開催してきました。 そこで発表したこれからの食品ロスに対する活動について、あらためてnoteに書きます。 食品ロスを新しく捉えなおす いま食品ロスがとても “狭い問題” になっています。消費者庁の調べでは食品ロスという言葉の認知度は8割を超えているようだけど、その割には問題を本質的に捉えきれてないのが現状だなと思います。食べ物を捨てることは“もったいない” という感情論だけで食品ロス問

10年前、食べ物を捨てたくてしかたなかった。

いまから10年前、2013年ごろのこと。あの頃の俺は、捨てようと思った食品を手に、台所にあるゴミ箱の前でよくモヤモヤしていた。 持て余している食品が目の前からなくなると、とてもすっきりする。こんなことを書くと語弊があるだろうか。整理整頓が好きなので使わないで置いておいた調味料とかティーパックとか乾物とか、できるだけ早く片付けたくなる。(10年前の話ね) これは、決して食べ物を邪魔者扱いしているわけじゃない。 すべての食べ物に敬意を払っている。その上で、使わないでずっと家

大量生産してモノを売っていくことで稼ぐというセオリーから、離れていく準備

国民の8割もの人が知っている社会問題の割には、食品ロス問題の捉え方は未だ狭いものになっているよな、と思う。 商品をつくって売り続けることで稼ぎ続けなければならない企業。地球環境にやさしい食べ物を買いたいけど、それは高価であることが多いから買い続けられない消費者。 理想の社会とリアル社会のズレで、「生きづらさ」って生まれているんだろう。これまでの大量生産・大量消費という経済セオリーのままだと、生きづらさを抱えたまま、食品ロス問題に対してもなんとなくやり過ごす日々が続いていく

フードデザイナー平井 巧さんが読む『廃棄の文化誌』──わたしの仕事と工作舎の本#6

「わたしの仕事と工作舎の本」第6回は、フードデザイナー平井 巧さんに寄稿していただきました。 平井さんの「フードデザイン」という仕事は、食品やメニューを考案したりすることとはちょっと違っています。料理のイベントや食の生産現場ツアーなど実践的で楽しい学びを通して、人間と食のありかたを見つめ直し、新たな提案をしていくことに取り組んでおられます。 そんな平井さんが出会った工作舎の本、都市デザインで知られるケヴィン・リンチの『廃棄の文化誌』。ご自身の仕事の原点ともいうべき、食品ロス問

フードロスを考える食材シェアイベント「サルベージ・パーティ」の1年間を振り返ってみる。

じぶんはですね、「honshoku」という株式会社のほかに、「フードサルベージ」という社団法人も運営してるんです。honshokuが食全般を活動の対象にしているのに対して、フードサルベージはいわゆる「フードロス」をテーマにした活動からスタートしてます。 フードサルベージは2月が期末。ということで、フードサルベージのメインコンテンツである「サルベージ・パーティ」の一年間をふりかえってみようと思います。 「サルベージ・パーティ」。略してサルパ。ぼくらのフードロスに関する活動は

フードロスについてのまとめ(2020年4月4日時点)

最近よく質問いただくので、「フードロス」まわりのことについて、まとめておこうと思います。情報は随時更新していきます。(2020年4月4日現在) フードロスまわりの言葉についてまず、言葉の整理から。じぶんがフードロスについて勉強しはじめたのが、2013年。当時はいまほど、「フードロス」という言葉は世の中に知られていなかったような気がします。 food loss 人の消費に向けられる食品サプライチェーンの、各段階における食品の量的ないし質的な減少。 ※FAO(国連食糧農業機関

問題なのはフードロスじゃなくて、いつまでも変わらない自分たちなのかもしれない。

食の学び舎「フードスコーレ」で、「Foodloss&Waste(FLW)」をテーマにしたプログラムをスタートさせようと思っています。(あー、ついに書いてしまった) 仕事や学校でFLW について何かしたい、だけど何をしてよいのかわからない! という方。食に興味があって FLW についても一度ちゃんと探求してみたい方。そして僕と同じように、最近の FLW に対する世間の取り組みに「なんか本質的じゃないよね」とギモンを持っている方。そんな方たちには、とくにぴったりなプログラムにし

フードロス疲れに、規格と屑と分解の視点が効く。

『7袋のポテトチップス』(晶文社)などの著者で歴史地理学者の湯澤規子さんと、『分解の哲学』(青土社)などの著者で食と農の歴史学者の藤原辰史さんと「ロスが生まれる世界」をテーマに話しました。 フードロスをきっかけに、こんなにも話題は広げられるし、フードロスに抱く閉塞感を打ち破れるかもしれない。そんな期待が生まれていく当日の様子をお届けしたいと思います。 「フードロス」は重要な問題だけど、向き合うことに気持ちが疲れちゃっている人も多いのかなと。僕が思うのは、フードロスだけを話

サルベージ・パーティ再始動。「フードロスとどう向き合うか?」 を探る実践の場。

2013年から主宰してきた「サルベージ・パーティ (サルパ)」というクッキング型イベントがあります。じぶんたちで開催するほかに、企業、自治体、小中高や大学と一緒にたくさん開催してきました。 2019年、コロナ渦に入ってからは活動をほぼストップしていましたが、リアルな集いができるようになってきた今、サルパを再始動しようと思います。 わたしは株式会社honshoku 代表として、そして一般社団法人フードサルベージの代表理事として、10年先に繋がる「食べる」と「学ぶ」のデザイン

世界食料デー特別企画 サルベージ・パーティ 〜食の課題をたのしく考えるための場づくり〜

8月23日(水)、honshokuは食の学び舎フードスコーレのプログラムとして、「世界食料デー」の呼びかけ団体である認定NPO「ハンガー・フリー・ワールド(以下HFW)」と サルベージ・パーティ(以下サルパ)を開催しました。 食品ロス問題を中心に、サステナブル領域における食の在り方を社会に提案することや、食卓に小さな喜びを提供するためのコンテンツ開発を推進するhonshokuは、「世界食料デー」のパートナーとしてその想いを形にしていくサポートを行なっています。 今回のサル