工作舎

土星マークの出版社、工作舎です。創業は1971年、おかげさまで2021年に50周年を迎えました。サイエンス、アート、人文、文学などの書籍を刊行。丁寧な本づくりを心がけています。https://www.kousakusha.co.jp/

工作舎

土星マークの出版社、工作舎です。創業は1971年、おかげさまで2021年に50周年を迎えました。サイエンス、アート、人文、文学などの書籍を刊行。丁寧な本づくりを心がけています。https://www.kousakusha.co.jp/

マガジン

  • わたしの仕事と工作舎の本

    工作舎の本ってどんな人に読まれているんだろう。どんな役に立っているんだろう。そこで、さまざまな分野の表現者や研究者の方に「あなたのお仕事と工作舎の本の関係について書いてください!」とお願いしました。書いてくださる方、日々探索中です。

  • 桃山鈴子 イモムシ本制作記

    驚異のイモムシ描き、虫めづるイラストレーター桃山鈴子さん。 工作舎から2021年、イモムシだらけの作品集を刊行しました。 孵化した幼虫が脱皮を重ねてどんどん成長していくような、 本づくりのプロセスをつづります。

  • 工作舎の隠れ推し本

    工作舎の編集者・デザイナー・営業・経理が、「ジャンルをまたいだテーマが面白い」「デザインの仕掛けが魅力的」など、それぞれが「人に勧めたくなった」印象に残ったことを伝える連載記事です。更新は隔週で、毎回プレゼントがあります。

  • 森須磨子 しめかざり探訪記

    『しめかざり—新年の願いを結ぶかたち』が大好評の森須磨子さん。年末年始、全国各地へしめかざりを探し求めて旅した記録「しめかざり探訪記」を連載します。

  • 土星紀セレクション

    「土星紀」は書籍への「投げ込み」として制作された新刊案内。印刷物の特色を生かしたデザインで多くの読者に喜ばれました。創立50周年記念として、選りすぐりのバックナンバーをご紹介します。

最近の記事

訳者が読み解く『奴隷たちの秘密の薬』#2 鶴田想人〈「秘密」の植物が照らす歴史の闇〉

科学史家ロンダ・シービンガー著『奴隷たちの秘密の薬──18世紀大西洋世界の医療と無知学』が2024年9月に工作舎から刊行されました。刊行を記念して、訳者の先生方による「訳者解題」を全文公開します。 前回の並河葉子先生に続いて、科学史・科学論を専門とする鶴田想人先生の解題です。前作『植物と帝国』からの流れを踏まえながら、本書の提示する世界像を、シービンガーの提唱する「無知学」の観点から読み解いていただきました。 「秘密」の植物が照らす歴史の闇鶴田想人  暗闇のなかでマッチを

    • 訳者が読み解く『奴隷たちの秘密の薬』#1 並河葉子〈新大陸の奴隷制について──「作られた黒人性」と自由の相対化──〉

      科学史家ロンダ・シービンガー著『奴隷たちの秘密の薬 ──18世紀大西洋世界の医療と無知学』が2024年9月に工作舎から刊行されました。これで単著5冊すべてが翻訳され、シービンガーの仕事の全体像をご紹介できることを喜ばしく思います。第1作『科学史から消された女性たち』以来、継続して訳を手がけてこられた小川眞里子先生をはじめ、これまでの訳者の方々に感謝いたします。 刊行を記念して、『奴隷たちの秘密の薬』巻末に収めた「訳者解題」を2回に分けて全文公開します。1回目は、イギリス帝国史

      • 翻訳家 藤井光さんとプリーモ・レーヴィ『周期律』──わたしの仕事と工作舎の本#7

        毎回いろいろな方に、ご自分のお仕事と工作舎の本とのかかわりを書いていただくシリーズ「わたしの仕事と工作舎の本」。 今回は翻訳家、アメリカ文学研究者の藤井光さんに、プリーモ・レーヴィの『周期律──元素追想』について寄稿していただきました。 『周期律』について藤井 光   この文章で、ポール・オースターの『最後の物たちの国で』(柴田元幸訳)は幕を開ける。語り手のアンナ・ブルームが兄を探してある都市に到着してからの日々を綴る手紙という形式で書かれている。物はどんどんなくなり、人

        • 夏だ虫だ鎌倉だ!『蟲??? 養老先生とみんなの虫ラボ』に新作イモムシ展示します!

          2024年夏、養老孟司先生による『蟲??? 養老先生とみんなの虫ラボ』が 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムで開催されます。 桃山鈴子さんも虫アーティストの一人として参加します! 夏。虫。鎌倉。行くしかありません! 『蟲??? 養老先生とみんなの虫ラボ』(以下『蟲???』展)は、養老孟司先生の事務所「養老研究所」が主催する展覧会です。 養老先生の昆虫コレクションを中心に、虫や自然への理解を深める展示やワークショップが企画されています。 開催期間は7月8日〜9月1日。会場の鎌倉文華

        • 訳者が読み解く『奴隷たちの秘密の薬』#2 鶴田想人〈「秘密」の植物が照らす歴史の闇〉

        • 訳者が読み解く『奴隷たちの秘密の薬』#1 並河葉子〈新大陸の奴隷制について──「作られた黒人性」と自由の相対化──〉

        • 翻訳家 藤井光さんとプリーモ・レーヴィ『周期律』──わたしの仕事と工作舎の本#7

        • 夏だ虫だ鎌倉だ!『蟲??? 養老先生とみんなの虫ラボ』に新作イモムシ展示します!

        マガジン

        • わたしの仕事と工作舎の本
          7本
        • 桃山鈴子 イモムシ本制作記
          25本
        • 工作舎の隠れ推し本
          13本
        • 森須磨子 しめかざり探訪記
          12本
        • 土星紀セレクション
          22本
        • 『批評王』刊行記念 著者・佐々木敦さんが語る
          5本

        記事

          工作舎の隠れ推し本#12 西欧文学に描かれた「森」の意味をたどる 『森の記憶』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第12回は、森を切り開くことから文明は始まった『森の記憶』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 何を失ったのかを訪ねる  「人間文明の発展は次のごとし。はじめに森。次に小屋。そして村、それから都市を経て、最後にアカデミーに至った」(ヴィーコ『新しい学』より)の題辞に導かれて、1章「はじめに森ありき」へ。著者が「起源心理学者」と呼ぶジャンバチィスタ・ヴィーコ(1668-1744)はイタリアの哲

          工作舎の隠れ推し本#12 西欧文学に描かれた「森」の意味をたどる 『森の記憶』

          工作舎の隠れ推し本#11 アジアの森羅万象を映す 『多主語的なアジア』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第11回は、日本を代表するグラフィックデザイナー杉浦康平氏の言葉の選集『多主語的なアジア』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 『多主語的なアジア』がインドを旅した  旅(行)をする時は、工作舎の本を一冊持って行くようにしている。 それにしても、工作舎の本は重い。本は石だ。 もう随分前の事に思えるが、昨年9月に夏休みを取り、5年ぶりにインドに行って来た。 話は逸れるが、工作舎の夏休み取得シス

          工作舎の隠れ推し本#11 アジアの森羅万象を映す 『多主語的なアジア』

          工作舎の隠れ推し本#10 SF的手法を駆使して四次元の想像に迫る 『四次元の冒険』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第10回は、論理数学者にしてSF作家、鬼才ラッカーの時空学入門『四次元の冒険』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 四次元空間の住人になるためのガイドブック  少々戯れ事にお付き合いいただきたい。  先日来、専門のメーリングリストに登録して勉強中なのだが、「まっ白い皿のうえに乗った艶やかな赤いリンゴの様子をアリアリと想像」したり、「印象に残った夢をムービーとして思い出す」のが困難な状態を「ア

          工作舎の隠れ推し本#10 SF的手法を駆使して四次元の想像に迫る 『四次元の冒険』

          工作舎の隠れ推し本#09 トンデモない人々のおかしくも悲しい人生模様 『奇天烈紳士録』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第9回は、あっぱれな人生と奇妙な信念『奇天烈紳士録』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 奇人は現代人へのギフト  自分とは違う生き方をしている人に出会った時、みなさんの心はどのように動きますか?劣等感や優越感、もしくは、褒めたり批判したりしますか?  「みんなちがって みんないい」これは、金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」の詩中の言葉です。この詩が胸に響き、慰められたのは私だけではないはず

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          工作舎の隠れ推し本#08 異なるものへの怖れ 『犬人怪物の神話』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第8回は、他者への畏れが生み出す神話・伝承の怪物たち『犬人怪物の神話』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 エリアーデの弟子がひもとく怪物の正体  中世ヨーロッパでは、未知なる辺境の地に怪物が棲むとされた。 一つ目の巨人(キュクロプス)、無頭人(ブレミーズ)、大きな一本足の種族(スキアポデス)など怪物たちの中に、頭が犬の種族もいた。それが本書でとりあげる犬人怪物=ドッグマン(キュノケファロス

          工作舎の隠れ推し本#08 異なるものへの怖れ 『犬人怪物の神話』

          工作舎の隠れ推し本#07 異相に神あり異形に神あり 『本朝巨木伝』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第7回は、巨木の生命と日本の物語『本朝巨木伝』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 屋久島の香り  人はなぜ巨木に魅せられるのか。深山幽谷に自生する樹木には、人のあずかり知らぬ、荘厳な気配がある。一方で、産土神を祀る神社の神木はもっと身近で、懐かしさすら感じさせる。私たちは巨木から何かしらの情報を受け取っていて、その情報が無意識に作用し、畏怖やノスタルジアといった感情を惹起するのだろうか。そ

          工作舎の隠れ推し本#07 異相に神あり異形に神あり 『本朝巨木伝』

          工作舎の隠れ推し本#06 「うまい!」が見える 『ワンダーレシピ』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第6回は、美味しい魅力いっぱいのグルメスケッチ『ワンダーレシピ』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 食いしん坊のレシピ・スケッチ  いきなり自分で編集した本を紹介するのは、少々気が引けないこともないけれど、『ワンダー・レシピ』について書いてみたい。そもそも稲垣足穂の『男性における道徳』を読んで以来、料理や食事について云々するのは避けてきた。なのに最近、料理に関係する仕事が増えている。そのき

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          工作舎の隠れ推し本#05 奇妙な2Dワールド 『プラニバース』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第5回は、奇想天外な二次元の世界『プラニバース』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 2D OR NOT 2D  中国発のSF金字塔、劉慈欣『三体』シリーズのクライマックスでは、異星人が放った次元兵器によって太陽系が二次元空間へと崩潰していくシーンが描かれる。あらゆるものが平面へと「滑落」し、太陽系は巨大かつ厚みのないゴッホの『星月夜』のような絵と化してしまう。この世界の暮らしを、劉慈欣はこ

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          工作舎の隠れ推し本#04 3万4000種の静かな悲鳴 『滅びゆく植物』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第4回は、滅ぼされてゆく植物たちの生物多様性の旅をめぐる『滅びゆく植物』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 滅びゆく植物たちの寿命と特徴 『工作舎の隠れ推し本』のために、カラー口絵の樹について調べてみた ●リュウケツジュ(竜血樹) 寿命 数1000年級 特徴 傷がつくと血のような真っ赤な樹液を流す ●レバノンスギ(レバノン杉) 寿命 数1000年級 特徴 乾燥や暑さに弱いため、栽培や移

          工作舎の隠れ推し本#04 3万4000種の静かな悲鳴 『滅びゆく植物』

          工作舎の隠れ推し本#03 『セックス&ブレイン』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第3回は、オスとメスの相互補完的差異の巧妙なメカニズムを浮かび上がらせた『セックス&ブレイン』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 生物学の呼び声に導かれて。 脳科学がもたらす「男と女」の未来とは   男は女よりも論理的である、女は生まれつき男より感情的だ…など。男女の性差にはいわれなき神話が多い。イギリス下院議員を務めるアンジェラ・イーグル氏は、1976年開催のイギリスU18女子チャンピオ

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          工作舎の隠れ推し本#02 アインシュタインの最初の妻 ミレヴァの生涯『二人のアインシュタイン』

          note連載企画「工作舎の隠れ推し本」の第2回は、アインシュタインの最初の妻であるミレヴァの生涯を綴った『二人のアインシュタイン』です。記事の最後に、プレゼント企画の詳細が書いてあります。ぜひご応募ください。 朝ドラにはならない人生、だがそれがいい! 「あなたのいない人生を見た 私は輝いてた」 2023年アカデミー賞を席巻した映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の主人公エヴリンは、夫にこう言った。 エヴリンは中国系の移民一世。ランドリー店を経営し、生

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          フードデザイナー平井 巧さんが読む『廃棄の文化誌』──わたしの仕事と工作舎の本#6

          「わたしの仕事と工作舎の本」第6回は、フードデザイナー平井 巧さんに寄稿していただきました。 平井さんの「フードデザイン」という仕事は、食品やメニューを考案したりすることとはちょっと違っています。料理のイベントや食の生産現場ツアーなど実践的で楽しい学びを通して、人間と食のありかたを見つめ直し、新たな提案をしていくことに取り組んでおられます。 そんな平井さんが出会った工作舎の本、都市デザインで知られるケヴィン・リンチの『廃棄の文化誌』。ご自身の仕事の原点ともいうべき、食品ロス問

          フードデザイナー平井 巧さんが読む『廃棄の文化誌』──わたしの仕事と工作舎の本#6