心ときめくサーカスの世界🎪
みなさんは、サーカスをみたことがありますか?
わたしは、3、4年前に一度、そして2022年にもう一度、木下大サーカスの公演をみにいったことがあります。
それまで、自分にとってのサーカスは、絵本で見たものだったか、夢で見たものだったのか、あるいは自分の記憶だったかすら曖昧で、でも気になる存在でした。
まったく覚えていないのですが、幼少期のアルバムにボリショイサーカスのチケットが貼ってあるのを見つけたので、何かしら脳裏に残っていたのかもしれません。いずれにせよ、わたしはサーカスというものに惹かれていました。
おとなになって木下大サーカスの公演を見つけたときには、「これは行かねば!」と思い、本物のサーカスが見れることがうれしくてたまりませんでした。
どんな空間が広がっているのかとわくわくして訪れたサーカスの会場には、長蛇の列の先に、想像通りの赤いテントが立っていて、テントの中には高い柱がそびえる舞台がありました。
果たしてサーカスというのはそんなにおもしろいものなのか、映画「グレイテスト・ショーマン」で見たような空中ブランコが見れるのか、それともわたしの脳内で誇張されているだけで、実際はそんなに大したものではないのか――。
サーカスの幕開けは、ピエロのコンビが客席を温めるところからはじまります。そして、その後に次々と繰り広げられるショーは、どれも「unbelievable!」という言葉がぴったりの人間業とは信じがたいパフォーマンスでした。
すごいのは、一つのショーにつき3回くらい期待値を超えてくるところです。息を呑むようなクライマックスが3回くらいあるんです。
それは人のなし得る技なのかとドキドキハラハラしながら、拍手がやみません。一瞬一瞬、一球入魂のパフォーマンスがつづきます。
宙を舞うダンスに、ジャグリングに、手品に、動物たちのショーに、と舞台演出も目まぐるしく変化していきます。
そして最後は、演者たちがかろやかに空中を飛び交う空中ブランコで幕を閉じます。一人ひとりが跳ぶたびにひえっとして、うまくいくとほっとする感じですが、跳ぶ姿はとても美しいです。
そんな圧巻のショーを見ていると、技をこなす演者たちは一体何者なのか、という疑問が湧いてきます。そこで手に取ってみたのがこちらの本です📚
感想としては、思ったより普通の人というか、子どもの頃からサーカスのために鍛え上げられてきた人というわけではないと知り、ちょっと驚きました。(しかも、一人の人がいろんな技をこなしているとのこと……。)
ただその練習はえげつないレベルのものです。たとえば、大きな球体の中を3台のバイクがグルグル走るショーがあるのですが、当然そんなことを最初からできる人がいるわけがなく、なんども嘔吐を繰り返しているうちにできるようになったそうです。
ショーの素晴らしさだけででなく、サーカス団そのものにも稀有な魅力があります。現在はサーカス団自体が希少で、木下大サーカスは世界の3大サーカスの一つとされています。
各地を飛び回って公演をおこなっていて、100名ほどの団員たちは集団移動生活を送っているそうです。別の地に移動するたびに、テントやサーカス団員や動物たちが住むコンテナの大移動がはじまります。
前述の『木下サーカス四代記』では、サーカス経営者としての木下家の人々の奮闘や、サーカス団員たちがどのような人生を歩んでいるのかも垣間見ることができます。木下大サーカスという一企業を担ってきた経営者や演者たちの波瀾万丈の人生からは、サーカスに懸ける想いとその迫力がひしひしと伝わってきます。
サーカスを経営してきた四代の経営者一人ひとりが、サーカスのことを考え尽くして、人生を懸けて存続のために手を打ってきたから今があるのだということがよくわかります。
ビジネスとしての側面だけではなく、国際交流や福祉におけるエンターテイメントとしての役割をつくってきたこと、常に社会のことを考えつつ、社会の動きにあわせて柔軟に変化しつづけてきたこと。どれをとっても、視座が高いのです。しかも、社長みずから空中ブランコをはじめとした演技もテント仕事もやってのけてしまうという稀有な経営技です。
そんな木下大サーカスは、全国各地を巡っているので、ぜひお近くで公演がある際には騙されたと思って見てみてほしいです〜〜。
わたしはサーカスで演じたい人たちがいる限り、この先もエンターテイメントとして続いてほしいし、こういう一芸を鍛え抜いた人々の作り出すエンターテイメントがたのしめる世の中であってほしいなあと思っています。
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