その時あなたは何してた?: 1999年 日産と仏ルノー資本提携
Z世代の方にとってカルロス・ゴーンさんは犯罪者の印象なのでしょうか?じーじ世代は、ゴーンさんに感心したり、呆れたり。。。
1999年の新語流行語大賞は、3件でした。
まず「ブッチホン」受賞者は、小渕恵三(内閣総理大臣)。
次が、「リベンジ」受賞者は、松坂大輔(西武ライオンズ)。
最後が「雑草魂」受賞者は、上原浩治(読売ジャイアンツ)でした。
主な出来事は、ジャイアント馬場が死去、神奈川県警など警察不祥事続出、団子3兄弟人気、国内初の脳死臓器移植、地域振興券の交付、「アイボ」発売、「iモード」大ヒット、NATO軍がユーゴ空爆、石原慎太郎が東京都知事に、コロンバイン高校、銃乱射事件、東海村JCO臨界事故、盛田昭夫が死去、2000年問題など盛りだくさんでした。
IT関連の話題が多かった年でもありました。なかでも2000年問題は、今では考えられないような問題でした。
昔は、情報を保管するハードディスクやメモリーが高価だったので、できるだけデータ桁数を少なく設計するのが技術者の腕でした。
だから、西暦の下二桁だけを暦年データとして使用していました。
ところが、2000年になると99から00に戻ってしまうので、不具合を生じる場合があるという問題が2000年問題でした。
1999年:「日産とフランスルノーとの資本提携、カルロス・ゴーン改革」
ジャパンアズンナンバーワンと言われた1980年代の日本の成功体験、①多様性に不寛容なムラ社会での長時間労働、②属人化、③部分最適の3種の神器が通用しなくなり、1990年からの失われた30年が始まっていました。
そんな閉塞感の日本で、黒船がやってきてパラダイムが変わろうとしたのが、ゴーン改革でした。
1999年3月、当時経営と財政危機に瀕していた日産が、ルノーと資本提携を結び、同年6月にルノーの上席副社長であったゴーンが、日産自動車の最高執行責任者(COO)に就任してゴーン改革が始まりました。
日本企業の時間軸では考えられない速さで、リバイバルプランを10月に発表、日産のV字回復が始まりました。
ゴーンが持ち込んだのは、「多様性に寛容な経営」、「やりきる経営」、「縦割り排除の経営」と「若手の登用」だったと思います。
「人は、多様性から学び、そして、共通性に安らぎを感じる。」というゴーン流の考えの下で多様性からの学びの文化を日産社内に醸成していきました。
ゴーンの下で、一緒に働いた元COO志賀さんの講演を聞いたことがあるのですが、こんな話をしていました。
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ゴーンが連れてきたフランス人部長が、会議が終わった後に〝ミスター志賀、あの会議は何だ″と批判してきたので、こいつ分かっていないなと思って私の部屋に連れていきました。
それまでの日産は、役員の半数以上が東大卒の、ある意味で同じ釜の飯を食った者同士で経営してきました。
ところが、フランス人部長は異質な存在でした。じっくり教えてやろうと夕方から話を始めたら、夜遅くまで話込んでいました。
その時に、ふと、「こいつの考え方もありだな」と思えた瞬間がありました。これが、私自身にとって多様性を受け入れた瞬間でした。
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2点目は、言わずと知れた「結果にコミットメント」する経営。
そして最後が、「クロスファンクショナルチームの活用」でした。
ゴーンは、「Power comes from inside.(力の源泉は社内にある)」というキャッチフレーズを掲げ、自らセブンイレブンと言われた(朝7に出社して夜の11時まで働く喩)くらい誰よりも働き、人の話に耳を傾ける努力をして、最後は、自分の思う方向に社内をまとめていきました。
「各部門から人を集めて、協力させる仕組みで、派閥主義や縦割りをなくし、全体最適を追求するツール」と語っていたクロスファンクショナルチームは、改革に大変有効でした。
また、ゴーン氏が導入したプログラムダイレクター(PD)という職種も有効に機能しました。
新車開発に掛かる人件費はもちろん、販売時の販促費や工場の固定費などを横ぐしでコスト管理し、営業損益ベースで利益を最大化することに責任を負うポジションを作ることで、縦割りを排し、車種ごとの収益管理が徹底できました。その効果は、低収益体質からの脱却に現れました。
しかし、ゴーン逮捕で、表に出てきたのは、縦割り打破を目的に設置したクロスファンクショナルチームは、ゴーン親衛隊となって独裁忖度部隊に変化していたこと。
PDも「以前は、設計や製造が分かる人が就いていたポジションでしたが、やがて出世コースの一つになってしまい、実際の新車開発は、その下の人間がやっていた」と形骸化していたこと。
必達目標であるはずのコミットメントは、次第に、とても実現できない数値になっていたこと。
こういった事実が日産OBから指摘されていたそうです。
「『できない』と言えば飛ばされる。逆にどんなに無理な数値でも『やる』と言えば、2年間はそのポジションに残れる」という状況を日産OBの方は、「コミットメント疲れ」と称したそうです。
ルノーとの「アライアンス疲れ」も現れ、「コスト削減止まりで満足していた」とのことです。
独裁というのは、時に暴走を許してしまいます。ガバナンスを取り戻して、電動化技術や運転支援技術を通して日産復活をお願いします。
社会課題解決と経済価値向上の両立を「技術の日産」の底力で実現してほしいです!
後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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