【じーじは見た!】 後編:国谷裕子さん ~国谷さんの「クローズアップ現代」は良かったよ~
NHK クローズアップ現代のキャスターを23年間務められた国谷裕子さんの著書「キャスターという仕事」を読んで感じた彼女の矜持の一面を前編で紹介しました。それに続く後編です。
いくら本を読んでも、どうして突然番組を降ろされたのかは、よく分かりませんでした。しかし、フリーのキャスターとしての彼女の矜持はよく理解できました。感動しました。
✅生放送だからこそのハプニング
後で編集する番組ではなく、生放送にこだわった国谷さんの思い。それは、時々ゲストとの不協和音を生んだそうです。
倉本聰さん、試写を見て「クリスマスは何かをしてもらう日ではない。何かを人のためにする日だ。VTRリポートには、こうしてほしい、あれが欲しいが描かれている。全く違う」「俺は帰る」とスタッフを驚かせたそうです。
生放送の中で倉本さんは、VTRリポートについては一切コメントしなかったそうです。
また、評論家の立花隆さんには、生放送のゲストトークで「さっきのリポートに出てきた考え方には、私はまったく反対なんだ」と言い切られたそうです。(立花隆さんのご冥福をお祈りいたします)
✅23年のクローズアップ現代での後悔
国谷さんは、「追跡”出家詐欺”~狙われる宗教法人」において、VTRリポートに「過剰な演出」があり、BPOから「事実の歪曲」を指摘されたことをもの凄く後悔されていました。
事前の試写・レビューでどうして見逃したのかを後悔し、報道番組が視聴者からの信頼を失うのは一瞬のことであることへの反省を口にされていました。
また、VTR編集において、悔いを残すものとして、「赤ちゃん預かります~保育に乗り出した幼稚園の戦略」において、ある幼稚園からの申し立てがあったことを記述されています。
取材された幼稚園側から見れば、一方的で著しくバランスを欠いた放送であると「放送と人権等権利に関する委員会」から放送倫理上の問題の指摘を受けた点に放送の自律の重要性を口にされていました。
また、純粋に取材テーマとしての後悔としては、「急増する派遣労働について、セーフティネットの欠如など、そのもたらすものが十分に見えていなかった。」と書かれています。
23年間のクローズアップ現代の中で、「雇用」を巡る環境変化が一番大きいと感じている一方で、派遣労働の適用範囲の拡大に対して、1999年5月20日に「急増する派遣社員」、そしてかなり間をおいて2004年12月7日「派遣社員は製造業を変えるか」が放送されているに過ぎないと、急増する派遣労働にセーフティネットの欠如などが十分に見えていなかったと後悔を口にされています。
✅自負されている点
クローズアップ現代が世界経済の大きなうねりや構図については丁寧に伝えてきたと書かれていました。
1)アメリカで広がった返済能力の低い人々への住宅を担保に貸し付けるサブプライムローンの危うさ
2)リーマンショックをきっかけにした世界的な金融危機のメカニズム
また、「暗いつぶやき」を求めて地方の活性化や行政の在り方、地方財政に目を向けた番組も重要だったとその意義を次のように書かれていました。
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ジャーナリズムの機能は第一義的には権力の監視機能だろうが、社会的弱者に対する感受性、想像力を発揮して、社会全体がその痛みを共有するよう、弱い立場に置かれた人々が抱える問題を広く伝えることもジャーナリズムが果たさなければならない役割だ。
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この内容にも「なるほどな」と共感しました。
✅降板言い渡し
23年間務めたクローズアップ現代のキャスターの仕事を、国谷さんは、2015年12月26日に2016年度の番組キャスターとして契約を更新しない旨言い渡されました。
最終回のゲストとなった柳田邦男さんが残された「危機的な日本の中でいきる若者たちに四か条」(原文は8か条だったが、番組では4か条として紹介)を最後に書かれていましたので、わたしもそれを書き写して国谷さんの思いを伝えたいと思います。
1.自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える時間を持つ。感情に流されずに論理的に考える力を付ける。
2.政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底にある問題を読み解く力をつける。
3.他者の心情や考えを理解するように努める。
4.多様な考えがあることを知る。
5.適切な表現を身につける。自分の考えを他者に正確に理解してもらう努力。
6.小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな人と会うことが自分の内面を耕し、人生を豊かにする最善の道であることを心得、実践する。特にボランティア活動など、他者のためになることを実践する。社会の隠された底辺の現実が見えてくる。
7.現場、現物、現人間(経験者、関係者)こそ自分の思考力を活性化する最高の教科書であることを胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを心掛ける。
8.失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することなく、自分の考えを大切にして地道に行動を続ける。
これは、プロのキャスターとしての矜持でもある「8か条」ではないのかな?と私は思ったのですが、皆さんはどんな風に感じましたか?
最近のテレビは、政治家や官僚の失言を切り取っては、発言の背景には触れずに「さざ波」発言だけを切り取って「けしからん」と視聴率のために扇動する意図も感じます。
BPOが機能するテレビですらそうなのですから、SNSを始め、ネットの情報には、皆さんもくれぐれもご注意くださいませ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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