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象徴天皇の実像「昭和天皇拝謁記」を読むを読んだ
原武史「象徴天皇の実像「昭和天皇拝謁記」を読む」読了。
私は昭和の生まれで、物心付いた時はすでに昭和天皇はご高齢だった。亡くなる少し前からは、毎日血圧や体温や脈拍数などがニュースで報道され、子供心に何か大変な事が起きているのだなと思った記憶がある。
そして昭和天皇は、恐らく歴代天皇の中で、一番波瀾万丈だったのではと思う。
拝謁記とは、戦中戦後の動乱期の昭和天皇のご様子を、ご家族以外では一番近くで見ていたであろう、初代宮内庁長官田島道治氏の記録書の事。
その拝謁記の解説本が本書だ。
戦前は大元帥として、戦後は政治とは切り離された象徴天皇として...その人生を菊のベールに隠されて、お人柄に触れる機会がほとんどなかった昭和天皇の、生の言葉が書かれていて、とても興味深かった。
そして「朕思うに..」と言う言葉遣いではなく、「○○だよネー」と言う感じで、生の言葉遣いで書かれていたりして、息づかいまで聞こえてきそうなリアルさで驚いた。
リアルさで言えば、例えば兄弟との確執、弟ばかり可愛がる母に思い煩うところなど、高貴な方々にも、一般家庭と変わらず生臭い問題はあるのかと思った。当然政治についても思う所はおありだったようだ。天皇陛下も当たり前だけど人間で、色々感情があるんだなぁと、当たり前の事に気付かされた。
そして結構驚いたのが、アメリカ占領後、日本国民がキリスト教を受け入れるなら、自分も改宗しても良いとお考えだったとのこと。
天皇陛下は神道のトップ。
キリスト教に改宗してしまったら、存在意義が....と考えてしまうけど、戦争責任や難しい問題は、無知な私が触れる事ではないので止めておきます。
ただ昭和史を学んでいくと、必ず昭和天皇に行き着くので、その入門書としてもとても適していると思った。