覚書:なぜか汚れない人
子供の頃「ここじゃないどこか」に憧れていた。言い換えると、ここは私にぴったりの場所じゃない、という感じがずっとしていた。
理由は、はんぶん別世界に住んでいたから。
本が好きな子供だった。
小学校の図書室と、近所の市民センターの一角にある小さな「こどものほんコーナー」によく通っていた。
外国の児童文学を読むことが多かった。
やがて現実世界の他に、内側になんとなく別世界ができていった。
内容は人それぞれ全く違うだろうけど
自分で選び取った養分を蓄えて作られていくものだから、大抵はその子の理想の世界になる。
花咲く緑の丘とか
森の奥の湖と忘れられた古城、とか。
岬にぽつんとある灯台とかもめ。星降る夜に銀河鉄道。
子どもはそうやって夢を育んでいきます。
でもそれは年齢とともになくなっていく。
小学校低学年を過ぎると周りがあまりドリーミーじゃなくなってきて・・・
内側世界は私だけの秘密になりました。
(ちびまるこちゃんのたまちゃんも、たまに「タミー」になってますね。小3だからタミーになるのは心の中だけ。)
大人になると内側世界を持っている人はさらに減りますが
そういうのを持っているひとは現実のあれこれに染まり切らなかったりします。
漫画家の安野モヨコ先生はエッセイに書いていたし、モンゴメリもたぶんそう。「青い城」の主人公や赤毛のアンにその傾向があるから。
(クリエイターの人には多いかも。)
岡本かのこさん(岡本太郎の母)のことを誰かがこう書いていました↓
「彼女は心に花園を持っているから、いつまでも汚れてしまわない。だからずっと魅力的だったのだ」と。
この一文に学ぶべきことが書かれている。
彼女は内側世界のおかげで、荒んだり、所帯染みたりしなかったのでしょうね。
腐海の地下に広がる森のようです。(ナウシカ)
それに
心に花園を持っている人を、人は安易に踏みつけたりしない。
(ただし例外があって、この“花園”を感知できない人々もいるわけで・・・そうなると“花園”は通用しない。いつまでもそこに居てはいけません)
これも品と誇りを保つ方法のひとつ。
もし今の環境に染まってしまいたくないと願っているのならば
今から図書館か本屋に行って、自分の好きな世界の本を一冊見つけてみてください。
かつて好きだった本でもいいと思う。
本に限らず、ネットで映画や音楽でもいい。
それを朝晩、お昼休みなんかにも触れるようにする。スマホの待ち受け画面にしてもいいかも。(私もそうしよう)
腐海の地下の森を作るために。
ただし欠点もあって
先日、世にも奇妙な物語で、娘を「お姫様パーティー」に出席させたお母さんが、自分の方がハマってしまって人生狂わせ・・・みたいな話がありました。
バランス大事。
現実がお留守になってちゃいけません。
片足だけはかならずリアルな自分の人生の基盤にいて、できるだけ有利に人生を進めていきつつ、それだけに支配はされないこと。
私は幼少期からの筋金入りの「別世界持ち」ですが
小さい時からの目標は「わたしの理想に近づくこと」でした。
どこにいてもこころはうつくしく
花を愛し、動物を愛し
弱いひとは助け、おとしよりは大事にして
よくはたらき、けなげでいること。
子ども時代の憧れ世界の住人はみんなそうでしたから。
人よりたくさん荷物を持って、このくらい大丈夫と笑って。
雨ニモマケズ風ニモマケズ・・・・・
いつか誰か(願わくば王子さま)が見つけてくるから
ってしていたらある日気がついたのですよ。
(高校生ぐらいだったかな)
なんか私だけ損してない?って。
みんな「ありがとう」「助かるわ」「めっちゃやさしい」とかいうけど、私のことは誰も手伝ってくれないじゃん!!!!
しかも「荷物」はどんどん増えるばかりだし・・・
頑張ってみんなの荷物運んでて、ふと顔を上げると皆身軽に人生楽しんでいたのでした。
結局、要領よく愛想良く、着飾って目立って、時に肉食獣の如く王子様を狩りにいかないと、待ってても来ないのですよ王子なんて。
(って西原理恵子さんも書いてましたが)
そもそも普通に考えて、地味で目立たなければ王子が気づかなくても無理はない。
(さま付けません)
王子とかは置いておいて、荷物が重いと身動きってしづらくなるのです。
しかも「王子待ち」だったから急遽方向転換しなければならないし
幸い成績が悪くなかったから進学できましたが・・・手持ちのコマ(学生さんなら勉強はやはり大事!出席日数も*)は絶対に捨ててはいけません。
*手持ちのコマについて次回書くことにします。
うつくしい物語は嘘つきです。
現実はどう考えても美しくないから。
幻想であり、決して間に受けてはいけません。現実で戦う術は現実にあります。
しっかり目を開いて。
でもうつくしい物語は必要です。
あなたの心を守ります。それは品性に、そして内面の魅力に繋がります。
いつかあなたの人生を少しだけ良い方へ引っ張ってくれるかもしれません。
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子孫への手紙でした。