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ノーベル文学賞「別れを告げない」完走、感想

久しぶりに本をしっかり読んだ。

ミーハーなので、アジア初のノーベル賞受賞作家、しかも韓国の方の作品ということで、脈絡ないけど、韓ドラ好きの流れで、読んでみた。

出だしは、暗くて、重くて、あれ?これ読破できるかな?と不安になるような印象だったんだけど。

読めば読むほど引き込まれて。

一本映画を見終わったような。
ずっしりと余韻の残る作品でした。

わたしの拙い文章力では表現し切れないなぁ、読後の感じ。

まずは、背景となっているチェジュ島の事件のことを、何も知らずに読んだので、それで前半ちょっと意味を捉え切れず、暗いだけの印象だったのかも。

読み終わった後、著者は直接的な表現は何もせず、淡々と事件を登場人物に語らせているだけなのに、この事件に対する著書の思いが強烈に伝わってくると言うか。

わたしの内面から湧き出してくると言うか。

戦争、虐殺、人権無視の国家的愚策、、

そんなものに対する怒りというか、憎しみというか、絶望というか、

そして、タイトルにある通りの、終わってないんだ、まだ、というメッセージ。

作者は何も直接書いてないのに。

すごく伝わった。

そして、作者は愛の物語である、というように、家族愛、友への愛、犠牲者への愛、が散りばめられた作品でもあったことも忘れてはいけない。

そういう作品でした。


背景がわかってから、もう一度前半読み直したいなと読んでいるうちに、2周してました。

2周目は前半の暗い重い感じも、ただの暗い、重いじゃなかった、と気付かされた。


いやぁ…

こんな作品には初めて出会いました。

あまり、こういう受賞作品とか読まないんだけど。

内容が難解で、良さが理解できないのでは?という偏見があったりして。

娯楽作品っていうか、話がわかりやすくて、さらっと読める方が好きだし。

韓国の作家さんという、なんともミーハーな気持ちで、しかも、前半、やっぱり受賞作品、難しそうだな〜なんて思いながらだったけど。


結果、ノーベル文学賞納得の作品でした。

思わず、ハンガンさんの、他の作品も買ってしまいました^_^。

また違う作品の世界観が楽しみです。


そうそう、忘れちゃいけない!
斎藤真理子さんの翻訳が素晴らしかったです。
方言の表現とか、すごく難しいと思うけど、作品の世界観を崩すことなく、日本語の美しい表現を使って、まるで翻訳物と感じさせない文章でした。


お読みいただきありがとうございました。


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