着の身着のままゲーム機 #毎週ショートショートnote
僕らゲーム機の間で、着せ替えが流行りだした。
僕には全く理解できない。
せっかく考え抜かれてこの形や色で生まれたはずなのに、なんでわざわざボタンが押しづらくなるカバーを付けたり、体が重くなるケースに入ったりしなきゃならないんだ。
「でも流行ってるし」
「そうそう、みんなやってるじゃん」
「個性出せるっていうかさ」
皆そう言ってケースやカバーを身につける。
「流行りモノをお揃いで着て何が個性だよ。僕は着の身着のまま、この姿で生きる。こんな街にはいられない!」
「…まぁ、確かに君みたいに生きれたらかっこいいなとも思うよ」
そうだろ?僕は誇らしげに街を出た。
ここはダメだ。僕にはもっと、自分が輝ける場所があるはずだ。
ところが新たな街に着いた瞬間、待っていたのは周りからの冷たい視線だった。
「えっ何あのゲーム機」
「ありえなーい。カッコ悪!」
「っていうか古くない?いつのバージョン?」
思わず僕は店に駆け込み、1番人気の最新カバーを買った。
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