未来断捨離　#毎週ショートショートnote

「まったく、だからお前はダメなんだ。俺はただでさえ重要な仕事を抱えてるっていうのに...」

「はぁ...すみません」

男がバーで部下に毒づいていると、マスターが唐突に言った。

「お客様。私、未来が断捨離できるんですよ」

「はは。なにマスター、面白いこと言うね。じゃ俺の未来の面倒ごと全部断捨離してくれよ、コイツの尻拭いとかさ...。それで未来が楽になったら言うことないね」


翌日、男は出社して青ざめた。
打ち合わせで使う資料がない。昨日のバーだ。
急いでバーに向かい、勢いよく扉を開けるとマスターが困った顔で言う。

「お客様、うちは夜からの営業で...」

「そんなことより昨日ここに封筒を忘れてなかったか？仕事で使う大事な資料なんだ」

「ございませんでしたが...というより、多分、消えてしまったのではないですかね。お客様の未来は昨日断捨離させていただきましたので」

「そんな馬鹿なことあるか！」

「未来は繋がっていますから。昨日の未来が今日であり、そしてあなたのこれからです」

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