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吉良川(2)


吉良川の遍路宿の朝は早く、Iさんは、次の札所へと旅立ちました。それを見送った私たちは、安芸へ向かうバスに乗り込みました。

私は、昨晩のIさんの言葉をかみ砕いていました。ふーん、と昨晩の私は、思っていました。それが弘法大師の教義の真髄なのか、ピンときていませんでした。

けれど、才能ウンヌンの問題でつまずき、「何をやってもダメなんじゃないか」という疑念をやり過ごしたくてここにたどり着いた私には、何かが響きました。

吉良川の海沿いの、ただ真っ直ぐな道をバスは疾走し、そこでIさんらしき1人のお遍路さんを追い抜きました。

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皮膜
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