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今年の3冊目

今年の3冊目、九段理江著「東京都同情塔」、読みました。

どんな建築物でも、それ特有の機能のために設計され、建築され、管理されます。例えば刑務所であれば、犯罪者を収容し、刑罰を与え、更生させる機能。

でも近未来、刑務所は、「シンパシータワー」という名の施設に変貌を遂げていました。そこは、「ミゼラブルな人」(犯罪者)に適切な手当てを施す施設。

一見して寛容な社会の象徴にも思えるタワーは、でもその実、犯罪者を隔離し、排除して、社会の安全と秩序を保つ役割を担っています。

寛容の中に不寛容を隠蔽している社会。脈略なく、「懲役刑と禁錮刑を合わせて拘禁刑に一本化する改正刑法が来年6月施行」という報道を思い出しました。

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皮膜
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