町ぐるみで工事中のようだった数年前、私は、少しビクビクしながらこの町の夜の裏道を歩いていました。
けれど、数年振りのウランバートルは、あか抜けました。ビルが折り重なり、道には車が溢れ、人人はスマートフォンを片手に忙しく歩き回っています。
それを眺める旅人は、おいっ子・めいっ子に再会した親戚の気分です。「すっかり大きくなって」と目を細めつつ、一抹の寂しさを感じたりもしています。
身勝手な感傷です。そして、あか抜けたホテルの部屋で、昔のようなシーツのほつれや、電話機の故障や、排水の悪さを見付けて少し嬉しがったりしています。