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濃霧が立ち込める早朝に

濃霧が立ち込める早朝に、目を凝らして丘の上に向かって歩いています。遠くで車の存在を知らせるクラクションが聞こえます。視界は、数十メートル。

霧の奥に何かが潜んでいる不安。その時、不意に、本当に不意に、一つ、また一つ、霧の中から巨体が姿を現しました。「巨人ブレアリオだ」と身震いします。

それくらい、その出現は、不穏なものでした。その一基の体内を見物し、外に出た頃には、でも、霧はすっかり晴れていて、景色を一望できました。

そうなってみれば何のことはない、怪物の正体は、10基の風車に過ぎず、私たちは、興ざめしました。それは、ドン・キホーテを笑う人人の姿に似ていました。

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皮膜
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