土地とは、遊牧民にとっては、誰のものでもなく、いわば共有の資源でした。でも、国からの土地の分配制度によって、誰かのものになりつつあります。
Eさんに尋ねます。「死んだら、国に戻しますか?」「いえ、子どもがもらいます」。そうして分配され、相続された土地が彼等の定住の基礎となっています。
定住は彼等のニーズでもある、とEさんは、いいました。でも、わずかな土地と引き換えに、豊かな暮らしが都市化の波に侵食されている気もしています。
「土地が私有されていけば、遊牧できる土地は、どんどんなくなりますね」。「モンゴルは、広いですから」と、気休めのようにEさんがいいます。