見出し画像

Aさんに

Aさんに「最近、機嫌よく仕事してるねぇ」と声を掛けられました。「まぁ、ラストスパートみたいなところがありまして」と私は、苦笑いをします。

私の退職は、社内では公然の秘密です。Aさんは、それを深追いせず、「私にとっては、最初の仕事が天職だったなぁ」と、何気ない調子で切り出しました。

新卒で入った職場で好きな人ができ、結婚を前提にそこを辞めた。結局うまくいかず、その後は派遣社員として渡り歩いている。前に彼女からそう聞きました。

辞めた後で「あれが天職だった」と気付く仕事もある。その言葉に特段の湿り気も、私を脅かすトゲもありません。だから余計に、私の決心を突っ突きました。

自分らしく生きられる場を探すのではなく、今、自分がいる場所で夢中になって生きてみましょう。そんな日々の積み重ねが、その人らしさを作っていくんだと思います。

(斎藤茂太)

いいなと思ったら応援しよう!

皮膜
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。何らか反響をいただければ、次の記事への糧になります。

この記事が参加している募集