マーケティングの教科書 #9 流通チャネル戦略
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本記事のポイント
商品が消費者の手へ渡されるまでの経路を流通チャネル
品切れせず過剰在庫にならないよう、様々な流通チャネルを上手く組み合わせることが重要
流通チャネル戦路
商品がメーカーから消費者の手へ渡されるまでの経路を流通チャネルと言います。一般的にはメーカーから御売業、小売業を経由して消費者へ届けられるが、品切れをおこさずにしかも過剰在庫による鮮度を落とすことなく適切な量を的確なタイミングで店頭へ並べるために流通チャネルの果たす役割は大きいと言えます。
(1) 流通チャネルの構造
流通経路の機能として大きく以下の2つに分類できます。
「直接流通」と「間接流通」
① 直接流通
メーカーから直接消費者へ商品の受発注と流通が行われるシステムを「直接流通」と呼ひます。従来、このスタイルは非常に少ないものでしたが、インターネット通信取売などの発展とともに急激に増加しています。また、従来流通業者であった企業がプライペート・プランド商品を開発し自社の流通チャネルを利用した製販活動に参入するケースも多くなってきています。
このシステムは、販売価格から中間マージンや流通コストを排除することができるので廉価な商品を提供できるメリットがあります。一方で、生産地と消費者との輸送の問題や在庫管理機能などすべてのインフラが整備されている企業でないと実行できません。
② 間接流通
メーカーと消費者との間に何らかの流通業者を経由するシステムを「間接流通」という。日本の農産物や工業製品の流通経路で最も多いのは、メーカーなどの生産者から御業者を経て小売業者に商品が売り渡され、最終的
に消費者へ販売されるスタイルです。
販売価格の中に製造コストだけでなく大きな割合で流通コストも含まれることから、流通経路の簡素化が進められています。その一つの形態として、最近ではスーパーなどの大規模小売業者にみられるように、メーカー自らが御業の機能を有し小売業者に販売するものや、一つの卸業者が複数のメーカーから製品を買い入れ、別の卸業者や小売業者へ売り渡すなどというスタイルも増えています。
(2) 流通チャネルミックス
消費者の購買行動が多様化するにつれて、流通チャネルも多くの組み合わせによって運用されるようになってきました。従来の家電製品などに代表されるように、メーカー系列の専門店で販売する専属的チャネル戦略、選択的チャネル戦路が中心でしたが、現在では各メーカーの製品を扱う量販店などで販売されたり、インターネット上のモール・サイトで注文を受けコンビニエンスストアのレジで代引きする仕組みなど、市場を広くカバーする開放的チャネル戦路が一般化されています。
パソコンを購入するにしても、設置もメンテナンスも業者へお任せしたい顧客は少々価格的に割高であっても近くの電気店で購入します。色々比較検討しながら金額、機能や性能あるいはデザインなどの要求に合致した製品を探したい消費者は家電量販店やパソコンショップなどを買い回ります。2台目3台目の購入で技術的な知識を持っている消費者はインターネット上でBTO (Build to Order :受注組立)品を注文するなど、様々な購買シーンが形成されています。
メーカーも販売店も、どの流通チャネルを組み合わせればもっとも効率的であるか選択しなければなりません。
(3) ロジスティクス
流通システムと同義的に使われる用語でもありまうが、従来的なメーカーと消費者を結びつける完成品輸送だけの物流活動から、需要情報や在庫情報などから生産者に対して適切な生産量を発信するなど従来の完成品の輸送・保管に加えて原材料の調達・輸送・保管や小売店などからの受注によるピッキング・荷造り・配送という機能を果たすなど、これまでの物流とは異なり、情報システムを活用して、メーカー・御業者・小売業者が一体化した「物流情報システム」が形成された戦路的流通システムを「ロジスティクス」と呼んでいます。
最近では、メーカーから消費者へ向けた調達物流や販売物流の「フォワード・ロジステクス」および企業内物流だけでなく、消費者からの返品物流や消費後の廃棄物流などの「バックワード・ロジスティクス」が一体化された循環型ロジスティクスのシステム化が企業責任として求められています。また、これらロジスティクス全体を担うサード・パーティ型の流通専門企業も台頭してきています。
以上、#9はここまでです。
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