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アボリジニ? アボリジナル? ファーストネイション? 日本語での先住民の呼び方・書き方問題
オーストラリアに20年住んでいます。
初めの頃に知り合った日本人ご家族は、オーストラリア関連の書籍を集めるのが趣味ということで、「裸足の1500マイル」などをお借りして読みました。
しかし途中に出産育児を挟んでしまうと、色々と忘れてしまっておりまして、最近「ハッ」とする指摘を受けたので記しておこうかと思います。
1.オーストラリアの先住民
オーストラリアの先住民と呼ばれるグループは2種類。
「アボリジナル(Aboriginal)」と
「トレス海峡島民(Torres Strait Islander)」。
「トレス海峡島民」の人々については、「アイランダー」という呼びかたをよく使っていて、差別的な意味合いもないと理解していました。
一方、アボリジナルについては、私は意識的にインディジネス(Indigenous -先住民)という言葉を使っていました。差別的な意味もなく無難だという認識があったからです。
なぜこの言葉を使うようになったのか?
そのきっかけについてはもう忘れてしまっていて。
ただ、この地に住む日系の方が「アボ」「アボちゃん」「黒い人」などの濁した言い方をよく使っていたので、別の表現方法のほうがいいなあと思った記憶はあります。
もちろん上記の言い方を、差別的に使っているかどうかというのはまた別の話で、どう言えばいいか悩んだ末とか、親しみをこめている人もいるように思いますが。
2.ダメ出し
ところで、私の友人に先住民ととても距離の近いお仕事をしている女性がいます。私も決して距離が遠くはないのですが、仕事内容は掃除で、彼女はカウンセリングということもあり色々と詳しいわけです。
で、その彼女に送ったメールに、私は「アボリジニ」と書きました。普段ならインディジネスを使いますが、この時はアイランダーじゃないという意味合いでした。
すると、やんわりと、
ちなみにアボリジニ、と日本の人はよくいうけど、これはほぼ差別語になって、アボリジナル、というのが良いです。アボリジニ、だと植民地時代の白人が使っていた言葉なので、その要素が混じって、今はアボリジナル、というのが一般的です。Indigenous or First Nations というのも大丈夫!
というお返事が来ました。
もちろん焦りました。
私のエッセイでもアボリジニという表記を使っていたので、あわてて訂正をお願いもしました(その節はありがとうございました。ちなみに英語に訳した文章では、翻訳サイトが賢くて、全てAboriginalと変換されていましたよ)。
3.日本語媒体では
さて、新しく情報が上書きされた頭に、次のニュースが目に入りました。
オーストラリアでは老舗の日本語情報誌です。
こちらは「アボリジニ」表記でした。
なお、ソース元の国営放送ABCではIndigenousもしくはFirst Nations表記。
??? と思い検索したところ、友人の指摘と同じ内容のサイトもありましたが、日本語では「アボリジニ」表記のサイトが散見されました。
https://japan.embassy.gov.au/tkyojapanese/indigenousarts_jp.html
在日オーストラリア大使館の表記まで!
ざっと見た中で唯一、パンデミック前に書かれたと思われる観光系のサイトに「アボリジナル・ピープル」という表記が見つかりました。
この文章を書いている時の文字変換も、「アボリジニ」は一発なのに対し、「アボリジナル」は、このまとまりでは認識されません。
情報がアップデートされていないだけなのか、
日本語だからと苦言を呈する人がいないからなのか、
なぜなんだろう、
うむむ
となっております。
「アボリジニ」表記を使う権威性の強い組織には、質問を送った方がいいのか、どうなんでしょうねえ。
などと考えているうちに、やるべきことが進まず、時間ばかりが経ってしまったのでありました。
やばい。
4.おまけ
こういう言葉を使うといいよという情報をまとめた、大学発行のPDFがありましたので貼っておきます。
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