HINARI CAFEの企画担当に聞く
前回に続いて、企画部社員のインタビューです。HINARI CAFEはオープン当初の珈琲単品 から、パウンドケーキやどら焼きなどのお菓子類、お弁当やパンなど多岐にわたる商品をＣＴＣグループ社員に提供するようになりました。いずれも、障がいある方を雇用する企業や団体の製品です。
商品開拓を通じて社員は「HINARI CAFEの役割を知った」と話します。社員のCTCひなりでの体験と発見を紹介します。
Q：ひなりカフェで販売する商品の開拓を担当されたと伺いました。
A：カフェオープン当初はコーヒーしか出していませんでした。お菓子を売りたいという話が出始めたころに、港区特産のハチミツ「しばみつ®」を使った事業を募集していると聞きました。「グラノーラならハチミツを使って作れそうだ」と思いつきました。農福連携のコンソーシアムで知った、グラノーラを作っている事業所（NPO法人東京ソテリア）と結び付いたわけです。それが、CTCひなりが手掛けた第１号の「しばみつ®グラノーラ」。2022年の終わりでした。
Ｑ：グラノーラを手始めに、何品くらい揃えましたか？
Ａ：20ぐらいはあるんじゃないですかね。カフェに置くもののほか、ノベルティというお土産セット用の品物もそろえました。ノベルティでいうと倉敷市のパウンドケーキ（就労継続支援B型事業所クラシス）に、広島市の三六五=みろこ=石鹸（就労継続支援B型事業所ポレポレファクトリー）などもありました。この石鹸には、面白い繋がりがありました。第2回チャレンジコーヒーバリスタ（※註）で優勝した広島のLoveArtさんと大会当日に名刺交換して、その後「イベントをやるので遊びに来てください」と声がかかりました。そのイベントでポレポレファクトリーが石鹸を展示販売していました。見た目もいいし、クオリティも高そうなので、その場で交渉して取引が実現しました。
Ｑ：出会いを活かして、商品をそろえているわけですね。
Ａ：飛び込みもありますし、ネットで探す場合もあります。ネットの場合、ホームページが更新されているかを見ています。更新されていないところは仕事をやっているかどうか、わかりませんから。そして実際に行って、事業所のポリシーや姿勢に関して話を伺ったうえで「ここだったら取引してもいいかな」と思えるかどうか。それから、職場の雰囲気も大事だと思うんですね。みんなが楽しそうにやってると感じられるところなら、いいんじゃないか、と。
Ｑ：これまで扱ってきた商品は、そういう基準を満たしている、と。
Ａ：そういう点を満たしているところを選んでいるつもりではいます。
Q：相手先の反応は、いかがですか。
Ａ：みなさん、ウェルカムですよ。売り先に困っていますし、企業が声をかけてくること自体があまりないようですから。パウンドケーキの場合でいうと、年末のお歳暮では大量に出るけれど、１日に５個か１０個売れればいい、という感じだそうです。ところが、ひなりなら50個仕入れて、１日に完売です。葛飾の聾学校の生徒が作ったスイートポテトも70個仕入れて、その日に完売でした。販路を広げる面で少しお手伝いできれば、と思っています。
Q：お互いWinWinなんですね。
Ａ：ええ。もう一つわかってきたのが、作ってる人がね、目的や意味とかあまり感じられないまま作業している感じがあるんですよね。「事業所に行って今日はこれを作ります」だけになっているというか。でも、自分が作ったものが、どう売られているか知ると、全然モチベーションが変わるんですよね。カフェで売ってる写真を撮って送ると「東京タワーの見える素敵なカフェで、うちのお菓子を売っているんだ」と、それだけですごく驚かれて、やる気も全然変わるんだそうです。事業所や特例子会社の人からそういう話を聞いて、販路の拡大以上にすごく意味があるとわかりました。
最近だと、グラノーラバーを作っている埼玉県新座市の施設（福祉工房さわらび）の方４、５人が「売っているところを見たい」というので、納品を兼ねてカフェにきてもらいました。
Ｑ：カフェで売るお菓子が、誰かのやる気を引き出している。
Ａ：そう。ひなりという特例子会社が自社の障害者雇用に限定されずに、他の事業所や特例子会社で働いている人たちに貢献する仕組みになってきているように思います。生きがいを感じたり、生きる意味を感じるとか。そういうことに、ひなりで働くスタッフたちも、仕事を通じて、関わっているわけです。「繋ぐ、繋がる」ことの意義を感じますね。
後注
チャレンジコーヒーバリスタ：一般社団法人 日本サステイナブルコーヒー協会が定期的に主催する、障がいのある方たちのバリスタコンペティション
スタッフ：CTCひなりで業務に従事する障がいのある社員
ジョブサポーター：業務が円滑にできるよう障がい者スタッフをサポートする社員