毎日やり続けても上達しない理由 クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。


今年2月から「2日に1記事以上、1記事1,500~3,500字以内」という制限で書き続けて8ヵ月以上、その間勿論書くだけでなく色々やってるのですけれど、思うところあって今回のテーマは「毎日続けることのデメリットと限界」について。

僕がやり始めるのに前後してnoteでも何人か似たような事をしている人を見かけたのですが「毎日やる」って宣言しちゃうんですよね、そういう人って。別に宣言するのはいいんですけど、毎日やるって事がどういう現象を引き起こすのか、分かってて言ってるとは思えないケースがほとんどで、で、そういう人ほど3ヵ月くらいで出来なくなってしまう。

「まぁ、そりゃそうだろうな」というのが僕の感想です。

当の本人たちにすれば「毎日できたら凄い」「毎日くらい楽勝」「毎日やればぐっとうまくなる」とか思っているらしい雰囲気があるのですが、調子がいいのは最初だけ。1ヵ月半も過ぎればアウトプットの内容からかなりバテてきてるのを感じるようになり、大体3ヵ月くらいで頓挫します。僕はその辺の事情が経験から大体読めていたので目標を「毎日」に置く事だけは絶対に避けました。正直「悪手」だと思っています。今でも。

「毎日やる」と何が起こるか

毎日テーマ探しをするのも大変です。つまり「ネタ」を探す・決めるという作業には意外な負担がかかっており、これを50日間連続でやり続けると相当に衰弱するでしょう。「選択・決断」という行為には想像以上の精神力を消費しているのです。

表現を工夫するのは大変です。新しい文体、新しい絵柄、新しい題材・モチーフに挑むことは、うまくいくかもわからず、チャレンジですから大きな負荷がかかります。成長が期待できる試みではありますが、毎日やり続けられるものではありません。

ネット上には無数の表現者がおり、ネタも表現方法も被りがち。毎日やってるなかで必ず斬新なネタ、奇抜な表現方法を追求し続けることができるなら、まず一流になれるでしょうけれど、大抵の人はそんな力を持ってないのでありがちなネタをどこかで見たようなやり方で表現してしまいます。結果、毎日毎日似たようなものをネットに上げるようになり、溢れ返る「そこそこ面白いけれど色んなところで何度も見たようなもの」のひとつとして(正しく)埋もれていきます。

基本的に、すでにできることをやり慣れていく、数をこなすことによる効率化の手段として「毎日やる」は有効なのですが、一日で人に見せられるレベルのアウトプットができない状態で「毎日何かしら完成させる」を目標にすると未完成品が量産されるか、雑な完成品が量産されるか、です。

毎日やるなら、毎日「取り組み」を続けるか、もうできることを「より速く、少ない労力で」やるための効率化を目標にすべきでしょう。

何日かかけてひとつのことをやる意味

もうできることをより早く効率的にやるためには数をこなす方がよいですが、まだやったことのないこと、まだできないことを「できるようになる」ためには時間をかけてじっくり取り組んだ方が確実です。達成率も上がるでしょう。何回かやればコツもつかめてきて、そのうち一日でできるようになるでしょう。

そうなったら毎日やってより早く効率化を目指せばよいのであって、そうなるまでは「新しいことは時間をかける」が鉄則です。

未経験なことは何が起こるかわかりません。ハプニングやアクシデントで予想外に時間や労力を消費してしまうこともあるため、「まず、やってみる」の場合「すぐやめる」「できれは失敗の後始末に時間がかからない程度にしよう」などの判断基準とワンセットで行動した方がよいでしょう。

慣れてないことでスピード勝負をしても、いい結果は出ません。

「毎日やる」のデメリットと限界

ということで、「日をまたぐチャレンジができなくなる」「完成度・質が上げられなくなる」「新しい表現・技術が身につかなくなる」「別のことをする時間が確保できなくなる」などのデメリットが想定できます。実際パターンを増やしたり腕を上げたりするには資料を読んだり実験したりで完成品に結実しない期間を必要とするものですし、そうした習作や下書きなどを作る時期がなければ大きな成長は望めません。

その一方で、あるていど以上の腕前になると「毎日アウトプットを出しながら実験的な取り組みもし続ける」という作業バランスが可能になるため、「毎日やりながら新しい技術も身につけ上達し続ける」という状態も作れます(根本的に変えるなど「新しいこと」の水準にもよりますが)。

つまり「やり慣れてないので慣れたい」というなら「毎日完成品を作る(目標水準までやり遂げる)」、「できなかったことができるようになりたい」なら「毎日取り組んで目標達成を目指し続ける」を選択するべきです。

「毎日やってればうまくなる」という考えは捨てましょう。「毎日やってれば『やり慣れる』」。うまくなりたかったら「その水準に達するまで『何日でも』やり続ける」こと。レベルアップのためには省力化とは別の取り組み方が必要だと肝に銘じましょう。

まあ「毎日やる」ことにもメリットはあるんですが、それだけで順調に成長できると思ったら大間違い、何事にも向き不向きはありますよ、というところですね。

さて、次回はいつになることやら……。




続く




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比那北幸@批評
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