【毒親】『親という傷 幼少期の心の傷をとりのぞけばあなたの人生は好転する』◇まとめ その5【トラウマ】
本書のまとめの5本目。昨日は家庭の私用につきサボってしまいました。
ご覧いただいている方,すみませんでした。
全部の目次は,こちらの記事に記載しています。
Part2 心の傷とその原因
Chapter4 何かに属したい
「真の帰属意識には傲慢や反応性はまったくない(p.144)」
ここでは「帰属意識」という少し難しい言葉が出てきます。
簡単に言うと,「ある集団に属している、またはその集団の一員であるという意識や感覚」のことです。
本書では,属している集団とは,主に「家族」「家庭」のことを指します。つまり,本書の「帰属意識」とは,「自分はこの家族の一員なんだ」「自分はこの家庭にいていいんだ」という意識です。
著者はここで,ニール(仮名)というクライアントの事例を通して,「帰属意識の傷」について説明しています。
彼は同性愛者(ゲイ)ですが,心の落ち着けるパートナーが見つからず,自暴自棄になっている自分のことを深く知るために,著者のところに来たと言います。
話を聞くと,彼の両親は非常に信心深い人たちで,幼少期から「自分のような性的志向を持つ者を,家族は受け入れないだろう」という気持ちを秘めて,自分を偽りながら生きてきました。
彼がついに家族に自分の性的志向を打ち明けたところ,両親は受け入れないだけでなく,彼を「罪ある子」として厳しく批判したそうです。そこで彼の心には恐怖と不安が強く現れました。
これがきっかけとなり,ニールの「帰属意識の傷」が生じ,彼の「自分はどこにも属せない」という気持ちが今も彼をむしばみ続けています。
さて,ここからニールの他に,4人の事例を通して,帰属意識の傷が生じる原因を,大きく4つに分けて説明しています。
1,無視と回避(脳性麻痺をもつトリシュ(仮名)の事例)
トリシュの家族は彼女に「普通」を求め,脳性麻痺を受け入れなかった。彼女が学校で麻痺の症状のことでいじめられても,「(いじめる子たちが)いじわるなだけ」と言って,彼女の現実を無視した。
「もし自分の現実が否定され,無視され,避けられたら,自分の経験や真実を疑うようになりやすい。(p.125-126)」
2,支配(父親が海軍軍人の家庭で育ったカール(仮名)の事例)
父親は毎朝カールとその兄弟たちに軍人教育のような訓練を施し,彼の意向はや気持ちは全く無視して,子どもたちを支配した。
「『わたしたちと同じようにしなさい。そうすれば家族に属していられる。同じようにしないなら,もう家族の一員とはみなさない。』家族の期待がこのような支配に変わったとき,帰属意識の傷がたやすく生まれる。(p.127-128)」
3,不寛容と屈辱(非常に厳格なキリスト教徒の母の元で育ったブリー(仮名)の事例)
厳格な信仰者だった母親は,ブリーが思春期に入り,ボーイフレンドができたときも,ダンスパーティに行ったときも「地獄に落ちる」「悪魔の道を選んでいる」と言って,不寛容な態度と屈辱を彼女に示し続けた。
「自分を恥じるだけでも十分みじめなのに,ほかの人から,しかも愛や導き,養育,保護を求めるべき大事な人から屈辱を受けたら,心が萎えてしまう。(p.130)」
4,社会の影響(白人らしく生きることを余儀なくされたバネッサ(仮名)の事例)
先に亡くなった父親が黒人で,白人の母親を持つバネッサは,白人のコミュニティで幼少期を過ごした。黒人らしさを抑え,周囲の白人の友達に合わせなければならない環境でにひどく悩んだ。
「じっくり考えてみてほしいーー属していないという恐れが,メディアや社会によって悪化しなかっただろうか。(p.136)」
次に,「帰属意識の傷」に対して,人が行なう対処法が2つ述べられています
1,適応する(ありのまま2,拒絶する(適応しようとした後,拒絶してコントロールや支配を受けないように試みる)2,拒絶する(適応しようとした後,拒絶してコントロールや支配を受けないように試みる) しかし,著者はこの対処よりも,はじめは居心地が悪く思えるかもしれないが,自分の核となる信念,価値観,自分の選択や行動が本当の自分と一致すること,つまり「自分らしく生きること」が「帰属意識の傷」を癒した先を見る上で重要であると述べています。
【心の根元の傷を癒すワーク・帰属意識の傷】
さて,ここでも,心の根元の傷を癒すワークに取り組みます。前回同様に4つのステップがあります。
1,心の傷に名前を付ける
(自分を傷つけたものは何なのか,正確に言語化してみる)
2,客観視する
(自分か他の誰かに,痛み,影響を与えた出来事の目撃者になる(なってもらう)※これは自分自身でも可能)
3,悲しむ
(客観視によって表れたすべての感情に寄り添う。自分の気持ちをしっかりと感じる)
4,方向転換する
(十分に悲しんだ後,再び自分に深く関わり,行動や考え方のパターンを変える)
それぞれの傷を,この4つのステップに沿って見つめます。著者は,傷を見つめる前に必ず,安心でき,リラックスできる環境に身を置くことを勧めています。
―― ■ 以上が本書のまとめ。以下は私の感想文です ■ ――
前回と同じように,私もこの帰属意識の傷のワークをやってみました。
私が「自分はここに属してもいいのだろうか」と最初に感じたのは,今まで忘れていたのですが,幼稚園の頃,私のおもちゃを奪ってきたり,列に並ぶ順番を競って,私が負けるとそれをなじってくる子がいました。歩いて家に帰る途中や,家に帰ってからもそのことで私は悲しんでいました。しかし母親は,「そんなことで泣くんじゃない」「あなたにも非はある」と言って,私の悲しさや悔しさを汲み取る声かけをしてくれませんでした。
思えば,「この家族に私は迎え入れられているんだろうか」と疑問を感じたのは,この出来事だった気がします。
また,小学生になって空手の習い事の中で,腕っぷしが強い子に苦手意識を覚え,親に「習い事を辞めたい」と言っても「根性がない」「お金がもったいない」と諭されて聞いてくれなかったりしたこともありました。(中学校への進学と同時に空手は辞めましたられましたが,家族への疑いは晴れませんでした。)
こうしてみると特に,他者との人間関係で問題を抱えたときに両親にきちんと取り合ってもらえなかったことが,帰属意識の傷となって,現在の私の人間関係の問題につながってきている気がします。
私は前回と同様に,その時の自分を思い出しました。そして,悲しくて,悔しくて,困っている当時の自分に声をかけ,抱きしめました。
「悲しかったね・・・」
「負けて悔しかったんだね・・・」
「おもちゃを取られて嫌だったね・・・」
「強い子にやられて悔しかったよね・・・」
「もうこの人間関係から離れたいのに,辞められないなんて,苦しかったね・・・」
「君は大丈夫」
「君は弱くなんかない」
「君のままで大丈夫」
「君は今のままでも十分強いよ。こうして頑張って我慢して,今の私につなげてくれた。だから君は,本当に大切なんだ。信じてほしい・・・」
気が付くと,かなり時間が過ぎてしまってました。前回と同じように,胸の奥が熱い感じがします。
さて,「帰属意識の傷」については一息付けましょうか。
次回は「Chapter5 優先されたい」を読んでいきましょう。