怒りを抑える療育
放デイの見学をしていると様々な悩みを聞いていき、結果的に相談支援始まってないか?というとこにまでいってしまうことがあります。
よくある相談では
感情のコントロールが苦手で、
特に怒ると手がつけられない
というもの。
うんうん、うちにもいますよ。怒ると手がつけられない子!と思うのですが、それに対する保護者の願いが
怒らないようになってほしい
とのこと。
私は正直に答えます。それはできません!と。対処法は大抵支援者側の都合の良いもので本人の解決には繋がっていなかったりします。
しかし、なるべく何に対して怒ってるかアセスメントしながら理解して、怒る回数を減らしたりすることは見込めますと言います。
そんなのでは意味がない!と見学の後には契約にならないケースもたくさんありました。
悲しいことに「怒らないように」という理由で 怒りながら指導する支援者もいます。怒ってしまうのか、意図的に怒っているのかはわかりませんが子どもにとっては同じ結果でしかありません。
思ってはいけない感情を持つと、心と身体を切り離さなければならなくなります。感情は湧き出るものでなかなか止められるものではありません。
怒った後の行動が変われば、受け取る側の守備が変わります。守備の変え方は打たれてからでは遅いので、準備と確認が必要です。
アセスメントでどんなところに着目しているかお話しします。
1.どの時間帯に沸点になるか
午前中なのか、午後なのか。もっと細かくすると活動前なのか後なのか等、苛立ちやすい時間帯を2週間ほどチェックします。
2.どんな集団でいるときか
幼稚園や保育園だと特に交流保育時はクラス以外の子もいます。人的環境がどんな場面かをチェックします。クラスでいるときは落ち着いているのに夕方の自由遊びになるとトラブルになりやすいということもあります。もちろん、この人的環境には職員も含まれます。
3.どんな遊びや活動の時か
勝敗がある遊びで負けた時はあるあるですね。あとはクラス移動する前に、という子もいました。場面の切り替えが難しく不安になっていたという原因でした。外活動の時なのか、2人チーム制のときなのか色々ピックアップするとあると思いますが関連する部分が出てくると活動内容の見直しや設定の仕方の問題が浮き彫りになりやすくなります。
4.朝、家の過ごし方がどうだったか
家でのトラブルを引きずっているがために一日うまくいかないというケースも多くあります。なるべく保護者と家での過ごし方を情報交換出来るとベストです。
5.睡眠、食事、甘え時間は満たされているか
苛立ちの原因がこの3つのどれかになっていることは多くあります。保育園の昼寝が長すぎる問題や偏食のために給食が充分でない量で済んでいたり、長時間の労働や一人ひとり兄弟が多くて甘えの時間がなかなかとれていなかったり…
子どもたちの欲求は1人ひとり強さも異なります。同じように接していても満たされる子もいれば満たされない子もいます。それぞれ均等にすることが決して正解にならないことが育児の難しさです。
アセスメント後の対応
1は一旦置いといて、
2の人的要因に関しては、トラブルになりやすい対象にも特性があるのでどんなことで怒りに繋がるのか考えましょう。合わないのであれば物理的に離してしまうのが最前ではあります。負の感情になりやすい子は自ら苦手な子に近づいて、相手を改善をしようとする傾向があります。回避が自分で出来ないのです。なので、グループ分けをして活動したり、座る場所を固定させるなどして置く環境設定をしておくと良いでしょう。職員がしっかりついて仲介に回れるような環境では近くにいても良いかもしれませんが、まず無理ですよね…
3の特定の活動がある程度絞れた場合には、活動後に好きな活動を取り入れることをオススメします。食に対して積極的な子は給食のために頑張れるかもしれませんが、そうでない子にとっては活動→給食では頑張れません。5分でも体を動かすなどの時間があると、他の子にとっても意欲の出方が変わります。
4と5の生活の中に絞れた場合には家庭との連携が必要になります。基本的生活習慣への理解を深めなければならないので、どのように寝ているかや食事の取り方など家庭環境を知っていくなかで見えるものが出てくるかもしれません。
たとえば偏食があり、朝ごはんをほとんど食べていないことが原因で日中の活動に集中できないなどが考えられます。また、食べられるものが限られている子は満腹になることが難しい場合もあり、夜眠りにつくのに時間がかかるため寝不足傾向になるという理由も考えられます。
このように生活習慣を知ることで、施設での様子とつながるのです。
この生活が1のどの時間帯に沸点になるかというポイントへの気づきになることもあります。午睡前になりやすい子は眠いのとが理由の一つかもしれませんし、夕方みんなが帰り始めた頃になる子はもしかすると寂しさがあるからなのかもしれません。
トラブルから見られる前後の場面で考えることも必要ですが、家庭と施設の時間を合わせた24時間中で考えるとただの対処法から解決に近づけることがあります。
ただ感情を抑えるという考えではなく、湧き上がる意図を考えることが本人にとって1番心地よい支援になるはずです。
お掃除係の実習を体験した保育士さん、きちんとした指導・教育を受けられずも頑張る支援者さん…など現場に困り感を持っている方へサポートすることで、子どもたちに還元されるものがあるのではと信じています。よろしくお願いします。