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Toinet ⑥

Toinet ⑥

大声で泣き、大声で喚き、大声で怒る。
やはり大声はストレスを発散するのに適しているらしい。

草太くんは、嘘みたいにヘラヘラして後藤さんと元彼女と元恋敵の悪口を言っていた。14歳恐るべし。

一方、田中さんはというと激動の14歳に振り回され、
「むしろ僕は妻と別れてよかったのでは?」などとぶつぶつ言っていた。
正直よくわからないが、死のうとする意気込みは洗い流されたみたいだった。ありがとう14歳。

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Toinet ⑤

Toinet ⑤

おさらいすると、
この公衆便所の男子トイレには、個室は4つ。

奥から

・田中 浩介(たなか こうすけ)  さん
会社をクビになり家族にも逃げられた元会社員。
死にたがっており、現在刃物を持ち自殺を図っている。

・遠藤 将太(えんどう しょうた) ※僕
まぁ僕についてはいいや。
とりあえず、田中さんほどではないけど、僕も死にたい。

・後藤 正蔵(ごとう しょうぞう)  さん
そういえばこの人

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Toinet  ④

Toinet  ④

この時、後藤さんの気持ちがわかった。これがウンコする幽霊か。

足音の持ち主に僕らはずっと話しかけた。

それはもう必死だった。後藤さんなんて雪山で遭難してる時の必死さだった。

革靴のコツッ、コツッ、という乾いた音がゆっくりと前を通り過ぎていく。

なぜだ、なぜ届かないのだ。

耳が悪いのか?イヤホンか?

そうこう不安になりながら話しかける僕らをよそに、

幽霊は、僕の左端、一番奥の個室に入っ

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Toinet  ③

Toinet  ③

後藤さんは、とにかく馴れ馴れしかった。

「後藤正蔵だ。」

別に訊いてなかった。

「それ以外のことは教えられない。・・・秘密なんだ。」

別に訊く気も無かった。

「君の名前は?あ、実は年上だったらごめんなさいね!」

僕は会話をするべきか一瞬悩んだ。

しかし、この人の”悪い人ではないオーラ”とでもいうのか、雰囲気に押されて口は開いていた。

「遠藤です。遠藤将太。」

「え、遠藤、、、さん

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Toinet  ②

Toinet  ②

気付けば見知らぬ駅からしばらく歩いた見知らぬ公園に来ていた。

僕と同じように朦朧とした目ばかりがウヨウヨするハローワークにいたのが遠い昔の様だ。

間の記憶はほとんどなく、「できるだけ人間のいない方へ」という気持ちと

電車の窓から見えるぼんやりとした青い空だけが微かに残っていた。

溜め込んでいた膨大なストレスが解き放たれたのか、悪魔は激痛となって僕の下腹部に宿った。

普段は公衆便所、まして

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Toinet   ①

汚い白い天井。

きっとあの蛍光灯もそろそろ寿命だろう。

じんわりと痛む首を無視できなくなってきた頃、僕はゆっくりと頭を起こし前を見る。

緑とも青とも判別しがたい汚い色の汚いドア。

そしてその汚い色の壁で囲まれたこの半畳ほどの汚い部屋。

使用するか悩んでいた20分前が嘘みたいに、

この空間が愛おしく感じる。

いや違う、天井部分は開けてはいるがこの小さな空間が僕の、僕だけの精神世界に感じ

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