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オフィスひめの通信 54号

執筆:西澤真生(ひめのともみクリニック医師)
発行月:2017年7月

ー季節の変わり目と副腎疲労ー

 気温や気圧の変化が大きい日が続きます。いつもこの季節に体調が悪いという方、何もしていないのにぐったりと疲れているという方はいらっしゃいませんか?そのような方は副腎疲労を疑ってみましょう。
 副腎はストレスに対抗してホルモンを出す装置です。ストレスというと、人間関係に悩んでいるとか仕事上の悩みとかを思い浮かべる方が多いと思いますが、ストレスは精神的な苦痛だけではありません。変化はすべてストレスです。例えば気温や湿度の変化も立派なストレスですし、楽しくて興奮する出来事や旅行、引越、昇進などもストレスです。無意識のうちに脳の深い所と副腎や甲状腺などが連動してこれらの変化に対処しようと頑張っています。
 また、副腎はストレスの時に頑張るだけでなく、一日のリズムをつくったり血圧や血糖値を維持したりして日々の生活をサポートしています。また炎症を抑える働きもあります。

□ 朝起きるのがつらい
□ 疲れがとれない
□ 体が重く日常生活を送るだけでしんどい
□ 立ちくらみがする
□ 記憶力の低下、ぼんやりして思考が定まらない
□ 以前楽しかったことが楽しめない
□ 風邪をひきやすい
□ アレルギーの症状が出やすい


 上のような症状があるのに、病院で特に異常がないと言われた方は、副腎疲労を一度は疑ってみましょう。副腎疲労を我慢して重くなってしまうと回復まで時間がかかります。軽いうちに気づいて対処することが大切です。夏バテをしやすい方もぜひ今から対策をとってほしいと思います。


ー糖質入り飲料に気を付けて!ー

 暑い日が続きます。熱中症予防にこれまで以上に水分摂取が必要となりますが飲み物をどのように選んでいますか?ただの水より塩分やイオンが入っているほうが良いと思ってイオン飲料やスポーツドリンクを選んでいる方は結構多いのではないでしょうか。
 「イオン飲料やスポーツ飲料を多量に飲み続け健康状態が悪化した乳幼児が、昨年までの10年間で少なくとも24例報告されている」との記事が出ました。主な原因はビタミンB1不足です。イオン飲料やスポーツ飲料にはイオンだけでなく糖質が多く含まれています。糖質を処理するにはビタミンB1を始め多くのビタミンB群が必要になります。
 サッカーやバドミントンのような激しいスポーツをするならいざ知らず、日常生活では水分から糖質を摂る必要は全くありません。暑い夏には汗をかいたり体温を調節したりする際にビタミンB群の消費量が増えているので、ビタミンB群が不足しがちです。糖質を摂取するとビタミンB群不足にさらに拍車がかかってしまいます。またペットボトル症候群といって糖の過剰摂取により急性の糖尿病になって、吐き気や意識障害が起き危険な状態になることもあります。
 水分は水だけか、麦茶に少量の塩を入れた飲み物がよいでしょう。食欲がなくなる時期ですが肉や魚を食べビタミンB群をしっかりと摂りましょう。


ーたんぱく質を食べているのに…ー

 栄養解析のたびに「たんぱく質が不足しています」と口うるさくいっているためか、たんぱく質をしっかりと召し上がってくださっている方が増えてきました。たんぱく質の摂取量が増え、たんぱく質の合成能力が向上する人がいる一方で、いくら食べてもたんぱく不足の判定が続く方がいます。食事の内容を記録していただいたり、写真を撮っていただいたりすると、確かにかなりの量のたんぱく質を食べています。プロテインを摂っていますという人もいます。そういう方はぜひ自分のお腹を触ってみてください。膨れていませんか?
 たんぱく質を増やして胃のもたれを感じたり腸のガスが増えたりした人は、たんぱく質が十分消化出来ず、そのために吸収率が低下している可能性があります。たんぱく質は胃の消化酵素、膵臓の消化酵素による数段階の消化を経てようやく吸収されます。胃で消化酵素が働くためには胃酸も必要です。ピロリ菌に感染している方や胃酸を抑える薬を飲んでいる方は、胃酸が低くたんぱく質の消化が悪い可能性があります。また長期間たんぱく質不足が続くと、消化酵素をつくるたんぱく質も不足して消化不良になりやすくなります。
 未消化のたんぱく質は悪玉の腸内細菌によって腐敗し有害な物質に変わることもあります。せっかく食べたたんぱく質が有害物質に変わっていたら、こんなに悲しいことはありません。たんぱく質を増やす時には、消化能力を改善し腸内細菌バランスを整えましょう。
 消化酵素のサプリメントや薬も役立ちます。アミノ酸はたんぱく質を消化したものなので吸収もよく、体内のアミノ酸量を増やすのに役立ちます。消化能力や腸内環境の検査もありますので、ご興味のある方はぜひスタッフにお声がけください。


※刊行当時の内容のまま掲載しているため、現在の状況とは異なる記述もあります。

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