パリの旅を演出してくれた雨
旅先で雨が降るとがっかりする。寒いとなおさらだ。
でも、雨が旅をもっと特別にしてくれることもある。
3年前のちょうど今頃、私は一人パリにいた。
街を歩くだけで、特別な時間。
お店の看板や展示、街ゆく人の装い、建物の間から垣間見える歴史的な建物。
見えるもの感じるもの全てを持ち帰りたくて、ひたすら歩いてる。
今日の目的は、きらきらしたパリの夜景を満喫すること。
早めの夕食を済ませ、エッフェル塔に向かう。
ニット帽にロングコートにマフラー。
最大限に防寒してきたおかげでしばらく気づかなかったが、そろそろ顔にあたる冷たい雨粒が気になる。
「せっかく夜景見に来たのになー」
とはいえ、貴重な一晩を無駄に過ごすわけにもいかない。
緩やかな坂道を、フードとマフラーにうずくまりながら登る。
2月の雨は、興奮している身でも、寒い。
周りには、同じく傘をささずに登る人たち。
坂を登り切ったその先、シャイヨー宮に辿り着くと、噴水と庭園の向こうにそびえるエッフェル塔が待っていた。
濡れた地面に塔の眩しい光が反射して、煌めきが増している。
厳しい冷たさが、より一層、この美しさを演出している。
写真ではうまく伝わらないのが悔しい、ぜひ実物を見てほしい。
雨が演出してくれた、パリの夜景は、思いがけず大事な旅の一枚になった。
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