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共生関係

初めて育てたピーマンに白い花が咲いていた。じっくり眺めていると、葉っぱに大量の黒い点々ができているのを見つけた。病気かと思い近づいてみると、それは大量のアリだった。

スマホで調べようと取り出したが、手を止めた。最近、安易に答えを知ろうと検索する癖がついてしまっている。知らないことを知ろうとして調べることは良いことだが、スマホで簡単に物事を終わらせてしまう自分には、どこか浅はかさを感じていた。

そこで、アリの行動をじっくり観察することにした。葉っぱには緑の虫がいる。カメムシ?アブラムシ?と思考を巡らせながら、再びスマホを取り出した。「ピーマンに蟻と緑の虫」と検索すると、どうやらアリとアブラムシは共生関係にあるらしい。

共生関係か。ふと、以前のnoteに書いた「族」の概念が思い浮かぶ。アリとアブラムシの関係は、まさにお互いの利害が一致した共存だ。アブラムシがいないとアリは生きていけないのか?それともアリがいないとアブラムシが生きていけないのか。どちらが先か、考えを巡らせながらピーマンにやってきた虫たちを観察する。

そう観察を続けるうちに、このピーマンは誰のものなのかという疑問が浮かんできた。最初は自分のピーマンに害虫がついていると思っていたが、実際にはピーマン自体は誰の所有物でもなかったのだ。自分に野菜を育てるという役割を与えただけなのであった。

特定の場所での共生関係を結ぶこともあれば、特定の場所にとらわれずに時には役割を変えながら共生することもある。一組だけの共生ではなく、放射線のように複数の関係があるのが理想なのだろうか。

そんなことを思考に巡らせながら、アリが群がる葉っぱを引きちぎって捨てた。理由は特にない。ただやってみたかっただけだ。

次の日、葉っぱにはカエルがいた。今日もピーマンに遊びに来る子たちがいる。

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