社員noteを200本公開。「1ヶ月に50本投稿」からはじめた発信カルチャーのつくり方
こんにちは。ログラスで広報を担当しているhiyamaです。
広報の友人と集まった時、こんな話をする機会がありました。
ありがたいことに、最近「ログラスの発信をよく見る」と言っていただける機会が増えていることもあり、ログラスの発信カルチャーについてまとめてみようと思い、筆を執りました。
このnoteは、
スタートアップの広報担当者として、執筆・発信に課題感を持っている
インハウスエディターとして、社員の発信を増やしていきたい
などの、重要だけれど後回しになりやすい「企業の発信」に課題を持つ方に読んでいただけたら嬉しいです。(とてもボリューミーな記事なので、興味のある段落以外は読み飛ばしてください!)
あなたは誰
ログラスで広報を担当しているhiyamaです。2022年6月にログラスに入社して以降、幅広い広報業務のなかでも、執筆・発信まわりのPJに関わってきました。
↓ これまでのキャリアでは、一貫して「取り組みや思想をコンテンツにして広めていく」仕事をしており、広報(PR)パーソンの中でも「編集者」のカラーが色濃く出ている人間かと思います。
雑誌・週刊誌・フリーペーパーの編集
PR業界の啓蒙を目的としたメディアの編集
採用オウンドメディアやカルチャーブックの編集
ログラスでは、そんな「編集業界の先輩から教えていただいた叡智を事業会社で実装していきたい!」という心意気で、公式noteの運営や、各種記事のレビューをはじめ、直近では社外向けの文書ガイドラインの整備などに取り組んでいます。
約10倍に増えた記事発信
では、そんなログラスの発信ってどんな感じなんでしょうか?
結論からいうと発信量が爆発的に増えています。具体的には、発信カルチャーの醸成に取り組む以前は月あたり平均2本だったのが、2023年9月は月あたり26本ものコンテンツが出ており、書き手の9割は広報ではなく社員の皆さんです(社員の皆さんには頭が上がりません)。
なお、2023年9月現在までで noteを中心に250記事が公開されています(区切りがいいのでタイトルには200と書いています)。
以下では、ログラスの発信カルチャーの火付け役となった取り組みを紹介します。
ログラスアドベントカレンダー2022 (1ヶ月で50記事公開)
ログラスの発信がまだまだ少なかったころ、VPoEのいとひろさん・EMの松岡さん・私が運営となり、完走したアドベントカレンダー。
今思うと「よくやったなあ(笑)」という感想をもつのですが、当時はビジネスサイド・開発サイドで合計2本のアドベントカレンダーを走らせていました。
つまり、当時約60名ほどだった社員がほぼ全員参加し、学びや取り組みを1ヶ月で50記事発信したという狂気的な取り組みです。
ログラスサマーアドベントカレンダー2023 (2ヶ月で42記事公開)
前述のアドカレだけでは終わらず、現在HRの皆さんが主導で運営されているサマーアドベントカレンダー。8-9月の平日で、合計42記事が公開されます。上記のツイートの通り1時間で枠が完売したのも、狂気的な発信カルチャーを象徴するエピソードです。
Loglass Tech Blog Sprint (毎週1記事公開)
こちらはエンジニアのゆいとさんとスタートしたもの。毎週必ず技術記事を出し、 1年間連続で記事を出し続ければ成功という取り組みです。「カルチャーやビジネス系の記事発信だけではなく、技術発信ももっと盛り上げていきたい」という経緯で、8月からスタートしています。
250記事発信すると何が起こるのか
メディア露出や登壇につながる
まず、広報担当者として一番嬉しいのはnoteを読んで取材依頼をいただくことではないでしょうか。
メディアキャラバンの際、プロモートシート(※)を作成して記者を訪ねる方も多いと思います。(※記事の切り口を企画提案する資料)
しかし、noteで社内の取り組みを発信していると、noteそのものがプロモートシートと化し「自社の取り組み」をご取材いただく時の強力な武器になりえます。実際、ログラスではnoteをきっかけに取材につながったケースがいくつかあり、以下はその事例です。
noteを読んで入社しました!という方が現れる
社内にアンケートをとると、面接や面談でお会いする採用候補者様に「note読みました。質問があるんですけど」と、興味を持っていただくことが増えた という声を観測しています。
また、採用候補者様にnoteをお送りする機会もあるのですが「ほとんどのメンバーが書いているので会社の雰囲気が伝わってすごく良い」とお褒めの言葉をいただくこともあります。
ログラス社員の中には「元同僚の○○さんがnoteを発信しており、気になって連絡したんです。noteが入社のきっかけになりました」という激アツストーリーをお持ちの方も(涙)。
広報の仕事は「書き手のモチベーションづくり」
社内からこんなお言葉をコンスタントにいただけるようになったら、広報担当者としてはとても嬉しいですよね。
現在ログラスでは、特にアドカレのような仕掛けをせずとも、社員の皆さんから上記のように立候補いただくことも多くなってきました。しかし「通常業務もあるなかで、自らnoteの企画を提案してもらえる」って、理想的だけどかなり難しいのではないかと思います。
私は、広報担当者として最も大事な仕事が 書き手のモチベーションづくり だと考えます。
広報担当者として、記事の執筆を依頼したとき、最も避けたい状態のひとつが「重要なのは理解しているけど、忙しくて後回しになっています」と優先度が下がってしまうことではないでしょうか。
その状態を絶対に作らないために、下記のアクションを意識してきました。
①読者としての感想を「心を込めて」「たびたび」伝える
編集者時代の先輩に「編集者は、書き手にとっての最初の読者」と教わって以降、広報チェックに入らせていただいた記事には、極力感想を伝えるようにしています。
ここで大切なのが、「読みました!いいですね」的な話に終止するのではなく、上記の松岡さんのように何がどう良かったのかを具体的に伝えることです。
頭をしぼり、貴重な時間を割いて書いた記事に、何も反応がない・・これほどモチベーションが下がることはありません。書き手にしか表現できない物語を形にしてくださったことに対する感謝は、私も忘れないようにしていきたいです。
②エゴサ結果を本人に伝える
本人に通知がいっていなさそうな感想ポスト、NewsPicksでのPick
オフラインでお会いした方からの感想
note上で「ログラス」と検索して、別の記事に引用されているもの
特にX(旧Twitter)をやっていない書き手だと、なかなか感想には気づけないので、定期的にエゴサするようにしています。社外の方から感想をもらえると単純に嬉しいですし「じゃあ次はこんな記事を書いてみようかな」と、次のアイデアに繋がっていくこともあるのではないでしょうか。
③応援し、不安を取り除く
特にはじめての書き手にとって「記事を書いて発信する」という行為は、想像以上に不安なことばかりです。実際、社内でとったアンケートでも「記事の内容に自信がなく、これでいいのか最後まで不安だった」という声をよく見かけました。
自分の話なんて誰も興味ないんじゃないか・・
うまくまとまらなくなってきたけど、これでいいのかな・・
会社の方針とマッチしてるのだろうか・・
語彙力のなさを突きつけられて、書くのがつらくなってきた・・
などなど。。
これらの不安やネガティブな気持ちを無視せず、伴走者として寄り添うことも広報の仕事なのではと思います。
たとえば、こんな形で自分の思いを伝えてみるとか。
オフィスですれ違ったら「○○さんの記事、いよいよ明日公開ですねー!」「公開されたら教えてください!誰よりも早くいいねしにいきます!」と声をかけるだけでも素敵だと思います。
いずれにせよ、書き手にとって一人じゃないという安心感を作れるかどうかは、広報(編集者)として介入する余地があるのではないでしょうか。
発信カルチャーを1から作るためのHow
ここからは「難しいことはいいから、とにかく発信量を増やしていきたい!どうすればいいんや」という過去の自分に向けて、仕組みづくりの話を中心に書いていきます。
①アドベントカレンダーを仕掛ける
前述の通り、以前は月あたり平均2記事が公開されており、ログラスの発信数はまったくの0ではありませんでした。
それでも、今や毎日のようにnoteが公開されるようになったのは、アドベントカレンダーのブースト効果が圧倒的に大きいです。
そう、1ヶ月で50記事出すという、狂気的な取り組み「ログラスアドベントカレンダー2022」のことです。
なお、この記事のタイトルの『「1ヶ月に50本投稿」からはじめた』はここから来ており、とっかかりとして非常に有用な取り組みだった感じています。
アドカレの良さは適度なプレッシャーが働くところで「自分の番で落としてはいけない」という心理が働きます。この心理をポジティブに活かし「いつか書こうと思っていたネタ」を強制的に進められるのが、書き手にとってのメリットです。
進め方については、当時、書き手50名に対して編集部3名という体制で回していました。編集部がやったことはこんな感じです。
なかでも編集部の一人であるいとひろさんが、毎日 記事の紹介を書いておられるのがとても良いなと思ったので紹介させてください。
エンジニア以外の方からするとかなり専門的な内容を、エンジニア以外にも分かるよう、噛み砕いて社内広報されています。このように、書き手のアウトプットの価値を伝えることも編集部の介在価値だなあ・・と感じます。
個人的には、発信カルチャーを育む1歩目は、アドカレのような大規模PJでモメンタムを生むのがよいのではと考えています。
一方で、アドベントカレンダーという枠があるからこそこれだけ発信物が揃った側面はありつつ、「記事を出すタイミングは12月が正解なのか」「アウトプットが溢れる12月を避けて記事を出す方が良いのか」は諸説ありそうだなと感じています。
②壁打ちタイム・もくもく会を設ける
note執筆に伴走するなかでよく発生するのが「ここから先の進めた方が分からない」と手が止まってしまうパターンです。
この時、すかさず「壁打ちタイム」を設けたのが非常に効果的でした。壁打ち会の内容は記事によって様々なのですが、よく議題にあがるのはこんな感じです。
考えすぎてこんがらがっています
→「なんかすごい記事を一人で完成させなければいけない」「ある程度バズらないと恥ずかしいのでは」というプレッシャーを解く。一緒に完成させていきましょう!というスタンスをとる。
単調な文章になってしまいます
→ 語尾が一変倒ではないか?感情とファクトのバランスが取れているか?他の方の事例を示すなどのフィードバックを行う。
話すのは得意だけど書くのは苦手です
→ まずは頭の中にあることをバーっと話していただく。お話しいただいたことは録音とメモを取り、深掘りを行う。
タイトルづけが難しいです
→ 一緒に案出し大会を行う。他の方の事例を示す。
なお、純粋に時間がなかったり、やむなく優先順位が下がってしまう方には「もくもく会」を設定することもあります。1時間ほどカレンダーを抑えさせていただき、いっしょに作業する会なのですが、強制的に時間を作るだけでも「原稿がぐっと進みました」とお褒めの言葉をいただくことが多いです。
ほかにも
書き手の得意分野を把握する
→今まで公開したすべてのnote記事を読む
ネタ提案
→○○さんが前に言ってたあれぜひ記事にして欲しいです!と提案
ほかにもたくさん思いついたのですが、そろそろ内容も重くなってきたので割愛させてください(笑)。
ただ「アドベントカレンダーを仕掛ける」×「壁打ちタイム・もくもく会の設置」このかけ合わせだけでも、発信カルチャーを作る十分なとっかかりになると思います。
広報は書き手の一番のファン
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
「発信カルチャーのつくり方」と簡単に言えども、記事を書くという行為には正解がなく、暗いトンネルの中を一人で歩いている気持ちになりがちです。
だからこそ、発信カルチャーのドライバーとして「伴走者の存在」が不可欠なのではないでしょうか。それはつまり、書き手の一番のファンとなり、執筆活動を最も近くで支えるパートナーになるという、編集者の仕事に通じるものがあるのではと思います。
最後にログラスの採用案内でこの記事を締めたいと思いますが、この記事らしく、ログラスメンバーの愛する記事たちがまとまっている公式noteも添えさせてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!