見えても、見えなくても。
その時間に名前がついていることを知った時、
子どもの頃みたいに、ときめいた。
英語では、Blue hour。
夜明け前の、眠りから解き放してくれる群青と、
日の入り後、夜に吸い込まれていくような、深い深い藍青のグラデーション。
毎日、見えても、見えなくても、青の時間が訪れる。
4月の満月はピンクムーンと聞いて、黄昏どき空を見上げ、満月を待った。
青の時間は、ほんの数分。
だけど、刻一刻と青を深める移ろいの美に、心も満ちていく不思議。
すでに藍色に染まった空に、月の面影が待ち遠しい。
やがて、焦らすようにピンクの月がゆっくりと顔を出した。
誰が見ても、見ていなくても、今夜も月の光はみんなにふりそそいでいる。
日本だけじゃない。
世界中の人が、同じ月を見上げているんだなあ。
なんて。心が変われば、時の流れはこんなにもゆるやかなのかと、ふと思う。
家事に育児に、介護に、仕事に、もう一日24時間では足りませんと、
いつも時間に追われている私は、
「時間がない」と長い間錯覚していたのかもしれない。
「相対性理論」を唱えたアインシュタインが言うように、
どうやら本当に、時間はのびたり、縮んだりするらしい。