(3)あなたのために/誰かのために、は善なのか?

タイトルが固い😂
完全に今ハマっているマンガ「ここは今から倫理です」の影響。

あなたのためだからね、とさりげなく価値観を押し付けるのは毒親やモラハラの典型のような気がするが、そういうわかりやす〜いものだけでなく、もっと軽い言葉の中にもチクチクと残る呪いのような要素を含んでいる時がある。
そういうのって、結局発言している人が自分のためにしている言動でしかない。
純粋な、誰かを思っての言葉もあるだろうけど回り回って自分のためならそこに気がついて欲しいな〜、というか誰かのためにを連発しているひとは、もっと自分のことを見て大切にしてほしい。
そう思っていた。

「ここは今から倫理です」繋がりでファンになった山田裕貴さんが出ている映画「ヒノマルソウル」を見るまでは。

公開初日、仕事終わりに小走りで映画館に向かった。
久しぶりの映画館は思っていたよりも人が多く、やっぱりこういう場所って大事だよね、わかる、と思いながらシアターに向かった。

山田さんのファンになったのは最近なので、出演されている映画をサブスクではなくて映画館で見れるのが初めてだったこともあり、ずっとソワソワしていた。

番宣やインタビューはかなり見た方だと思う。予習はバッチリ!と思っていた。
爽やかな、でも熱いテストジャンパー達の話だろうと思っていたら初っ端で裏切られることになる。

主演の田中圭さん演じる西方さんが、元オリンピックメンバーの原田さんに対してこう思うのだ。
「どうしてオレじゃなくてお前がそこにいるんだ。落ちろ。」

そこから始まった映画は、爽やで熱い青春映画的なストーリーではなくて、泥臭いくらい人間の内側を描いたものだった。

選ばれたり選ばれなかったり、誰かを呪ってしまうような時があったり、身近な相手だからこそ全部ぶちまけてしまったり。

え、ここでこれ言う!?
と思ってしまった西方さんのとあるセリフも、それがより人間らしさを感じる瞬間だった。

そんな、人の嫌なところもきっちり描いた映画の終盤、テストジャンパー25人連続でジャンプを成功させなければいけなくなってしまう。

悪天候の中、様々な思いで参加しているテストジャンパーたちが飛ぶ覚悟をもつ。

そして、1人ずつそれぞれに「誰かのため、何かのため」という思いを秘めながら飛んでいた。

そのシーンを見て、自分の感情のまだ見えていないところを思った。
誰かのため、でこんなにも強い気持ちになだだことがまだない。
まだ無いだけで、いつかわかるようになるかもしれないけれど、今の自分にはまだまだ遠い感情だ。
だからこそ、誰かのためが自分のためだなあと感じるのだけど。

あなたのため/誰かのためという言葉や気持ちは、呪いにもなるし反対におまじないのように気持ちを強く後押ししてくれる時もある。
おまじないも漢字にすると「お呪い」だから表裏一体なのかもしれないなぁ。

タイトルにわざわざ「善なのか?」なんて書いたけど、善にもなりうるし、悪にもなりうるなというまあまあ普遍的な答えに辿り着いた。
できるだけ「善」で生きていたけどそのためには「あなたのため」を本人ではなく、矢印を自分に向けたり秘めておくことが、重要なのかもしれない。

そんなことを思った映画だった。
もう一回見たいなあ。

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