タロットはシステムであり装置
昨夜夜中にメモを残した。そこには「タロットはシステムであり装置」と書いてある。タロットをスプレッドで配置するとドラえもんのタイムマシンのように体が変化し、自分が翻訳機になる。タロットカードは宇宙人が地球を脱出するために作ったものだと松村潔さんが言っていた。そのことがずっと頭に残っている。人間は未来や現在の状況を占うためにタロットカードを使うけれど、それは本当に正しい使い方だろうか。宇宙人が作ったとすれば用途は全く違うものになる。人間が無理やり意味を当てはめ、対応させているなら少しずつズレが出てくるはずである。ましてや意味を暗記するのが無意味なことに思えてくる。わたしはタロットカードの意味をきちんと勉強していないので、たまに気が向いて調べると「なるほど」と思うこともよくある。ただ、それらもやはり「ドンピシャ」という感じではなく、「一応こういうことになっています」というタロットの上から目線のスタンスのようなものが影を潜めている。ホロスコープも同じだ。生年月日と時間と場所を入れて表示されるホロスコープが本当に正しいものなのかどうか、検討の余地がある。いくつかの説で「ハウスがずれている」というものがあって、わたしはそれに賛成だ。異なる計算方法で出す人も入れば、チャネリングを使ってハウスを導き出す人もいる。とにかく、与えられた情報を一度見直すことは自分の思考を見直すことになるのでオススメだ。一度ゼロにすることができれば、タロットの持つ「システム」が起動する。
タロットがシステムであり装置なら、並べたところから魔法陣のようにエネルギーのような何かが立ち上がってくるのが見える。それはわたしの体を組み替え、脳に違う言語を理解させる。その感覚があると、意味を読み解いて占いをするということがあまりにもったいないというか、小さすぎる用途に無理やり当てはめて箱詰めにしている窮屈さを感じる。これは魂が体に対して大きすぎるのにも似ている。タロットはダイナミックで、体と融合してはじめて作用する。自分が自分自身の体としっかりつながっている事は最低限の条件であるし、常日頃自分の体の声に耳を澄ましていなければこの変身は起こらないだろうと思う。かつて人間は、これが当たり前にできていた。現在は遮断された世界の中で、人間はそれでも、ちゃんと体を使って生きている。わたしはそれに希望を感じる。
意味を頭で覚えることが無意味であるもうひとつの理由は、その意味づけはいつかどこかの人間がしたものだから。その人のことをわたしは知らない。だから、信用できるのか、嘘をついていないのか、わからない。どんなに正直で誠実で真面目な人でも、自分が自覚していないところで間違えたり本意ではなく嘘をついてしまったりすることがある。その掛け違えたボタンも含んで完璧なのだということもわかりつつ、わたしは自分で検証したいと思ってしまう。アップデートした機種で、ソフトを読み込む。その手がかりになるのはわたしの体であり脳である。タロットカードを照合して、その奥を見る。解釈が人それぞれになっていいと思う。わたしがわたしの正解を信じられることが何よりも重要なことだから。このつながる感覚は面白い。わたしはチャネリング(今の段階ではこの言葉で表現するしかない)が好きだ。
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古井由吉さんのインタビューや散文を集めた本を読んでいた。1、2年前、わたしは彼の言葉に一目惚れをした。何を書いているのかわからない。なのにその文体があまりに美しくて、一瞬で大好きになった。「あなたのことよく知らないけれど、好きです」と言いたくなる言葉にはじめて出会った。古井さんは「自分を超えたものに導かれて書いている」ことについて話している。
わたしは「体」と「言葉」が切っても切り離せない関係にあるのではないかと思っている。だからタロットカードの装置を利用して体を使えば「言葉」として表現されることに一貫性というか、筋が通っているように感じる。うまく説明はできないけれど、わたしの中でつじつまが合っている。言葉には言葉そのものの生命力がある。わたしが本を読むときの状態は音楽を聴くことに似ていると思う。情報を得て役立てるために読んでいない。むしろ、読んだ内容はまるっと忘れてしまうのでその点で言えば全く無益だ。しかし、読んでいる時間がまるで音楽を聴いているように心地いい。音楽を聴いて、あとからその情報を役立てたり人に説明したりすることは少ない(なくはない)。ただその音を感じて、楽しんで、ハッとして、カメラが回るみたいに視点を行ったり来たりする。体に言葉が作用してわたしを新しくする。その感覚にわたしの読書が似ていると気が付いてから、ますます本を読むのが面白い。
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