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#16 水の中を巡る旅 ふたたび西ノ島へ・2023年秋②

昨年秋に続き、日本海のジオパーク・隠岐でのダイビング。2日目です。
今日は、天候が崩れる予報。しかし目覚めると、雲は多いものの空は明るく、わずかながらまだ青空が見えました。風もありません。
前線の通過が遅れている様子です。

▼ 初日の記録はこちらです。


🔲 二日目(9月30日)

今回泊まっている民宿からダイビングサービス(DS)までは、小さな漁村の埠頭や路地をぶらぶらと、15分ほどの散歩。ビーチリゾートでもなんでもない普通の漁村を歩いて、DSへ。ありそうなのに、なかなかない経験でして、とても新鮮で気持ちがいい。

DSに着くと、「これなら、まだ外海へ行けますよ〜」とガイドのYさん。
一本目は今日も船引運河を通って、島の北へ。

◆ 1本目 イグリ

平均水深 14.8m  最大水深 25.9m
潜水時間 49分  透明度 15m
水温 26℃   
スーツ 5mmツーピース

西ノ島北部の断崖の下にあるポイントで、去年も潜りました。砂地も岩場もあり、とにかく魚影が濃い場所です。

まず、水深25m付近の砂地へ。ここにはホタテウミヘビが多数。

キジハタも着底して、我々を物珍しそうに見ていました。

見上げれば、マメアジやイワシが舞い踊っています。

徐々に水深を上げていくと、何度名前を聞いても忘れてしまう、黒っぽい胴に白い尾の魚の群れが、列をなして通り過ぎて行きます。

さらに、ツバメウオ。去年は見ませんでした。温暖な海域で暮らす彼らが、対馬海流に乗って隠岐へ流れ着くこともあるのでしょうが、秋の日本海にいるというのは、意外に思われます。

一方、昨日の星神島と同じく、去年と比べ水温が3度ほども高く、秋の日本海らしい魚影は昨年ほどに濃くはありませんでした。「列島沸騰」と言われた猛暑の今年、その影響は水中にも明らかに出ていると感じられました。

◆ 2本目 赤灘灯台

平均水深 11.5m  最大水深 22.8m
潜水時間 64分  透明度 15m
水温 26℃   
スーツ 5mmツーピース

次は西ノ島大橋の下をくぐり、南端の岬を目指します。隣の知夫里島が目と鼻の先。恐らくは幅1キロに満たないであろう海峡を隔てており、海峡を送電線が渡っています。

そんなポイント故、潮当たりが良い釣り客垂涎の場所でもあり、先客がいたらダイビングは遠慮せねばなりませんが、本日は無人。
ここは、湾内にアンカリングして、岬の先端のゴルジュのような地形を通って外海側へ抜け、ボートへ戻るルート。

▲ 正面に見える割れ目を通り、沖合を回って戻ってきます

ウォールには、色鮮やかなホヤ?がびっしり。

割れ目の水深は浅く、一部は水面ギリギリの深度で落石を越えるような場所も。

▲ 海中ゴルジュのような地形
▲ 気がついたらすぐそこが水面

割れ目を通り抜けた後は、海峡側を廻ってボートへ戻ります。時にはかなり流れる大物出現率も高いポイントだそうですが、今日は流れがなく、色とりどりの小魚が群れていました。

▲ タコ🐙
▲ アワビに食われるヒトデ

昨日から一緒に潜っているもう1人のゲストKさん、以前、このクレバスの写真をネットで見つけ、その美しさに惚れ込んで、それがどこなのか知らぬまま、スマホの待ち受け画面にしていたそう。
すごい!ここだったんだ!と、エグジットしてから大感激しておられました。こんな邂逅もあるのか、と思い、他人事ながら嬉しくなります。これだから水の中の旅もやめられない。

◆ 3本目 雉ヶ鼻2

平均水深 13.1m  最大水深 26.2m
潜水時間 59分  透明度 10m
水温 26℃   
スーツ 5mmツーピース

2本目を終えて浮上すると、ひんやりした北風が強くなり、内湾も三角波が立ち始めていました。保温ボックスのお湯を襟足からウェットスーツの中へじゃんじゃん流し込みながら、DSへ戻ります。
お弁当を頂いた後、Kさんは帰路に就かれました。今夜は米子に泊まって、明日、ゆっくりと奈良までお帰りになるそう。
3本目はYさんとマンツーマン。

出発準備をしていたところ、Yさんの電話が鳴り出しました。
参ったなあ、という感じで応対していたYさん、「すみません、20分だけ待ってもらっていいですか」と、ダイビング器材をクルマへ積み込みます。船の排水口に何かが詰まって出航できないトラブルが発生し、ヘルプ要請がきたとのこと。
高齢化の進む小さな島なので、潜水作業ができる人材は限られており、このようなトラブルや魚礁のメンテナンスなどの依頼も少なくないのだそう。一方、DSも、海が荒れる冬場はレジャーダイビングはクローズになるので、水中作業は貴重な収入源なのでしょう。

さて、冷たい雨と風の中を出航し、2本目の赤灘灯台から湾を挟んで東側の岬へ。ここは、北と西は西ノ島、東は中ノ島、そして南は知夫里島に守られています。ソフトコーラルが素晴らしい、ワイド派向けのポイント。
他のゲストもいないということで、上のダイブプロファイルの通り、がっつりと潜らせて頂きました。

▲ ソフトコーラルの群生
▲ ネンブツダイが群れていました
▲ 蛸壷の中のヤドカリ
▲ ここも魚影は濃かったが大物は見えず。

DSへ戻り、器材を洗って、Yさんとコーヒーを飲みながら雑談しているうちに雨は止み、小さな港に穏やかな夕べが訪れました。

その晩の食卓も、また豪勢。ただ、工事関係者の団体はちょうど入れ替わりのタイミングだそうで、今夜の客はわたしだけ。なんだか申し訳ない。

🔲最終日 eBikeで西ノ島スカイラインへ

最終日は穏やかな晴天になりました。
高速船が出る14時まで、観光協会でeBikeを借り、去年行けなかった鬼舞展望所などを目指すことに。
ダイビング器材は高速船には積めないので、宿にお願いして着払いで発送してもらい、バックパックだけを背負って、eBikeを借りられる別府港まで歩くことにしました。町営バスも運行されていますが、気持ちの良い朝なので、クルマに乗るのがもったいなく思えたのです。
人気のない日曜のちいさな美田港。

秋の花々に埋もれた、旧・美田学校(現在はコミュニティセンター)。

そんな風景ひとつひとつを確かめるように、別府港への旧道を歩いていると、隣に一台の軽自動車が停まりました。
「別府へ行くなら、乗っていきなさい」
運転していた年配の女性が、声をかけてくれます。歩きたくて歩いているので固辞しましたが、親切なお申し出に感激。
さらに坂道を登っていると、もう一台、同じように声をかけて下さいました。
去年来た時も感じたことですが、この島には、こういう親切な方が、本当に多いのです。

観光協会でeBikeを借り、バックパックを預かってもらって、絶景が続く島の西部へ走りました。
もと来た道を戻り、今度は旧道ではなく、西ノ島大橋を渡ります。

▲ 西ノ島大橋の上から

浦郷を過ぎ、尾根上の西ノ島スカイラインへ、結構本格的な登り。
その突き当たりにある鬼舞展望所からは、島前のカルデラが一望できました。

▲ 鬼舞展望所より

そのままスカイラインを北上し、去年も来た赤尾展望所へ。こここらは、国賀海岸、摩天崖などの景勝地が一望できます。

▲ 赤尾展望所より

いったん山を降り、次は摩天崖への登り。標高差200メートル。
いったいどうしたことか、てっぺんには馬しかおらず、絶景を独り占めしました。

▲ 摩天崖からの眺望

摩天崖から海岸線へ一気に下り、浦郷の入り口にある由良比女神社に立ち寄ります。柏手を打ち立ち去ろうとしたところ、ちょうどそこへ、氏子総代だという方がドイツ人の旅行者を案内して来られ、中を見学させていただきました。

▲ 潮風に洗われた板壁の風合いが素晴らしい

別府港へ戻るべき頃合いになりました。西ノ島町は人口25百人、高齢化の進む離島。でも本当に、穏やかで親切な人ばかり…
2度目の訪問で愛おしさすら覚えるようになったこの島に、14時02分発の高速船で別れを告げました。これからもきっと、帰省先のように、この島へ戻ってくるのでしょう。といいますか、そのように受け入れてもらえる関係になりたいものです。
七類港から境港に立ち寄り、鬼太郎ロードを散策してから、境港線に乗り家路につきました。

▲ 鬼太郎ロード

◾️ ◾️ ◾️


隠岐の旅、最後までお読み頂き、ありがとうございました。
次は、10月の愛南ダイビングの記録を、時間を見つけて綴っていきたいと思います。12月は、今年3回目の石垣島へ行ってきます。
宜しければ、またお読みいただければ幸いです。

▼ 水の中を巡る旅 これまでの記録はこちらです。


私は、2020年に勤務先を早期退職した後、関東から京都へ地方移住(?)しました。noteでは主に旅の記録を綴っており、ロードバイクで北海道一周した記録や、もう一つの趣味であるスキューバダイビング旅行の記録、また海外旅行のことなども書いていきます。宜しければ↓こちらもご笑覧下さい。



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