理想的な上司
「自分は上司に恵まれていたんだなぁ」
と過去を振り返るとしみじみ思う。
理想的だった上司
理想的だったなぁと思う上司の一人は、
某大学で働いていた時のボス。
元外資系コンサルで学術系ITに詳しく、
大学教授に横滑りした人物だった。
学生が数万人いる都内大規模私学で、
情報センター的な部署も任され、
アカデミックと実務、
両方こなすキレ者だった。
自分はそのボスの下、
教育・研究、
ICT導入プロジェクトリーダー、
システム開発、
学内ICTサポート、
国際交流、
インフラ関連、
補助金関連、
地域連携、
等々多種多様な仕事に、
ある意味こき使われていた。
でも不快感はあんまりなく、
生産性高く様々活動出来たのは、
そのボスの力が大きかったと
振り返ってみると痛感する。
理想的な上司の特徴①:先読み能力(必要なリソース手配、課題把握と対処)
「口八丁手八丁」だったボス。
大規模私学ともなると、
利害関係者はかなり多い。
キャンパスが違えば、実質違う学校のようなもの。
そこに君臨する大学教授達は、
それぞれの分野の専門家。
その中でも理事会に入ってくる教授達ともなると、
信念持って持論曲げずに主張してくる。
その口うるさいメンバー相手に、
ボスは論理&感情両面で
実に上手に説得し、
予算と計画をがっちり獲得してくれる。
文科&外部からの資金も、
がっつり確保。
Aの予算を、
B・C・D等の名目で調達、等の剛腕。
(学生・大学のためと、
真の軸・目的ははっきりしてる)
特に私の下には沢山大学院生等の
スタッフ&事務員をつけてくれていた。
各キャンパスに配置したスタッフたちに
まずは一時対応をまかせる、
私自身は難しい問題&新しい問題に専念し、
各スタッフに出来る範囲で問題切り分けて、
再度投げながら、試行錯誤しつつ、
プロジェクトを進めていく、
という流れをボスは構築してくれていた。
成果が上がっていくと仕事も増えていったが、
その分リソースも増やして貰えていた。
ちなみに今は…
仕事と責任は増え続ける一方だが、
手助けしてくれるスタッフは増えない。
(そもそも下にスタッフ最初からいない…)
理想的な上司の特徴②:抜群のコミュニケーション能力
オフィシャルな会議等の他に
「美味しい○○を食べながら…」
のボス研究室での非公式打ち合わせが、
かなり頻繁に行われていた。
プロジェクトの話、論文の話、
新技術の動向、イベントの話…
時には学内の教授、
時には事務の主要スタッフ、
時には学外の学会の人たち、
時には学外の企業の人たち…
とメンバーを場面によって変えながら顔合わせ。
様々な問題等のすり合わせも、
非公式に事前に進める技。
理想的な上司の特徴③:新しいものへのチャレンジ
専門的知識がある人の方が、
更に新しいものを吸収していこうとする。
実にフットワーク軽く、
様々な学会等に
一緒に連れて行ってもらえた。
(私も動けるように、学内根回しも
いつもばっちりしてくれるボス)
アカデミックばかりでなく、
MSやGoogle等のTech企業にもしばしば。
オープンソースだったり、
世に出回ってないプレビュー版を
モルモット的に皆で半分遊びながら試用。
でも「半分遊びながら」
が一番クリエイティブ、
特に学者にとっては論文の種でもあるし、
長い眼で見ると生産性高いのかもしれない。
リーダー自身が
新しいものにチャレンジする心を持ち、
「心理的安全性」がある組織・文化を育んでくれることが、
快適に働く要素の重要な要素の一つだと痛感する。
徒然…
Googleは「20%ルール」
で就業時間の20%を好きな事させるのが、
イノベーションの一つの要因と言われていた。
しかし収益重視で様々な事業を閉じたり、
「心理的安全性」が低下してるのが、
伸びたかもしれない芽をつぶしているようにも
見受けられる。
(Googleでダメなら、
他の殆どの組織は更にダメ…
だろうが)
大学の生存競争も厳しい昨今。
外から来たボスのような人物が、
活躍出来るような組織土壌があることは
大学の力の一端なんだろうな、
と昨今の大学間競争を見ていても考えさせられる。