2021年9月の記事一覧
【エッセイ】ロックなグランマとの会話
僕の祖母はロックな人間で、82歳になるのに演歌が嫌い。椎名林檎やエレファントカシマシの、宮本浩次の歌なんかが好きだ。
ずっと一人で旅館を経営してきて、今年、引退して一緒に住むことになった。僕は小さな頃からおばあちゃん子で、夏休みや冬休みの度に一人で。電車で2時間かけて祖母の旅館に行き。
美味しいご飯を食べさせてもらい、四畳半の部屋でくつろいだ。
東京にも何度も連れていってもらった、美術館や博物
【掌編小説】ファビュラス・ファースト・ナイト
ウワノ ソラ、14歳の夏
地元のアイシャドウズという
グラムロックバンドに恋をしている
学校の授業中も上の空で
耳に入れたイヤホンから流れる
ボーカルのユウ君の
艶やかさと危うさの混じった歌声に
うっとりとして、ため息をつく
これは私の為の曲だとすら思う
そして今夜、市街のライブハウスで
アイシャドウズが演奏する
ウワノにとって人生で初めてのLiveだ
両親に行きたいと言えば
反対されるに決まって
【エッセイ】言葉のない優しさ
優しさと残酷さは表裏1枚のコインだ。
それがすごい速さで回転していて、
迂闊に触れると指先が切れる。
誰かが救われるとき、
その影で誰かが泣いている。
思いやりというものは、
例えば、悲しんでいる人を見たら、
声をかけて、手を差し伸べることが、
最善だと考えていたが。
最近は少し違うのかなと気づいた。
きっかけは恋人のフェイと過ごしているとき、
パーティについての話題になり。
彼女は「私はパーテ