【15】ミクロネシア全州、出張してみたらおったまげた話
Kaselehlie、ひぐちです。
日本の皆様お元気でしょうか。
年末年始、私が住むポンペイ州は
「家ぶっこわれるんちゃいます?」
レベルの豪雨に見舞われておりました。
最近になってやっと天気が回復し、
ほっともっとしております。
さて、今回の記事では
「ミクロネシア連邦の全4州」について、
出張で全州飛び回ってきたひぐちが
個人的な所感もりもりで紹介していきます。
ヤップ州、チューク州、ポンペイ州、コスラエ州。
ちなみに私は日本国内旅行が好きで
43都道府県くらい旅してきたのですが、
地域差はあれど、みんな日本語を話すし
日本人らしさや慣習は共通してあって、
「まあどこも日本だよね」という印象。
ですがこのミクロネシア内の4州は、
はてほんとに同じ国ですか?てくらい
言語も慣習も文化も異なるのです。
もういろいろ、おったまげすぎた。
では、Let's おったまげ〜
①楽園、コスラエ州。
初めての出張先、コスラエ州 in 9月。
ミクロ派遣されてから久しぶりの飛行機で、
とってもワクワク。
ポンペイから、1時間ちょい。
あれまっという間に到着〜。
第一印象、「街どこ!?」
それくらい、山と海しか見えない。
道中、まず最初に感じた違いは
海外沿いに広がる美しい砂浜。
私が住んでいるポンペイ州には
砂浜はないので、なかなか新鮮。
冒頭お伝えした通り、
各州で使われる言語が異なるので
簡単な挨拶を覚えていきました。
コスラエ語でHelloはLenwo(れんうぉ)
現地語で話しかけるだけで
やっぱみんなとても喜んでくれる。
風の噂で、コスラエの女性は美人だ
という話を聞いていましたが、本当に綺麗。
たぶんそれぞれの州で人種的なルーツも
異なっているんだろうなあ。
そもそも、私の出張の目的は
各州の環境啓発活動における調査なので
まずは環境局の職員にご挨拶。
今まではオンライン上でのやりとりのみ。
実際に会って話をすることの破壊力を実感。
秒速で距離が縮まって、たくさん話せて、
やはり直接会いに行くのが色々な意味で
手っ取り早いし楽しいなあと思いました。
何よりコスラエの人々、とても穏やかで、
そんな気遣ってくれるんてほど優しくて感動。
全体的な印象として、コスラエは
人口が一番少ない州ということもあり
組織間の連携がかなり密に取れている印象。
環境局、NGO、学校同士で連携をとって
結構頻繁に、熱心に活動を行っている。
生徒たちもとても積極的でびっくり。
やんちゃそうな子?は一人も見かけず、
みんな素直で落ち着いてる感じ。
まあ、こんな綺麗な海と大自然に囲まれて
人も少なくて、騒がしくない環境にいたら
そりゃあ落ち着いた人になるよなあ。
まさに、無垢。
正直帰りたくないなー、と思うほど
想像以上にコスラエが気に入りました。
そして滞在中はほぼ停電で、
夜はまさにお外真っ暗状態でした。
すると、みんな自然と外に集まってきて、
とある人はギターを持ってきて、
お互いの顔も見えない初めまして状態で、
満天の星空の下、音楽を奏でる。
なんだこの最高の夜は。
私も自分のオリジナルソングを披露したり、
ほんとうに音楽こそが世界共通言語で、
それをこんな電気もネットもない
大自然の中で共有できたことに鳥肌。
コスラエ州、エモすぎ。おったまげ。
②正直、チューク州。
さて、お次は11月にチューク州。
チューク語でHelloはran anim(らんあにむ)
さあ、らんあにむ!
チューク州は最も人口が多い州なので
街も大きく人が密集していると思いきや
案外、そんなことはなく普通でした。
不思議に思って聞いてみたら、
多くの人は毎日、他の島(総数なんと248島)
からボートでメインの島にやってきて、
仕事終わりにボートで自分の島に帰っていく、
というスタイルらしい。
確かにそこらじゅうボートだらけだった。
毎日ボートで出勤だなんて、いいなあ。
でもこの国の人たちからしたら、
「毎日電車で出勤だなんて、すごいなあ」
て日本人のことをそう思うのかもしれない。
やっぱりこういう、自分の今までの環境での
当たり前が覆される環境に身を置くことは
とても刺激的でおもろくて楽しくて仕方ない。
そして、環境意識調査を実施する中で
他州とは違う国民性?に気づかされました。
チューク人、本当に、正直。
「ポイ捨ては悪いと思う?」という問いに、
他州の人は「それはよくないことだ」と回答
する人が多い中(でもポイ捨てしてる)、
チュークの人々は、
「捨てたって誰かが掃除するから問題ない」
「みんな捨ててるから別に悪くないっしょ」
など、ド正直に回答してくれる人が多かった。
こういうインタビュー調査って、
”いいことを言おう”となりがちですが、
とてもストレートにコミュニケーションを
取ってくれるチュークらしさを体感しました。
おもしろい、興味深い、おったまげ。
なんでこんなにポイ捨てが多いかというと、
他州で展開されてるリサイクルシステムが
ここではうまくいっていない現状があります。
州によって行政形態も村落の権限も違うので
1つの州でうまくいっていることが、簡単に
他の州に展開されないのがまた難しいところ。
なので各州のそれぞれの状況にあった
啓発活動を展開していく必要性があります。
そのために調査・データ分析結果をもとに
環境局とディスカッションを行います。
このディスカッション、つい盛り上がって
いつも2時間くらいかかる長丁場なのですが
本当にみんな協力的に取り組んでくれて、
いろんなアイデアや意見が出てきて、
やりがいを一番感じる時間でした。
(2時間ぶっつづけファシリは毎度ヒリヒリ)
リソースも予算も少ない中で
できることをしようとする姿を見て
私はこの人たちに何かを与えるのではなく
うまくいくようにガイドしていくのが
自分のやるべきことだなと感じました。
まさに、持続可能な活動を。
ということで、チューク出張も
瞬きレベルであっという間に終了。
実は序盤に交通事故に遭いまして、
死ぬかと思うシーンもありましたが、
なんとか無事生還。波瀾万丈。
(初めて緊急治療室みたいなとこ入った)
人はいつ命を断たれるかわかりません。
今日も生きている時間を、大切にしましょう。
チューク州、色々濃すぎた。おったまげ。
③規律、ヤップ州。
そして最後、12月にヤップ州へ。
ヤップ語でHelloはMogethin(もげてぃん)
レッツ、もげてぃん。
ヤップ州の空港では、とても
伝統的なウェルカムをしてくれます。
なかなか他では味わえない経験なので、
興味がある方はぜひ行ってみて下さい。
「ヤップ州はとても綺麗」という噂、
ここに来るまでに何度も聞きました。
実際、想像以上に綺麗で驚き。
ポイ捨てゴミが全くない、庭が綺麗、
なんだこの違いは!と感激しました。
ヤップでは、政府より村落の権力が強く、
伝統的に「ヤップは常に清潔であるべし」
という社会規範が当たり前になっています。
月に1回、ちゃんとみんな自分のエリアを
清潔にしているかどうかの定期検査が、
政府ではなく住民レベルで行われている。
(汚い場合、村に罰金を払わなきゃいけない)
この統制力と規律、村落への献身具合が
ヤップ州は段違いで強いなと感じました。
当然、ビーチにもゴミはない。
どこに行っても、本当に綺麗。
自然と共生する人々の生活が、
さらにこの州の魅力を引き出しています。
とにかくどこもちゃんと整備されてる。
この家すごくないですか。
木で組み立てられた家。
ここにおじさんが住んでます。
もう本当にすごいとしか言えない。
ヤップ州は一番伝統が強いこともあり、
勝手に村の領域に踏み入れるのはNG。
他の州では割と自由に動けましたが、
この州ではどこで何をするにしても
とにかく事前に電話をして許可を得なければ
一歩踏み入れることは許されない。
今回の出張ではヤップの友達がいる
同僚に色々連れて行ってもらったので、
私一人では何もできなかったんだなあと
現地人コネクションに大感謝。
改めて、日本って基本的に
どこでも誰でも朝でも夜でも
自由に散歩できるじゃないですか。
ミクロネシアだとあり得ないことなので、
日本の散歩自由度がとても恋しいです。
↑この写真の右下に置かれている丸い石、
これはヤップの伝統「ストーンマネー」。
大きいものでは直径4メートルを超える、
世界最大のお金と言われています。
とにかくあらゆる場所にこの巨大石お金が
置かれてて、こういうのもTHE伝統。
この現代で、こういう超伝統文化的な
社会規律のもと回っている生活を
見ることができるのはなかなか貴重。
(他にも、カースト制度のような
生まれた時点で上中下のランクが決まる
身分制度もあるらしく、迂闊に人に
話しかけることすらもできないらしい)
私は何も知らないただの日本人なので、
色々甘く見てもらったと思うけど、
もしかしたら何かよろしくないことを
していたのかもしれない。無知って怖い。
でもまあ、たくさんヤップの友達ができて
とても充実した出張だったのでオールOK。
毎晩狂ったようにビールを飲みまくり、
ビートルナッツと呼ばれるやばいやつを
一生噛み続けているヤップ人。
「あんたもトライしてみな」と言われ
初ビートルナッツをトライしてみました。
噛んで数分もしないうちに
頭の中がカーーっと熱くなって
なんかお酒とはまた違う変な気分に。
この人たちこんなものを24時間
噛み続けてるのまじでレベチすぎて
半端ない・・・と唖然。
ヤップ州、レベチすぎ。おったまげ。
④安定、ポンペイ州。
ということで、今回は
出張で訪れた3州を紹介しました。
私が住むポンペイ州に帰ってくる度に
「あゝ、ここが私のホームタウンだ」
という安心感、安定感に包まれます。
改めて、全州を制覇した身からすると
ポンペイ州は本当に「中立的」だなあ
と感じます。モダン具合、伝統具合、
全てのバランスがとてもちょうど良い。
まあ、自分が住んでる場所だから
そういうふうに感じるのかな。
今のミクロネシアはこんな感じだけど、
10年後、20年後は、どうなるんだろう。
ポンペイはもっと近代化していくのか、
コスラエはもっと人口減少するのか、
チュークの国民性は変わっていくのか、
ヤップの伝統文化は受け継がれていくのか。
ぜひとも、自分の目でそれを確かめたい。
だから私は必ずや、数十年あとに
全ての週をまた訪れたいと思います。
本当に、全ての州にそれぞれの
魅力がいっぱい詰まっていて、
おったまげました。
そして全ての州に共通していることは
「器の大きさ、優しさ、温かさ」です。
自分がとってもちっぽけに感じるほど、
このミクロネシアの人たちの人間性が
本当に尊敬でしかなく、おったまげます。
ぜひ皆さんにも
このあったかさを味わっていただき、
おったまげて欲しいです。
この記事が、どこかの誰かにとっての
「ミクロネシア行ってみたい!」という
お気持ちに繋がれば幸いです。
ではまた。