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東洋医学講座 129

〇肝と怒り

●怒り、イライラ、焦りの原因

怒りは、木気が亢進した状態です。精神状態において、木気的心情が亢進しますと、怒りを発します。木気的働きとは、発生、動く、走る、起立するなどの動的働きです。

木気の亢進が肉体に働けば、一例としては筋肉のケイレンとなって現れます。精神に作用すれば、それは怒りとなります。

焦り、イライラなどは怒りと同系統のものです。木気が正常に働いている状態を100とすれば、110になれば焦りを生じ、120に働けばイライラになり、さらに150に上がれば怒りとなります。

このように、肝気の亢進の度合いによって違いが生じます。また、怒りの状態にも強弱のランクがあります。いずれにしても肝気が問題なので、肝気が弱っても、反対に強くても中庸をかいた場合にはこのような状態になります。

肝機能が低下している場合には、正常ランクまで引き上げようと、肝は一過性の亢進を起こします。もし、肝が50%働いていないとすると、それを100%働かそうとすれば、肝は一過性の亢進を起こして120くらいの力を出さなければならなくなります。それが、イライラや焦心となって現れます。

現代人はイライラすることが多い環境の中で暮らしているので、精神的にも腎肝機能低下の時代といえます。また反対に、腎肝を低下させる日常生活を送っているので、イライラしやすくなるともいえます。

江戸時代の末期あたりから昭和時代の初期にかけては、肺機能低下の時代であったといえます。何しろ食糧が乏しい時代だったので、当然、栄養不足で、土生金の働きができませんでした。皆同じような生活条件で暮らしていたので、時代的体質になっていました。その意味で肺機能低下も時代病といえるでしょう。

一方現代は、白いコメ、白いパン、即席ラーメン、甘いお菓子、ジュース類、フルーツなどによる腎肝機能低下病に注意しなければいけません。糖質過剰による腎機能低下、農薬・薬害・添加物による肝機能低下が多いのであります。

さて、怒りを制するには〝悲気〟を用いますが、何も悲気ばかりでなくても構いません。金気を用いることです。鎮める働きは、金気です。鎮めるとは冷静にすることで、冷却に通じます。冷却作用は、金気の働きです。金剋木で怒りを制することができます。

例えば、夫婦喧嘩などで、旦那さんが起こって止まらなかった場合、奥さんは悲しい顔をして涙ぐみます。これで旦那さんの怒りが徐々に解けていきます。これが金剋木です。それに反して、口答えをするとますます怒りがつのってしまいます。

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