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鹿児島県教委『新年度スタートに必要な教員がいない』

鹿児島県教委が緊急記者会見を行いました。新年度スタートまで残り3週間ほどですが、必要な教員がいないという危機的状況です。その背景と県教委の対策についてまとめてみました。


鹿児島県『子どもたちの成長を支えるために力を貸してほしい』

鹿児島県教委が臨時的任用教員(常勤講師)が新年度に向けて足りない状況を受け記者会見を行いました。募集しているのは小学校約900人、中学校約500人、高校約250人、特別支援学校約350人の合計約2,000人です。募集しています。臨時的任用教員とは、正規教員の代替教員です。産休・育休を取得した場合などの補充として、1年間以内で教職に就く教師のことです。鹿児島県では現在でも43人の教員の欠員が出ており、このままでは来年度も教員のみ配置のままスタートする厳しい状況が予想されています。

教員不足の背景

臨時的任用教員が足りない背景には、臨時教員はそもそも正規教員ではないことが挙げられます。本来的に臨時教員は、正規教員が産休・育休を取得した場合の補充としての一時的な配置であり、言ってしまえば非正規雇用の不安定な仕事です。正規採用の教員と異なり、雇用を保証していないため、逆に言えば人材を必ず確保できる保証もないのです。

さらに、鹿児島県では、この流動的で不安定な臨時的任用教員が全教員中に占める割合が多いです。公立小中学校等教員定数に占める臨時教員の割合は、全国平均7.5%に対し鹿児島県では12%を見込んでいます。それだけ、正規採用を絞っている現状があるのです。

さらに、非正規雇用である以上、勤務希望場所と必要な学校・地域が合わなければ、働いてもらえない現状もあります。どの業種でも人手不足が顕著で民間の正規採用が活発な現在、昔のように『一時的に採用してやるから僻地でも文句を言わずに働け』という強気な態度は、これまでとは異なり通用しません。条件の良い別の職業に流れてしまい、講師は来てくれません。さらに、中高の場合は必要な免許を持つ人が必要で、更に臨時教員の確保は困難になっています。

県教委の取り組み

特設ページを開設

鹿児島県教委は臨時的任用教員(臨時教員)の確保に力を入れるため、ホームページに緊急募集の特設サイトを開設しています。

働き方改革

学校における業務改善アクションプランという働き方改革を行ってきました。具体的には、県教委が重点取組を複数設定し、各校に調査をして改善を促しています。勤務時間の把握、休憩時間の確保、ICT活用による校務データの共有、部活動の休養日設定、等の取り組みに効果があったと報告されています。

学校における業務改善アクションプラン 結果

また、2年前は65%だった残業時間が月45時間以内の教員の割合が、令和3年度には80%になるなど、超過勤務が少なくなっていることも伺えます。それでも、中学校で月45〜80時間の超過勤務をしている教員は20%以上、月80時間以上働いている教員も一定数いるなど、改善余地はまだまだあるようです。

まとめ

数週間で必要数全ての講師の確保は現実的には難しいでしょう。来年度の鹿児島県では、各学校で欠員の状態からスタートすることが予想されます。既にいる教員の負担増に繋がり、長時間労働に拍車がかかり、所謂『ブラック職場』との印象はさらに強まるなど、負のスパイラルが予想されます。

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