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私の散歩考 Ⅱ 妻との写んぽの思い出

妻がいた頃は時々海散歩に参加してくれた。
1人で歩くのも考え事や一日の予定の組み立てなど出来る良い時間ではあるが、時々パートナーと歩くのはなんかウキウキした。

どんな会話をしていたのかは思い出せない。でも長年連れ添ったパートナーとの会話は無理がなくごく自然に話していたんだろう!例えば「雲がきれい」とか「お花がきれい」とか、「鳥のさえずりが聴こえるね」「波の音が心地よい」とかそういった事だったんだろう。そんな他愛も無い会話をして、時々立ち止まって写真を撮った。私が写真を撮っている間、妻は海を眺めている。ただそれだけだったがそんな散歩が心地良かった。。恋愛中のカップルのような緊張感や燃え上がる気持ちはない。当たり前だけど知り尽くした相手だからの会話だ。ここまでたどり着くのに何十年と言う紆余曲折の月日を共にした相手だから居心地がいい。私はけして成功者ではないが、糟糠の妻と言ったところだと思っている。これから人生を楽しむと言う入り口でこの世を去ったのが無念でならない。海で夫婦で散歩している方たちを見ると微笑ましく羨ましく思うこの頃です。

海散歩は色々考えたりするのにとても良い。私は海の側に住む事にこだわってきたが、海の側に住んでいない時期もあった。そういう時期でも休みの日は出来るだけ海に出かけた。海は心を穏やかにしてくれる。大きく手を空に広げ息を吸い込み、水平線を眺め息を吐く。今日も良い日でありませようにと妻を散骨した海に手を合わせる。「手と手を合わせて幸せ」ってCMがあったけどその気持良くわかる。


海が見える道



私の海写真の原点は妻との海散歩の頃に観ていた世界なんだと判った。強烈な朝日がオレンジ色に染まる時間、夕焼けに染まる富士山など色々撮ってきたが、そういう世界も素敵だがSNSが普及して、誰でも気軽に発表出来る場所が出来ると素晴らしい作品がとんどん出てきた。それと反比例するように私の写真はごくごく普通の海を撮ることが多くなった。今はそれが心地良いから。

まだ暫くはこちらの世界で妻の分まで楽しく生きられるよう朝の写真散歩は続けたい。


波チェック / XT-4 with XF35mm f1.4

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