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みんながあの子は優しいという。わたしもあの子を優しいと思う。実際それらはほとんど真実だ…
いつがそれになるかわからないけれど、きっとその日が遠くないことはわかるし、ひょっとした…
あれはすばらしい花だと言われ、咲きそうな蕾を誰かがたいせつに育てている時、その花を見る…
運命の輪の軸に選ばれる人間というのはたぶんあらかじめ神様が決めたもので、あなたは最初か…
朝起きて、わたしの頭上に覆い被さるどんよりとした曇り空からふと光がさすのを見あげて、今日…
紫陽花が似合うあなたはいつでも冷たい雨に打たれている。濡れそぼった髪が額にはりつくのを…
死後の世界には三途の川があると聞いていたけれど、あの話は嘘だったのだと今しがた思い知った。 視界いっぱいに霧のかかった原野が広がっていて、青々とした叢からはなぜか線香のにおいがする。その中央に、土をかるく慣らしただけの凸凹の一本道が通り、一面の緑を左右に分断していた。 行けども行けども道におれ以外の人影は見あたらず、いよいよ不安になってきたところ、道がYの字の形に分岐するのが見えた。 分岐点にはまるで山道のように、行き先を示す立て札が立っている。 片方には「天国」、
二人きりが定員の世界の内側で、天気予報が外れた事に密かに感謝していた。きみのこえが反響…