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鉄屑の海だけが何処までも流れ果てる砂の荒野のすみで、太陽が西から東へ沈むのを眺めながら、西暦から消えた週末を過ごしていた。私が搭乗するただ一隻の船だけが、ここに残されているが、他にはなにもない。仲間の船団は勇敢な突撃を強行した結果、この砂の海に散り果てて、いまでは鉄の藻屑となって、この地球と同化しているのだった。彼らは時の粒子になったのだ。 なぜ私たちだけが生き延びているのか、ぼんやりと靄の晴れない頭で想いを巡らせながら、今日もサボテンを狩り獲って話しかける。サボテンには
風を浴びようと思って、少女は丘へつづく石段をのぼった。春の風はあたたかく雲の間をおよいで、隣町の空のむこうから、今日も知らない物語を届けてくれる。 この星屑の丘には風の宅急便に乗って、毎日すてきな贈り物が流れてくるのだ。少女は、それを受け取るのがなによりの楽しみだった。 ほかの誰でもない、誰かからの贈り物。きょうの風はなにを運んでくるのだろう。 ふわりふわりと流れてきた色とりどりの風船は、いつも少女の頭のうえで、泡のようにぴちんと弾け、プレゼントを届けてくれるのだけれ